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2270 ら特集10仙台弁護士会⑤20

平成10年05月22日 平成10年5月会長声明
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平成10年5月会長声明1998年05月22日
 1 政府は本年4月10日、「公務文書」の文書提出命令に関する「民事訴訟法の一部を改正する法律案」を国会に上程した。
 2 平成8年、第136回国会に上程された民事訴訟法改正案の政府原案では、「公務秘密文書」について監督官庁が承認しなければ一律文書提出義務がなく、又裁判所に提出拒否事由の存否に関する判断権がない等、不合理な官民格差を生じ、各界から批判が集中した。その結果、上記政府原案は修正削除されたうえ、衆参各法務委員会の付帯決議及び新民事訴訟法付則27条によって、情報公開制度の検討と並行して総合的な検討を加え、新民事訴訟法公布後2年を目処として必要な措置を講ずるものとされた。
 3 しかし、今回提出された改正案は上記付帯決議及び附則の要求を十分に満たしておらず不当なものである。即ち、
① 「公務秘密文書」の定義があまりにも広く概括的であり、その結果「公務文書」の提出範囲が狭められる恐れがある。
② 刑事事件記録及び少年保護事件記録を文書提出義務の対象から除外しており、これらの文書が例えば交通事故による損害賠償訴訟等の民事訴訟及び官官接待や贈収賄等に端を発する住民訴訟等の行政訴訟における立証資料として果たしている重要性を無視するものである。
③ 「公務秘密文書」のうち、特に「防衛・外交文書」及び「犯罪・捜査文書」に関し、監督官庁が提出義務がないとの意見を述べたときは、裁判所は提出義務の存否ではなく当該監督官庁の上記意見の相当性について審査するものと しており、インカメラ手続に基く裁判所の判断を経ずに提出義務の存否を判断する場合が多くなることが予想され、その実質的判断権が監督官庁に委ねられる危険性がある。
④ 本年3月27日に国会提出された情報公開法案との関係では、本改正案においては「公務文書」についても自己使用文書であることが提出義務の除外事由とされているので、情報公開法案における非公開事由よりも提出拒否事由の範囲が広くなっていること、又情報公開法案では非開示事由の立証責任が官庁にあるのに対し、本改正案では提出拒否事由がないことの立証責任を申立人に課したものと解釈される余地があることにおいて整合性を欠く。
 4 当会は、上記のような問題を含む本改正案には反対であり、国会の審議において、上記附帯決議及び附則の趣旨に基づいた修正がなされるべきであり、その為に全力を尽くす決意である。以上、常議員会の決議に基き声明する。

平成10年04月20日 平成10年4月20日会長声明
ttp://senben.org/archives/628
平成10年4月20日会長声明1998年04月20日
 平成10年3月13日、政府は、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案」、「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」及び「犯罪捜査の為の通信傍受に関する法律案」の3法案を国会に提案した。同法案の主な内容は、組織的な犯罪への刑の加重、犯罪収益等による事業経営の支配を目的とする行為等の処罰及び犯罪捜査のための通信傍受の許容である。しかし、組織的な犯罪への刑の加重及び犯罪収益等による事業経営の支配を目的とする行為等の処罰は、現行法でもその犯罪態様に応じた処断が十分に可能であり、新たな立法を必要とするまでの事実が存在しない。加えて「組織」「不正権益」「支配」等の構成要件が不明確であり、犯罪収益とされる前提犯罪が広すぎる等全体として処罰範囲が広すぎること等の問題点を有している。特に、犯罪捜査のための通信傍受(いわゆる盗聴)については、対象犯罪が広すぎること、将来の犯罪も対象にしていること、別件盗聴も許容していること、盗聴許容期間につき再延長を認めるばかりでなく令状の再発布をも認めている等の問題点が多い。問題点のいくつかについては国会の審議の中での要件の厳格化等の修正も示唆されてはいるものの、その性質上いかに要件を厳格にしても憲法の定める令状主義、適正手続の保障の要請を満たすことが困難である。のみならず、警察が違法な盗聴を行った事件が存在したことを考えると、通信の秘密の侵害、プライバシ?の侵害等の深刻な人権侵害を大量に生じさせる危険があり、その立法には断固反対せざるを得ないものである。そこで、前記3法案に反対であることを広く訴えるため、本声明を発するものである。

平成16年06月22日 有事法制関連7法・3条約承認案件の成立に対する会長声明
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6月14日、別紙記載の国民保護法・米軍支援法などの有事法制関連7法及び改正ACSAなど3条約承認案件が、参議院本会議において可決承認され、成立した。当会は、一昨年4月、別紙記載の「武力攻撃事態対処法」など有事法制3法案が国会に提出された後、同法案が憲法の根本規範である人権保障規定や民主的な統治構造を大きく変質させる危険があること等を指摘し、その廃案を求めるとともに、会内に有事法制問題対策本部を設置し必要な調査研究活動や市民集会の開催などを系統的に行ってきた。また、当会は本年3月に国会に上程された上記有事法制関連7法案に対しても、「国民保護法案」は、国民保護措置の実効性に問題があるとともに平時から国民を統制する危険が高く、また、国民の戦時ムードをかりたて紛争の平和的解決の可能性を自ら塞いでしまうおそれがあること、「米軍支援法案」等は憲法が禁止する集団的自衛権の行使や交戦権の行使をも可能とする措置を内容とし、市民の生活や権利に対する重大な影響があること等を指摘し、これらの法案を廃案にするよう強く求めてきた。更に、改正ACSAも、米軍と自衛隊との物品役務の相互提供の適用範囲を武力攻撃事態等やイラク特措法などにも拡大し、しかも弾薬提供も可能にするなど、重大な憲法問題を有する重要案件であった。しかし、衆議院さらに参議院においても、当会が指摘した問題点などについて、十分な論点整理や徹底した審議が行われたとはいえず、国民にも法案の必要性や問題点が十分認識されず、国民的議論がなされることもなかった。このように手続的にも広く十分な議論を尽くさないまま、有事法制関連7法・3条約承認案件が成立したことは、誠に遺憾と言わざるを得ない。当会は、「有事」の名の下に、憲法が保障する人権が制約され、国民主権と平和主義がないがしろにされることのないように、今後も引き続き、有事法制のあり方や運用を厳しく検証してゆくとともに、政府等関係諸機関に対して、国際紛争の解決は、国際協調主義に則り非軍事的方法によることを真摯に模索探求し、今後、憲法違反の疑いが極めて強い有事法の発動を決して行わないよう強く求めるものである。
2004年6月22日仙台弁護士会会長鹿野 哲義

平成16年05月19日 有事7法案の廃案を求める会長声明
ttp://senben.org/archives/549
1 政府は、本年3月9日、別紙記載の国民保護法案、米軍支援法案、特定公共施設等利用法案、外国軍用品海上輸送規制法案等のいわゆる有事7法案を国会に上程し、本年4月13日から審議が行われている。
2 当会の基本的見解
 当会は、有事法の総則的規定である武力攻撃事態法案に対して、①武力攻撃事態や武力攻撃予測事態(併せて「武力攻撃事態等」と称する)の概念が曖昧であること、②「自衛」の範囲を大きく超え、憲法前文や9条の定める平和主義に抵触する重大な疑念があること、③市民の人権を大幅に制限し、憲法の保障する基本的人権を侵害する危険が高いこと、などを理由に廃案にするよう求めてきたが、武力攻撃事態法の各則ともいうべき今回の7法案についても、これらの批判があてはまる。
3 有事7法案の問題点
① 国民保護法案の問題点
 国民保護法案は、武力攻撃事態等及び緊急対処事態という2つの事態における「国民保護のための措置」として、住民の避難・避難住民の救援・武力攻撃災害対処措置などを定めている。同法案によれば、放送事業者である指定公共機関等に対して、政府が資料や情報の提供を求めたり、対策本部長が発令した警報の内容を放送する責務が課される。報道機関は、実際に武力攻撃事態が発生した場合には、当然に政府の発令した警報の内容を報道するはずである。にもかかわらず敢えて政府に対する情報提供や政府の発令した警報報道を責務として規定することは、逆に、報道に対して規制を行い、報道の自由や市民の知る権利に対して不当な制約を課すことになる危険性が高い。また、同法案は、立ち入り制限区域を定めて市民の立ち入りを制限し、また市民に対して特定物資の売渡・保管、土地・家屋の使用、土地・建物・物資について立入・検査など大きな権利の制約を課すことを内容としている。他方で、知る権利、集会・表現の自由の保護についての具体的な措置が確保されておらず、「国民の権利」保護としては極めて不十分な内容といわねばならない。更に、同法案は、平素から、国民に対する訓練と啓発に努めなければならないと規定しているが、特定の軍事シナリオを前提にして計画が作成され、地域社会が軍事シナリオに沿って統合・訓練されることになれば、国民の戦時ムードをかりたて、紛争の平和的解決の可能性を自ら塞いでしまうおそれすらある。このような重大な人権問題が発生する可能性がありながら、他方で、避難等の実効性については、鳥取県のシュミレーションでも、同県東部の住民2万6000人が隣県の兵庫県にバスで避難するのに11日間も要するなど、非現実的との指摘がなされている。しかも、国民保護法案では、武力攻撃事態等と異なる「緊急対処事態」というさらにあいまいな事態を規定し、その対処方針に国会承認を不要としながら、武力攻撃事態等の場合と同様に市民の権利を制限できることとしており、その危険性は極めて大きいものである。
② 米軍支援法案及び特定公共施設等利用法案の問題点
 米軍支援法案は、武力攻撃事態等と認定された場合において、日本による何らのコントロールもなされない米軍に対して、自衛隊等に属する物品や自衛隊等の役務の提供を認める。自衛隊が米軍に対して役務等を提供するということは、自衛隊が米軍の指揮下におかれることになるものである。また、特定公共施設等利用法案は、武力攻撃事態等と認定された場合において、日本国内の港湾施設・飛行場・道路・海空域及び無線通信を、自衛隊、米軍あるいはこれらから依頼を受けた業者などの優先的使用権下におくものである。そして、上記の武力攻撃事態等が、公海上で米軍に対する後方支援活動を行っている自衛隊への攻撃や攻撃が予測される場合も含むという政府見解からすれば、これらの法案は、日本の防衛とは直接関係のない場合にも、米国の軍事行動を支援協力する体制を日本国内に作り、また自衛隊をして協力させることになる。これは、従来の政府解釈によっても、憲法第9条によって禁止されている集団的自衛権の行使に該当するおそれが非常に強い。
③ 外国軍用品海上輸送規制法案の問題点
 外国軍用品海上輸送規制法案は、軍用品等を輸送していると疑われる船舶を、日本領海のみならず周辺公海においても強制的に停船させ、積荷を調べ、武器使用も認めるものであり、憲法9条が禁じた武力行使・武力による威嚇、さらに交戦権の行使に該当するおそれがある。
④ 上記法案と市民生活との関係
 国民保護法案は、最初に述べたように、市民の権利を制限し市民生活に重大な影響を及ぼすが、さらに、米軍支援法案は、適正手続の保障がないまま、米軍の緊急通行、通行妨害となっている物件の撤去を認め、さらに、米軍の土地家屋の使用のための立入検査の拒否に対する罰則をも規定している。米軍の軍事行動の支援のために市民の基本的人権の制約がなされるのであり、その問題は重大である。また同様に特定公共施設等利用法案は、米軍及び自衛隊に日本国内の港湾・飛行場・道路・海空域及び無線通信について優先利用を認めることによって、市民や業者の交通・輸送・通信を大きく制約し、日常生活に重大な影響をあたえるものである。
4 結論
 以上のべてきたように、これらの7法案のうち国民保護法案、米軍支援法案、特定公共施設等利用法案、外国軍用品海上輸送規制法案は、平和主義・基本的人権の尊重という憲法の根幹を損なう重大な危険をはらんでおり、その他の3法案についても、憲法に反するおそれのある武力攻撃事態法を補完するもので問題である。当会は、これら法案のもつ重大性・危険性に鑑み、有事7法案に反対し、廃案にすることを強く求めるものである。
2004年5月19日 仙台弁護士会会長 鹿野 哲義

平成16年04月12日 自衛隊のイラク即時撤退を求める会長声明
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自衛隊のイラク即時撤退を求める会長声明
 米国大統領による昨年5月1日の戦闘終結宣言の後も「イラクは戦争状態にあり、その全土が戦闘地域にある」状態が続いていたが、本年4月に入ると、従来協力的であったとされるシーア派と米軍など占領軍との間の激しい戦闘行為が発生し、現在も連日のように多数の死傷者が生じている。また4月8日には、自衛隊宿営地直近に向けて迫撃砲が撃ち込まれて着弾し、さらに同日、日本人民間人3名が誘拐され、自衛隊即時撤退の要求がなされるに至った。このような誘拐・脅迫行為は断じて許されるべきものではなく,誘拐された3名は速やかに解放されるべきものである。ところで,当会は、自衛隊派遣の根拠となるイラク特別措置法は、イラクにおける自衛隊の武力行使を事実上容認するもので、国際紛争を解決する手段として武力の威嚇又は武力行使を禁じた日本国憲法に違反する恐れが極めて大きいこと、イラク派兵は国連憲章に反する米英軍の武力行使と一体化したものと評価されることが明らかであることから、同法案の成立に反対した。さらに、法案成立後も、今回の自衛隊のイラク派遣は、憲法に反するだけでなく「自衛隊等の対応措置は非戦闘地域において実施し、武力による威嚇または武力行使にあたるものであってはならない」とのイラク特別措置法の基本原則にも反することを指摘し、派遣に強く反対しその中止を求めてきた。これにもかかわらず、政府はサマワは戦闘地域ではないとして自衛隊を派遣したのであるが、派遣後、戦闘はさらに激しくなり、上記のとおり迫撃砲が撃ち込まれるなどサマワも非戦闘地域とはいえないことがいっそう明らかになった。自衛隊が攻撃を受けて武力行使に至る危険性がますます高まってきたといわざるを得ない。このように状況が悪化するなかで,上記の民間人が紛争にまきこまれ誘拐されたもので,誘拐という犯罪行為に対し強い怒りを覚えるものであるとともに,まさに今自衛隊を撤退させなければ,日本国民が武力紛争の泥沼に入り込み,再び戦争の惨禍に苦しむことになることを深く憂うるものである。よって,当会は,日本政府に対し(1) 誘拐された3名の日本人を解放させるためのあらゆる努力を尽くすこと
(2) 自衛隊の派遣が日本国憲法及びイラク特別措置法の基本原則に反する派遣であることが歴然となった現実を冷徹に見据え、法の支配に則り、自衛隊を即時撤退させることを強く求めるものである。
2004年4月12日仙台弁護士会会長 鹿野 哲義

平成16年02月28日 宮城県災害対策支援機構(仮称)設立等に向けた決議
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2003(平成15)年5月、7月の宮城県北部連続地震は記憶に新しいところであるが、この地震においては、1978(昭和53)年の宮城県沖地震のような大規模な被害はもたらさなかったものの、被災地の高齢者・障害者等の社会的弱者に特に深刻な被害が見られた。また、宮城県付近を震源地とする大震災が近い将来発生するおそれもつとに指摘されている。1995(平成7)年1月17日の阪神淡路大震災においては被災住民からの法律相談が殺到し、復興活動においても弁護士・司法書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・建築士などの専門的知見の結集及び相互協力による横断的な対応が求められた。また、日本弁護士連合会は、2003(平成15)年5月23日開催の定期総会において、「全国弁護士会災害復興の支援に関する規程」を採択し、被災地域に居住又は勤務する市民の法的需要に応え、円滑な災害復興活動を被災地弁護士会が遂行するための支援体制の整備を打ち出している。当会は、阪神淡路大震災における被災地弁護士会等の諸活動の教訓に基づき、今後宮城県内において地震等の災害が発生した場合に、法律家として、災害後に起きる様々な法律問題に対し、関係諸団体と連携して、総合的に対処することを目的として、当会独自の災害対策に関する調査・研究を行なうとともに、県内の司法書士会等の関係諸団体との協議・意見交換を進め、横断的な災害復興支援機構を可及的速やかに設立する等して、災害復興対策のため、積極的な諸活動を企画・実行していくことをここに決意しここに決議する。
2004(平成16)年2月28日仙台弁護士会 会長松尾良風

平成15年12月18日 自衛隊のイラク派遣に反対する会長声明
ttp://senben.org/archives/555
自衛隊のイラク派遣に反対する会長声明
 政府は、12月9日、イラク特措法に基づく「基本計画」を閣議決定した。これに基づき、政府は年内にも無反動砲等の武器を携帯させて自衛隊をイラクへ派遣するとしている。しかし、今回の米英軍によるイラク侵攻は、国連安全保障理事会決議もなく、侵略行為に対する自衛行為でもなく、国連憲章に反する違法な行為と言わざるを得ない。そして現在、イラクにおいては、連日のように米英軍の占領に反対する抵抗が続いている。米英軍ばかりではなく、イタリア軍、スペイン軍等もその攻撃の対象となっている。軍隊の存在するところが、戦闘地域となると言っても過言ではない。しかも、国連事務所や国際赤十字委員会事務所も攻撃を受けており、国際機関職員や外交官の安全すら確保されていない。そして、ついに11月29日には日本人外交官2名が殺害されるといった事態も発生した。すなわち、イラクは戦争状態にあり、その全土が戦闘地域である。このような状況のなかイラクに自衛隊が派遣されれば、自衛隊そのものが占領軍としての米英軍の協力者として格好の攻撃目標となり、自衛隊員等が死傷したり、自衛隊員がその携帯する武器を用いてイラク国民に対して武力攻撃を行うという事態が発生する恐れが、極めて大きいといわざるを得ない。これは、憲法が否定した武力の行使を自衛隊が行うことにほかならない。日本国民は、過去の戦争に対する反省から「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」て、戦争と武力の行使の放棄を掲げる日本国憲法を制定した。憲法は、「国の最高法規」であり、これに反する国務に関する行為は無効である。しかも、イラク特措法は、「自衛隊等の対応措置は非戦闘地域において実施し、武力による威嚇又は武力行使にあたるものであってはならない」と定めている。今回の自衛隊のイラク派遣は、憲法および非戦闘地域にしか自衛隊を派遣してはならないとするイラク特措法に明らかに反するものと言わざるを得ない。内閣総理大臣をはじめとする国務大臣等は、憲法を尊重擁護する義務を負っているにもかかわらず、憲法にも法律にも反する自衛隊のイラク派遣を決定したことは極めて遺憾である。当会は「基本計画」の撤回を求めるとともに、自衛隊のイラク派遣に強く反対し、その中止を求めるものである。
2003年12月18日仙台弁護士会会長松尾良風

平成15年10月22日 司法修習生の給付制堅持を求める会長声明
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財務省の財政制度等審議会が司法修習の給費制の早期廃止を提言し,司法制度改革推進本部の法曹養成検討会でも,必ずしも十分な議論を尽くさないまま、「貸与制への移行という選択肢も含めて柔軟に検討する」との取りまとめをした。しかしながら,当会は,以下の理由により司法修習生の給費制を廃止することに強く反対する。現行司法修習制度における給費制は,司法修習生に修習専念義務を課していることの反面としてその生活を保障し、司法修習制度と不可分一体のものとして採用された制度である。すなわち、法曹養成制度は単なる職業人の養成ではなく、国民の権利義務、法の支配の実現にかかわるプロフェッションを養成するものであり、国及び社会にとって公共性・公益性の高い重要事項であるからこそ、司法修習生には修習専念義務を課す反面修習専念義務を尽くすための環境を確保するために給費制が取られているのである。したがって、修習専念義務と給費制を切り離すことは出来ない。また、修習専念義務が課される司法修習生の給費制が廃止されれば,経済的余裕のないものは法曹への道を断念せざるを得なくなる。高額な学費を要することが予想される法科大学院制度のもとではなおさらである。給費制の廃止により法曹への門戸が一般国民に閉ざされることは,社会の様々な分野において厚い層をなして活躍する法曹を獲得することを目指した司法制度改革の精神に反することは明らかである。給費制に代えて貸与制が採用された場合には、貸与の主体や条件等によって修習の独立性が脅かされるおそれもあること、また、法曹のスタート時点で多額の負債をかかえることは法曹としての質の高い活動を阻害する恐れもあることなどを考えると、貸与制では給費制廃止による弊害を取り除くことは出来ない。なお,給費制を廃止して貸与制に切り替えた上で任官者については当然に返済を免除するという議論が存在する。しかしこの議論は,実質的には任官者についてのみ給費制を維持することを意味するものであり,法曹三者の統一・公正・平等の理念に基づく司法修習を変容させ,法曹一元の理念を阻害するものであり到底容認することはできない。将来の法曹を担う人材の育成は国の責務と言うべきものであって,このため国は司法制度改革実現のため必要な財政上の措置を講ずる義務がある(司法制度改革推進法6条)。したがって、財政上の理由により給費制を廃止し貸与制を採用することは,本末転倒の議論である。よって,当会は,給費制廃止に強く反対し,給費制を堅持するよう求める。
平成15年10月22日仙台弁護士会会長松尾良風

平成15年07月16日 イラク特別措置法案に対する会長声明
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2003年7月4日、与党3党の賛成により、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案(以下、「イラク特別措置法案」という)が衆議院を通過した。イラク特別措置法案は、「戦後はじめて、自衛隊が他国領土で米英軍を主力とする多国籍軍を支援する」ことをその目的とし、自衛隊をイラクに部隊として派遣しようとするものである。そもそも米英軍のイラク侵攻は、既に当会でも指摘しているとおり、国連憲章に反するものであり、大量破壊兵器の未発見という事態を前にして、米英が主張した正当性さえ大きく揺らいでいる。また、現在、イラクには、イラク人による統治機構は存在しておらず、米英軍が、侵攻の戦後処理としての占領行政を行っている状態である。そして、イラクにおいては、米英軍の占領に反対しての抵抗が続いており、ブッシュ大統領も認めたとおり、イラクは未だ戦闘状態にある。このような状態にあるイラクに自衛隊が武器を携えて派遣され、戦闘継続中の米英軍のために武器・弾薬・兵員を輸送することは、「非戦闘地域での後方支援」などということはできず、米英軍の武力行使と一体化したものと評価されることは明らかである。そして、米英軍の占領行為に反対するイラク人勢力から自衛隊が攻撃される可能性も大きく、その際には、自衛隊がイラク国民に対して武力を行使する事態も、自衛隊員が死傷する事態も、現実に予想されるところである。日本国憲法が他国領土での武力行使を禁じていることは言うまでもない。したがって、イラクにおける自衛隊の武力行使を事実上容認するイラク特別措置法案は、憲法に違反する恐れが極めて大きいものといわざるを得ない。しかるに、衆議院において、延長国会でのわずかな審議で、憲法との適合性に疑問があり、国民の意見も大きく分かれているこの法案を、与党3党が全野党の反対を押し切って採決したことは、到底容認することができない。当会は、イラク特別措置法案の衆議院における採決に強く抗議し、同法案に反対するものである。
2003年7月16日仙台弁護士会会長 松尾良風

平成15年06月18日 有事法制3法の成立に対する会長声明
ttp://senben.org/archives/563
2003年6月6日、参議院本会議において、自民党・公明党・保守新党・民主党・自由党の賛成多数でいわゆる有事法制3法が可決され成立した。わが国は第二次世界大戦後58年を経て有事法制を有する国となった。当会は、本年5月21日付け会長声明などで、「対処措置」の発動要件である「武力攻撃事態」・「武力攻撃予測事態」の定義が曖昧であること、いわゆる周辺事態法でいう「周辺事態」との関係、武力攻撃事態法と周辺事態法がどう連動するかが不明確であること、有事認定の客観性も十分に担保されていないこと、国会による事前の民主的コントロールも確保されておらず、有事において民主的な統治機構や地方自治を維持することができるのか疑問であること、民放を含むメディアが有事に政府の統制下におかれる危険性も完全には排除されていないこと等の問題点を指摘し、参議院での慎重審議と十分な国民的議論を尽くすことを強く求めてきた。しかし、十分な国民的議論も尽くされず、上記のような重大な憲法上の問題点が何ら解消されないまま、有事法制3法が可決・成立されたことは、極めて遺憾なことといわざるを得ない。当会は、恒久平和と基本的人権の尊重、国民主権主義という日本国憲法の基本原理を擁護し、今後とも、有事法制の有する憲法上の問題点を広く明らかにし、平和が脅かされ基本的人権が侵害されることのないよう、法制の具体化や運用を、厳しく監視してゆく所存である。また、武力攻撃事態法を実施するため今後提出が予定されている「米軍支援法制」「国民保護法制」などの個別法案について、法律家団体として憲法の基本原理擁護の立場から、検討し提言していくものである。憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」(前文)するとともに、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」(12条)ことを謳っている。憲法の理念や憲法が保障する基本的人権は、一人一人の市民が自らの自由と権利を保持するために努力することによってのみ守られるものである。当会は、引き続き市民とともに、最大の人権侵害である戦争に反対し、憲法で保障された自由と権利を守るため、引き続き最大限の努力をする決意である。
2003年(平成15年)6月18日仙台弁護士会会長 松尾良風

平成15年06月18日 国選弁護人の報酬引き下げに抗議し、増額を求める会長声明
2003年(平成15年)6月18日仙台弁護士会会長松尾良風
ttp://senben.org/archives/567
平成15年05月21日 有事法制修正法案につき、参議院の慎重審議と国民的議論を尽くすことを求める会長声明
ttp://senben.org/archives/569
与党と民主党の修正合意を踏まえて、2003年5月15日、衆議院本会議において、自民党、公明党、保守新党、民主党、自由党の賛成多数で、「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」、「安全保障会議設置法の一部を改正する法律案」、「自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」が、一部修正(以下,これを「有事法制修正法案」という)の上採決された。採決された有事法制修正法案は、欠陥の大きかった政府案と比べれば、当会が指摘していた基本的人権の保障などの問題点に、ある程度応える内容となっている。しかし、「対処措置」の発動要件である「武力攻撃予測事態」の定義や範囲は曖昧なままであり、「予測事態」と周辺事態法でいう「周辺事態」の異同、武力攻撃事態対処法と周辺事態対処法がどう連動するかについても、依然として不明確なままである。また、「有事」認定の客観性も十分に担保されてはおらず、国会による事前の民主的コントロールも確保されていない。さらに、「有事」における内閣総理大臣の地方公共団体や指定公共機関に対する指示権・代執行権についても基本的な変更はなく、民主的な統治機構や地方自治を維持することができるのかという疑問は払拭されていない。民放を含むメディアが有事に政府の統制下におかれる危険性も残されたままである。このように修正法案にも、なお憲法上多くの重大な問題点が存在し、当会が指摘してきた憲法の定める平和主義・民主的統治機構・地方自治・基本的人権を侵害する危険性が解消されたとはいえない。
しかも、今回の修正法案については、衆議院での十分な審議はなされておらず、国民的な議論を尽くしたものとは到底言いがたい。言うまでもなく、有事法制法案は、わが国の進路を決定し、国民の生命と安全、そして基本的人権に大きくかかわる重要法案である。当会は、このような憲法原理にかかわる重要法案について、今後、参議院において徹底的な審議を行い、「有事」の定義や認定手続を含む修正法案の基本構造上の問題点を明らかにした上で、修正法案に対する国民的議論を尽くすことを、強く求めるものである。
2003年5月21日仙台弁護士会会長松尾良風

平成15年04月24日 個人情報保護各法案に反対し、実効的な個人情報保護法制の確立を求める会長声明
ttp://senben.org/archives/571
去る4月8日から今国会では、個人情報保護関連5法案(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案、同法案要綱案)の審議がなされている。これらの法案は、個人情報の保護に関する法律案についてメディア規制にならないように若干の文言上の配慮をしたことと、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案について公務員に対する罰則規定を若干強めたこと以外は、昨年12月にいったん廃案になった従前の法案と変わっていない。すなわち、たとえば個人情報の保護に関する法律案については、一般の民間事業者一般に対し、具体的義務を課した上、主務大臣が助言、勧告、命令等の権限を持ち、命令違反には罰則を設けているなど、事業者に対する広範な介入を招くおそれは依然として高いといった問題を抱えたままである。また、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案についても、なんら第三者機関を置かずに、利用目的の変更、目的外利用や行政機関同士の情報提供を広く認める反面、その必要性・相当性についてチェックできる手続的配慮がないなど、国民の個人情報が不当に行政機関内部で流通する危険性が大であるといった問題を抱えたままである。さらに、上記両法案には、思想、信条、病歴、犯罪歴などのいわゆるセンシティヴ情報の収集制限をしていないといった問題もある。制度の根幹にかかわる基本的なこととして、個人情報の保護に関する法律案については、一般的規制を見直して、当面は、個人信用情報、医療情報、教育情報といった分野ごとの特性に応じた個人情報保護制度が整備されることをめざすべきである。他方、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案については、全個人情報のファイルの作成を義務づけ、利用目的の変更、目的外利用などの禁止又は本人への通知を必要とする規定を設ける、行政機関の個人情報の取り扱いの必要性・相当性をチェックする第三者機関を設置する、原告の住所地の地方裁判所に提訴できるといった管轄を認める、といった点が盛り込まれるべきである。当会は昨年6月20日にも同趣旨の会長声明を出しているが、こうした基本的なことについての修正がなされない限り、当会は、上記個人情報保護関連5法案に、あらためて強い反対の意思を表明せざるを得ない。
2003年(平成15年)4月24日仙台弁護士会会長松尾良風