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2241 諸悪の根源マンセー日弁連71

匿名希望
法務省による性犯罪前科情報の大阪府への提供に関する会長声明
法務省は、大阪府の「子どもを性犯罪から守る条例」(以下「本条例」という。)が本年10月1日から施行されるのに伴い、大阪府からの照会に対して、18歳未満の子どもに対する性犯罪等で服役後出所して府内に住所を定める者(以下「対象者」という。)の性犯罪前科情報(罪名及び刑期満了日)を提供することを決め、本年9月26日、大阪府と同省の間で覚書が結ばれたと報じられている。
 法務省によると、まず刑務所などの刑事施設が、対象となり得る受刑者に本条例の趣旨を説明し、受刑者は刑期を終えた時点で大阪府に7項目を届け出るとともに、大阪府が刑務所側に照会することへの同意書を提出するという流れになるという。そもそも、本条例12条は、子ども(18歳未満の者)に対して、強制わいせつ、同未遂及び同致死傷、強姦、同未遂及び同致死傷、集団強姦、同未遂及び同致死傷、強盗強姦、同致死及び同未遂並びに常習強盗強姦、営利目的等略取及び誘拐のうちわいせつ目的のもの及び同未遂、児童ポルノの製造のほか、「自己の性的好奇心を満たす目的で犯した罪」という極めて広い罪を犯した者で、これらの罪に係る刑期の満了の日から5年を経過しない者で府内に住所を定めたものについて、氏名、住所、性別、生年月日、連絡先、届出に係る罪名及び刑期の満了した日の7項目を大阪府知事に届け出る義務を定め、その項目の変更があれば届け出る義務を課し、それらの義務違反には過料(5万円以下)の制裁を規定している。
 既に刑を受け終えた者に対して、上記性犯罪前科情報等を届け出るという新たな義務を課すことは、出所者の更生にとって大きな障害となりうるものである。罪を犯した人に対して、法律に定められた刑以上の不利益を課したり、現実の危険が不明であるにもかかわらず行動を規制するといった人権侵害を伴う犯罪防止手段を講ずることは、現行法上許されない保安処分に発展しかねず、許されない。また、罪を犯した人の社会復帰援助よりも監視機能を強化し、社会防衛を目指す方向は、罪を犯した人を社会から排除することはあっても、円滑な社会復帰を促進することにはならない。罪を犯した人が社会内で自立して生活することを支援する政策こそが重要である。
 しかるに、本条例13条は、届け出をした者に対して、社会復帰に関する相談その他必要な支援を行うとするが、その内容は具体的に明らかになっていないし、本条例1条が掲げる「目的」にも出所者の社会復帰に対する言及はない。
 そもそも、受給権的性格を有する支援を届出義務と結び付けること自体が支援の趣旨に疑問を抱かせるものであり、加えて、本条例14条がその社会復帰に関して警察本部長に対して協力を求めることができると規定していることを併せて考慮すれば、本条例がいう「社会復帰に関する支援」とは、結局、対象者の監視でしかないということになろう。
 したがって、本条例による出所者に対する届出義務は、出所者の更生を妨げ、社会復帰支援とも結びつかないおそれのあるものであり、しかも、単に一地方自治体がそのような義務を課すことについては法の下の平等にも反するおそれがある。
 しかるに、今回、法務省は、本条例に対応して出所者の前科情報を提供することを決めたが、これは出所者の更生を妨げるおそれがある本条例の届出義務の運用を補完するものであり、到底容認することができない。
 また、そもそも、前科情報は高度にプライバシー性の高い情報であり、性犯罪を行った者もその前科情報をみだりに公表されない法的保護に値する利益を有する(最判平成6年2月8日「ノンフィクション『逆転』事件」参照)。
 この点、法務省は、大阪府に対する対象者の前科情報の提供は、対象者からの同意書を条件とするというが、前述した流れからすると、対象者は、受刑中に刑務所等の刑事施設で本条例について説明を受け、刑期を終えた時点で、刑事施設に対し、大阪府に対する7項目の届出書を提出するとともに、大阪府が刑務所側に照会することへの同意書も提出するという流れになっていることからすると、対象者は刑事施設から義務であると説明されて、7項目の届出書と一緒に、同意書を半ば強制されて提出させられることになると考えられるから、同意書の提出も任意のものとは言い難い。
 しかも、前科情報がひとたび漏えいされてしまうと、対象者やその家族がその地域社会で平穏に生活を営むことができなくなり、社会復帰支援という目的に逆行する。個人情報の漏えい・流出は、宇治市住民基本台帳データ大量漏えい事件など過去の多くの例からも明らかなとおり、どのような管理を行うにしてもそのリスクはなくならない。
 以上のとおり、本条例が出所者に対して届出義務を課すこと自体に疑問がある上に、提供される前科情報のプライバシー情報が漏えい・流出のおそれがあること及び前述のとおり違法な保安処分に発展しかねないことを考えると、本条例の届出義務の運用を補完するために行われる前科情報の提供を容認することはできない。そして、上記のような問題について考慮すれば、国会の開かれた場で慎重な議論を重ねるべきであり、一地方自治体に過ぎない大阪府が条例で定め、法務省と独自に覚書を交わしたという事実それ自身こそが、由々しき事態であり、到底許されることではない。よって、当連合会は、そもそも多くの問題を有する本条例に反対するとともに、法務省と大阪府との間で締結された性犯罪前科情報の提供にも強く反対する。
2012年(平成24年)10月11日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
 

匿名希望
東京都管理職選考国籍条項訴訟大法廷判決に関する会長談話
最高裁判所大法廷は1月26日,東京都に保健師として採用された在日韓国人女性が日本国籍を有しないことを理由に管理職選考を受験できないこととされた事件において,女性の請求を一部認めた東京高等裁判所の判決を破棄し,請求を全部棄却する判決を言い渡した。
 東京高裁の判決は,管理職の職務が広範多岐に及ぶことに着目し,一律に昇任の途を閉ざした都の対応は違憲であるとしていたものであって,当連合会が昨年10月の人権擁護大会において採択した「多民族・多文化の共生する社会の構築と外国人・民族的少数者の人権基本法の制定を求める宣言」に照らしても,その高裁判決を破棄した今回の最高裁の判決は残念である。
 本判決は,外国人が,住民の権利義務を形成するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とする「公権力行使等地方公務員」に就任することは,わが国の法体系で想定されていないとし,そのうえで,本件においては,いずれは,「公権力行使等地方公務員」に就任することのあることが当然の前提とされていたから,管理職選考を受験できないとしても合理的な理由に基づく区別であるとしたものである。
 しかし,本判決がいう「公権力行使等地方公務員」とはそれだけでは必ずしもその範囲を明確にすることができないだけでなく,都が一律に管理職への昇任の途を閉ざしたことを是認することは,在日外国人,特に特別永住者の法の下の平等,職業選択の自由を軽視するものであると言わざるを得ない。
 外国人についても,法の下の平等や職業選択の自由が保障されている。まして,植民地政策により日本国民となり,サンフランシスコ平和条約の発効に伴う通達によって日本国籍を失ったまま日本での生活を余儀なくされた歴史的経緯を持つ在日コリアンなど特別永住者については,通常は生涯にわたり所属することとなる共同社会の中で,自己実現の機会を求めたいとする意思を十分に尊重されるべきである。
 1996年11月に自治大臣が外国人の採用について地方自治体の裁量を認めたことや,1997年の前記高裁判決を背景として,管理職に昇任する可能性のある地方公務員一般事務職の任用において国籍条項を撤廃する動きなどが全国の地方公共団体に広がりつつある。
 本判決も,地方公共団体において,外国人を公務員として採用し,一定の管理職への昇任を認める制度を設けることが禁じられていると解しているものではない。当連合会は,各地方公共団体に対し,今後とも,外国人の公務員への任用・昇任制度につき門戸開放の動きを止めることのないよう要望するものである。
2005年(平成17年)1月28日
日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛
 

匿名希望
公安調査庁、検察庁の特高警察化傾向反対の件(決議)
国民の思想、集会、結社、言論の自由は、憲法の保障するところである。
然るに、近時公安調査官又は警察官が破壊的団体の規則に関する調査に藉口して個人の思想を調査し、集会出席者に妨害を加え、甚だしきは、集会の屋根裏に盗聴器を備える等の事実あることは真に遺憾である。
斯の如きは国民の基本的人権を無視し、特高警察制度の復活を招くおそれあることを憂慮する。
当局は、反省し国民の期待に応えんことを要望する。
1956年(昭和31年)10月27日
於佐賀市、人権委員会秋季総会
理由
左(下)記事例に基き、本決議を関係当局に要望されたい。

昭和27年2月20日から同年5月8日までの間、東京大学、北海道大学、東京教育大学、愛知大学、早稲田大学事件として学生と警察との対立は実に5回に及んだ。これは明かに個人の思想調査に基因するが故に思想の自由に対する侵害である。(憲法19条)
昭和28年頃から警察が全国の書店について、個人の購読雑誌名を調査している。これも思想の自由の侵害である。(憲法19条)
昭和31年6月17日東京教育大学で都学連第6回臨時大会が開催せられたが、この会合に私服警察官が発言内容をメモしていた。これは思想、集会、言論の自由の侵犯である。(憲法19条同21条)
昭和31年8月12日神戸市生田区中山手通4丁目兵教組合会館2階会議室で日共兵庫県委員会が会議をもったが2階の屋根裏に盗聴器が隠されていた。(憲法19条同21条)
昭和31年7月秋田県下一帯に亘って公安調査局は共産党の戸籍を洗うために役場へ戸籍謄本又は抄本を出せと命じた。これは結社の自由に対する侵犯である。(憲法21条)
昭和31年8月27日から3日間、東京都において開催された日本母親大会に茨城県の母親大会の会員が1人も出席しなかった。それは茨城県の警察によって会員の身元を洗われたためであるといわれている。これは集会の自由に対する侵犯である。(憲法21条-朝日新聞朝刊掲載)
 

匿名希望
第23回定期総会・国民の知る権利に関する宣言
1970年代の次の項目へ
(宣言)
国政は主権者たる国民の信託に由来するものであり、国民は主権者として国政を知る権利を有する。国民の知る権利は、国民主権と表裏一体をなす、至高の基本的人権であるといわなければならない。民主主義のもとにおいては、国民の知る権利は最大限に尊重せらるべきであって、国家機密のごときも主権者たる国民の前には原則として存在を許されないものであり、極めて例外的に、国民の利益のためにのみ最少の限度において認められるにすぎない。
基本的人権の擁護を使命とするわれわれは、国民の知る権利の擁護に全力を尽くすとともに、国家機密保護法制定のごとき逆行的傾向を断固阻止する。
右宣言する。
1972年(昭和47年)5月20日
第23回定期総会
理由
戦前、いわゆる「法律の留保」のもとに辛うじて言論・出版の自由が認められ、したがって、各種の立法により言論・出版の自由が形骸化した暗黒の時代と異なり、現行憲法のもとにおいては、言論・出版・表現の自由は基本的人権のなかでも最も基本的な権利として強力に保障されている。民主主義のもとにおいては、国政が立法、行政、司法の全分野にわたって、主権者たる国民の批判にさらされるべきことは当然である。しかしながら、批判が真に有効であるためには、十分な情報に基づいていなければならない。したがって、国政が国民の信託に基づいて運用される代議制民主制度の健全な運用のためには、言論・出版・表現の自由が保障されているだけでは不十分であり、その前提として、国民の知る権利を確立する必要がある。
 思うに、国政の隅々に至るまで知悉する権能は統治権と一体不可分であって、統治を意味する古語の「しろしめす」が「知る」と同義であることは、このもの消息を示すものである。すなわち、国民の知る権利は国民主催を別な言葉で言い現わしたものといってもよい。戦前、国民に対して網の目のごとく張りめぐらされた国家機密も、統治権を総攬した主権者には自由に接近を許すものであったのと同じく、今日、主権を有する国民の前には、本来国家機密のごときは、原則として存在を許されない。われわれは。1971年のベトナム秘密文書報道事件において、米国最高裁判所のダグラス裁判官が「政府内の秘密は、基本的に反民主主義的であって、官僚主義的誤りを永続させることになる。公の争点を公開で議論し討議することは、われわれの国の健康にとって肝要である。」と述べた意見を想起しなければならない。
 国民主権のもとにおいて国民に対する偽政者の秘密のごときが存在を認められるとすれば、それは、国民の利益のために国民自身が秘密にすることを偽政者に命じたものに限られ、したがって量的には、最少に止めるべきであり、それも極めて特殊な状況のもとに例外的にしか認めることはできないのである。 右のような国民の知る権利は、表現の自由が最大限に尊重されることにより最も効果的に実現されるものであり、新聞その他の報道機関は、社会の公器として、国民に正しい判断資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであることはいうまでもない。
 この表現の自由が達成されるためには取材の自由は不可欠な条件であり、取材の自由が確保されるためには、取材源の秘匿が重要な条件である。けだし、取材源の秘匿についての信頼がなければ国民は安んじて情報を提供することができず、貝のごとく口をつぐむ秘密主義に陥る危険性があるからである。 それゆえに、報道関係者が取材源を絶対に公開しないことは最高の職業倫理として広く世界的に承認されたものであることに想到するとき、報道機関の取材源に対する慎重な取り扱いは、取材の自由の保障のために今後ますます強く要請されるであろうことを見落してはならない。
 このように考えてくると、最近、政府の一部にあるという国家機密保護法制定の意図のごときは、国民主権の憲法の精神に抵触する時代逆行的なものであることは明らかであり、基本的人権の擁護を職責とする弁護士として到底これを黙視することはできない。
よって右のとおり宣言するものである。
昭和47年5月20日
日本弁護士連合会

匿名希望
国連社会権規約委員会の総括所見に関する会長声明
国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(以下「社会権規約」という。)の実施状況に関する第3回日本政府報告書について、国連社会権規約委員会は2013年4月30日に審査を行い、同年5月17日付で総括所見を公表した。同規約の批准国である我が国は同規約の実施義務を負い、同委員会から勧告された事項について改善すべき義務を負う。
この総括所見は、差別、労働、社会保障、震災・原発事故及び教育など31項目に及ぶ勧告を我が国に対して行っている。とりわけ以下の事項が重要であると考える。
第1は、国内法体系において規約を全面的に実施するために必要な措置をとることを改めて求められるとともに、規約上の権利に対する国の最低限の中核的義務は即時に実施すべきであると指摘されたことである。また、司法研修所のカリキュラムや弁護士ら司法専門職を対象とする研修プログラムにおいて、規約上の権利の裁判適用可能性を十分に取り上げるよう求められた(7項)。
第2は、パリ原則に則った国内人権機関の速やかな設置が求められたことである(8項)。これは前回の総括所見でも求められ、当連合会もかねてから強く求めてきたことでもある。
第3は、ジェンダーの役割に関する社会の認識を変革するためのキャンペーンの実行、労働市場における男女の就業機会の平等に向けた教育の実施、男女共同参画基本計画における、教育・雇用・政治的公的決定の分野での男女割当を含む大胆な目標の設定(13項)、同一価値労働について男女で異なる評価額を適用することの違法性等の意識啓発(19項)など広く女性差別の解消が求められたことである。
第4は、東日本大震災・福島原発事故について、災害対応・危険の低減及び復興のための取り組みにおいて人権を基礎とするアプローチをとること、特に社会権の享受において差別のない災害管理計画を確保すること(24項)、並びに原子力施設の安全に関する透明性の確保と原発事故対策の確立、特に予想される危険、予防措置及び対策に関する広範な、信頼性のある正確な情報の住民への提供と事故発生時のすべての情報の速やかな開示等を求められたことである(25項)。
 その他、我が国の生活保護費の削減を含む社会保障予算の削減に関して、社会保障の後退禁止原則の確保を求められ、給付の削減が受給者の社会権への打撃とならないよう注意を促されたこと(9項)、国民年金制度における最低年金保障の導入と生活保護申請者の取扱いにおける尊厳の確保(22項)、雇用における差別禁止及び合理的配慮の実施義務を含む障害者基本法の改正を求められたこと(12項)、女性、婚外子等に対する差別的な法律の見直しを促されたこと(10項)、高校無償化制度を朝鮮学校にも即時に適用すべきとされたこと(27項)等も重要である。さらに日本軍「慰安婦」に関して社会権の享有の保障等のために必要な措置をとること、「慰安婦」に対するヘイト・スピーチその他の示威行動の防止のために公衆に対する教育を行うことも勧告されている(26項)。
 日本政府は、これらの総括所見の勧告事項について、誠意をもってその実現のために努力をすべきであり、当連合会としても、日本政府及び関係機関と建設的対話を重ねながら、全力をあげてその実現に向けて取り組む所存である。
2013年(平成25年)5月27日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司