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2184 諸悪の根源マンセー日弁連46

匿名希望
組織的犯罪対策に対する3法案に関する会長声明
1999年06月10日更新
本年6月1日、衆議院本会議において、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」案(いわゆる盗聴法案)、「組織犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」案、「刑事訴訟法の一部を改正する法律」案の組織的犯罪対策3法案が、賛成多数により可決された。
 盗聴法案は、通信傍受の対象犯罪を薬物犯罪、銃器犯罪、集団密航、組織的殺人に限定するなどの修正がなされた。しかしながら、修正されたとはいえ本法案は、傍受対象が組織的犯罪だけに限定されていないこと、将来の犯罪のための傍受(事前盗聴)、令状に記載されない別件事件の傍受(別件盗聴)、犯罪と関係する会話かどうかを識別する該当性判断のための傍受(予備的盗聴)が認められていること、立会人に捜査機関の違法な盗聴を防止する実質的な権限が与えられていないこと、当事者に通知される傍受記録は刑事記録に使用されうるものだけにとどまっていること、盗聴期間が最大30日と長期であることなどの問題点はなんら解決されていない。
 また本法案の審議は、公聴会も開かれず、十分な審議時間も確保されないまま採決・可決されたもので、日弁連ないし当会などが指摘してきた問題点について十分に審議を行ったものとはいえず、基本的人権にかかわる重要法案の審議としては極めて不十分なものといわざるを得ない。
 神奈川県においては、日本共産党の緒方国際部長(当時)宅が神奈川県警により組織的継続的に電話盗聴されていた事件が発生し、神奈川県警幹部の承認に基づく組織的盗聴の事実が判決により認定されたにもかかわらず、警察は未だ謝罪しないどころか、その事実を認めようとすらしていない。
 従って、本法案によると、捜査機関により無制限に、かつ秘密裏に盗聴が行われ、犯罪とは無関係な多くの私信が捜査機関の監視下にさらされる危惧を拭い得ない。これらは憲法で保障された通信の秘密(第21条2項)、プライバシーの保護(第13条)、適正手続の保障(第31条)、令状主義(第35条)に抵触する疑いが強い。
 また、他2法案についても、構成要件が曖昧な組織的犯罪に対する重罰化の問題、広範囲な犯罪類型を対象とし、犯罪収益等などという曖昧な概念を構成要件とするマネーロンダリング規制の問題、被告人の反対尋問権が保障されるかという問題等、指摘される諸問題は解決されないままとなっている。
よって、当会は、上記3法案について参議院において慎重かつ徹底した審議がなされるよう強く求めるものであり、現状のままでの制定には強く反対する。
1999年(平成11年)6月10日
横浜弁護士会
会長  岡本 秀雄
匿名希望
「行政手続における個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の制定に関する会長声明
2012年05月10日更新
本年2月14日、政府は、いわゆる「社会保障・税共通番号制」に係る法律(正式名称「行政手続における個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、略称「マイナンバー法」)案を閣議決定し、国会に提出した。
 この法案は、全ての国民と外国人住民に対して、社会保障と税の分野で共通に利用する識別番号(マイナンバー)を付けて、これらの分野の個人データを、情報提供ネットワークシステムを通じて確実に名寄せ・統合(データマッチング)することを可能にする制度(社会保障・税共通番号制)を創設しようとするものである。
 共通番号制度については、日本弁護士連合会が、昨年7月29日付意見書において
①具体的な必要性や利用目的が全く明らかにされていない上、費用の概算も効果の試算も公表されていないこと、
②プライバシー権(自己情報コントロール権)の核心的内容である情報主体の「事前の同意」による情報コントロールをないがしろにしていること、
③共通番号が納税者番号として個人から事業者、事業者から税務当局への流れ(民→民→官)の中で広く利用されることに伴い、いわゆる「なりすまし」などのプライバシー侵害が多発する可能性などの問題点を指摘し、その抜本的見直しを要求してきた。
 しかし、その後の抜本的な再検討のないまま法案が提出されたことに対して、日弁連は本年2月16日、プライバシー権を危殆に瀕せしむる制度の拙速な法律化であるとして、本法案に強く反対する会長声明を公表した。
 当会としても、
(1)この共通番号制度により想定されている各行政分野(年金、労働保険、介護、生活保護、介護保険、税務等)の情報は、個人の私生活全般に及ぶ広汎なものであり、サイバーテロ等の個人情報に対する脅威も増大する現代において、情報漏えいの危険を完全に除去することはできないこと、
(2)プライバシー情報は一旦漏えいすると、取り返しのつかない被害を招くおそれがあること、
(3)個人情報等のマッチングの範囲については、大幅に政省令に委ねられており、行政の濫用に対して民主的統制を及ぼすことが極めて困難であること、
(4)基本的人権のうちでも人格的尊厳や自己決定権に深く関わるプライバシー権を著しく侵害するおそれがあるにもかかわらず、いまだ国民に法案の内容が理解されていない可能性が高いことから、同法案に反対するものである。
2012(平成24)年5月9日
横 浜 弁 護 士 会
会 長 木 村 保 夫

匿名希望
「ゲートキーパー立法」に反対する会長声明
2006年01月12日更新
2005年11月17日、政府は、金融情報機関(FIU)を金融庁から警察庁に移管する方針を決めた。
マネーロンダリングまたはテロ資金対策のため、金融機関を金融取引におけるゲートキーパー、すなわち門番とすべく、マネーロンダリング等の疑いがある取引があった場合、FIUへ報告する義務を負わせている。政府は、このゲートキーパーとしての役割を弁護士にも担わせる方針である。
 しかし、FIUを金融庁から警察庁に移管した上で、弁護士に対し、依頼者がマネーロンダリング等を行っているとの「疑い」を持った場合に、その「疑わしい取引」につき警察庁への報告義務を負わせることは、「国家権力からの独立性」という弁護士の存立基盤を揺るがしかねない重大な問題を孕んでおり、到底容認することはできない。
弁護士は、国民の人権と法的利益を擁護するために、国家権力から独立し、場合によっては国家権力と対抗関係に立つことを要請される。弁護士自治が認められているのも、弁護士が、国家権力から独立した人権擁護の担い手として、いかなる権力にも屈することなくその職責を果たすことを可能ならしめるために他ならない。
 このように、弁護士が国家権力から独立した法律専門家としての地位を保障され、職務上知り得た秘密を保持する権利を有するとともに、依頼者に対し高度の守秘義務を負うことで、依頼者は弁護士に対して、初めて、全てをうち明けて法的助言を受けることが可能となる。弁護士にこの高度の守秘義務があることで、市民は、秘密のうちに弁護士と相談する権利が保障されることになるのである。
 ところが、弁護士が単なる「疑い」をもったにすぎない段階において、「疑わしい取引」を警察庁へ報告するということは、依頼者にとっては、自分の秘密を捜査機関へ密告されたに等しく、依頼者の弁護士への信頼を決定的に損なうことになる。  
その結果、このような報告制度のもとでは、依頼者は弁護士を信頼して全ての事実をうち明けることはできず、また依頼者が密告を怖れて全ての事実をうち明けないとすれば、弁護士も、不十分な事実を前提とした不十分な助言・弁護しかなしえず、その法律専門家としての任務を効果的に遂行できなくなるのである。
 弁護士がマネーロンダリング等に関与すれば、当然、弁護士倫理に反し懲戒処分の対象となる。これまでにおいても弁護士は、依頼者との面談の中で、マネーロンダリング等の疑いを感じ取れば、依頼者に対しその可能性を指摘し、改善、中止を促すことが期待でき、それにより、マネーロンダリング等を未然に防止することが可能であった。しかし、マネーロンダリング等に該当する可能性を本人に報告することなく、警察庁に報告することが義務付けられた場合、依頼者は、犯罪に該当する可能性のある行為については、弁護士に対しても口を噤むこととなり、従前可能であった犯罪の未然防止も不可能となる。
 当会も、マネーロンダリング及びテロ資金対策の重要性については否定するものではない。ただこの点は、会員に対する研修を実施し、この問題に対する注意を喚起することで、マネーロンダリング等の防止は十分に図れると考える。
 以上のとおり、弁護士に対し、「疑わしい取引」について警察庁への報告義務を課すことは、弁護士の「国家権力からの独立性」という弁護士制度の存立基盤を危うくし、弁護士と依頼者との信頼関係を損なうだけでなく、これまで弁護士が果たしてきた犯罪の未然防止の役割を不可能ならしめた上に、依頼者に対しては適切な法的助言を受ける機会を奪う結果をもたらしかねないのである。
 よって、当会は、弁護士に対し警察庁への報告義務を課そうとするゲートキーパー立法に強く反対する。
以上
2006(平成18)年1月12日
横浜弁護士会
会長 庄司 道弘
匿名希望
住民基本台帳法改正法案に関する声明(1999年7月13日)
現在国会では、住民基本台帳法の一部を改正する法律案が審議中であるが、この法案には、下記のような問題が存在する。
まず、第一に、収集される情報が制限されていない点である。すなわち、法案では、保有情報を氏名、生年月日、男女の別、住所及び住民票コードの基本4情報としている。しかし、その反面、住民基本台帳カードの発行に関し、各自治体によるそのカードを利用した他の目的での利用を予定しており、収集される情報の範囲について明確な制限規定を置いていない。そのため、自治体独自の活用として、どのような情報がコンピューターに記録されることになるのかは、事実上無限定であり、無制限な情報が集積される危険性がある。
 次に、利用についての制限が確保されていない点である。すなわち、法案は、本来の目的以外での利用をしてはならない旨規定するのみで、提供目的違反に対する罰則規定もない。そして、行政機関によるデータベースと他のデータベースのコンピューター処理での結合を禁止していない。特に、データの結合禁止が規定されていないことは、オンラインによりネットワーク化されたシステムの中で、将来、税務、医療、教育、年金・福祉、家族、犯罪情報など無制限な情報の集約とその相互利用を可能とするものであり、住民基本台帳法の目的を著しく逸脱する危険性をはらんでいるといえる。
さらに、国民による情報のコントロールが十分に図られていない。すなわち、現行の行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)では、処理情報の開示請求権を認め、開示請求による書面開示を原則として義務づけているが、開示請求対象外事項と不開示事項を広範に認めることで、個人情報の保護が実質的に形骸化している。また、情報の目的外利用について、個人の中止請求権も認められていない。そして、法案は、個人情報の訂正についても、訂正の申出及び再調査の申出ができるだけであって、訂正請求権を認めていないため、どのように訂正されるのかは、保有機関の判断にゆだねられているのである。これでは、情報が間違っていても適正に訂正することができない。
 加えて、適正な管理による個人情報の保護も図られていない。すなわち、法案は、実施機関が外部に個人情報の処理を委託できることを原則として認めている。また、データ内容の正確性・最新性については、個人情報保護法において、抽象的に措置を講ずることを努力規定として定めるのみである。これでは個人情報の適切な保護が図れない。
このように、法案が成立すれば、個人に関するさまざまな情報が、さまざまな機関に、保有される危険があり、その利用の実態を知ることができず、しかも知りえたとしても、訂正する適切な権利が与えられないという状況を招くおそれがある。これは、国家による国民の集中管理であるといえ、憲法13条が保障するプライバシー権の侵害以外のなにものでもない。
よって、当会は、このような住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、強く反対するものであることを意見表明するものである。
1999年(平成11年)7月13日
京都弁護士会
会長 村 山 晃
匿名希望
「テロ等準備罪」(共謀罪)法案の閣議決定・国会上程に抗議し、廃案を求める会長声明(2017年3月23日)
1.政府は、当会を含む弁護士会その他の強い反対にもかかわらず、2017年(平成29年)年3月21日に「テロ等準備罪」(以下「共謀罪」という。)を新設する法案を閣議決定し、国会に上程した。
2.この法案が新設しようとしている共謀罪は、①「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の団体の活動として、②「2人以上で計画」した場合に、③計画(共謀)した者の内の誰かが「資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為」を行った場合を処罰する、④対象犯罪は長期4年以上の罪676の内277まで絞る、という内容である。
しかし、この内容については、以下のような問題点がある。
① 「テロリズム集団その他の」というのは例示列挙でしかなく「組織的犯罪集団」を限定するものとはなり得ない。それゆえ、テロとは無関係な市民の集まりが、捜査機関(警察)の評価次第でテロリズムとは関係なく「組織的犯罪集団」として扱われ、捜査される恐れがある。そもそも、「テロリズム集団」とは何かの明確な定義もなく、如何なる団体が「テロリズム集団」と認定されるのかが不明であり、「テロ等準備罪」という名称自体がミスリードである。
② 「2人以上で計画」した場合は、実質的に合意を言い換えたものに過ぎず、犯罪の成立範囲を限定するものとはならない。
③ この「準備行為」は、既存の「予備罪」よりも手前の段階の行為とされており、具体的な結果発生に向けられた行為である必要がないため、捜査機関(警察)の評価次第で日常生活上の単なる預金の引き出しや散歩が「準備行為」と判断され、捜査対象となる恐れがある。
④ 政府は、2005年(平成17年)11月には、質問趣意書に対する答弁書において、「国際組織犯罪防止条約第5条は、『長期4年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪』を行うことを合意することの犯罪化を義務づけているので、組織的な犯罪の共謀罪の対象犯罪について更に限定することは、国際組織犯罪防止条約上できないものと考えている。」として、600以上の罪から限定することはできないという閣議決定をしている。最近でも金田法務大臣は「条約との関係で過不足なく担保する方針である」と答弁していた。それにもにもかかわらず、対象犯罪の絞り込みをしたこととの整合性について何ら説明されていない。更に、絞り込み後も、詐欺破産罪等テロ抑止目的との関係が希薄と考えられるものが依然として対象犯罪に含まれており、如何なる基準で絞り込みをしたのかが不明である。
 結局、この法案においても、処罰範囲の広範さや不明確さの問題は解消されないままである。
3.現行刑法の体系では、法益侵害があったものを処罰するのが原則であり、少なくとも法益侵害の危険性のある実行行為の段階に至ってはじめて処罰するのが基本である。実行行為に至らない準備行為の段階では法益侵害の危険性が低いため、一部の重大犯罪についてのみ例外的に予備罪として処罰されるにすぎない。そして、共謀は、その予備罪よりも更に前の段階に位置するのであって、法益侵害の危険性はさらに低い(実際に実行行為に至るのかどうかさえ不明な共謀もある。)。それにもかかわらず、この法案では277もの数の共謀罪が一律に新設されることになる。それゆえ、この法案は、現行刑法の体系を根本から覆し、処罰時期を大幅に前倒しして、過去の行為とその結果ではなく、個人の意思や将来の危険性を処罰するに等しいものと言わなければならない。
 また、本法案には共謀を持ちかけて自分は自首すれば処罰を免れることができるという自首減免規定による一種の密告制度が規定されているほか、共謀罪の捜査には、人と人との会話内容を把握することが必須であるため、通信傍受(盗聴)捜査対象犯罪の更なる拡大、捜査訴追協力型司法取引制度の利用の拡大を招き、さらには室内盗聴やおとり捜査等の新たな捜査手法導入の根拠となることも予想されるなど、捜査機関による監視社会、密告奨励社会の出現を促進する危険がある。
4.この間、新聞等においても共謀罪の問題が継続的に取り上げられ、様々な団体から反対の意見が表明され、世論調査においては、当初「法案賛成」が「法案反対」を上回っていたが、これが逆転する変化が起きている。その変化は、共謀罪のもつ問題性、危険性が市民の間に理解され、テロ対策のために必要という政府の説明に疑念が生じてきたことを表しているというべきである。にもかかわらず、「テロ対策として必要」と述べるばかりで、共謀罪がもつ本質的な危険を覆い隠したまま、与党は本法案を承認し、政府は閣議決定のうえ国会に上程した。
 当会は、かような閣議決定・国会上程に強く抗議し、共謀罪の成立に断固反対し、廃案を求める。
2017年(平成29年)3月23日
京 都 弁 護 士 会
会長 浜 垣 真 也