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2277 静岡県弁護士会

青字は投稿者コメントである。
群青
静岡県弁護士会
「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明
 政府は、本年5月17日、生活保護法の一部を改正する法律案(以下「改正案」という。)を閣議決定した。改正案は二つの点で、看過しがたい重大な問題がある。
 まず、改正案では、保護の開始の申請を、申請書による要式行為とするとともに、資産や収入に関する資料を添えることとしている。
  しかし、現行生活保護法24条1項は、資料の添付を義務づけておらず、また同条が口頭による保護申請も認めているとするのが確立した裁判例(平成13年10月19日大阪高裁判決など)である。現行法の下では、添付書類を提出しない保護申請を「不受理」とする取扱いは、「水際作戦」と呼ばれる違法な申請権侵害である。改正案が現行法下では違法とされる水際作戦を敢えて制度化し、保護申請権の行使を抑制しようとするものであることは明らかである。
  なお、報道によれば、本年5月29日、自民、公明、民主の3党で改正案の修正が大筋合意されたという。しかし、修正案によっても、特別の事情がない限り口頭による申請は認められない。従って「特別の事情がない」との口実で申請権行使が不当に抑制されるおそれは依然として大きいままである。
 次に、改正案は、保護開始に先立ち扶養義務者に対して通知することを義務付け,また、生活保護を申請する要保護者の扶養義務者の資産や収入について、銀行や勤務先に報告を求めることが出来るとしている。
  しかし、要保護者は扶養義務者との人間関係が悪化していることが多く「親族に迷惑は掛けられない」と思う者は多い。また、扶養義務者自身も経済的に余裕がない場合が少なくない。
 現行法下ですら、要保護者が、扶養義務者への通知によるあつれき等を恐れて申請を断念する場合は少なくない。改正案はいっそうの萎縮的効果をもたらすことは明らかである。
よって、当会は、改正案の廃案を強く求める。
2013(平成25)年5月28日
静岡県弁護士会
会長 中村 光央
審査なしで保護しなさい。不法滞在者は書類だせないもんなぁ。

マイナンバー法の制定に反対する会長声明
本年3月1日,政府は,「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(通称「マイナンバー」法案)を国会に提出し,今国会会期内の成立を目指している。
  マイナンバー制度は,国民一人ひとりに番号を割り振ることにより,行政手続の簡略化,生活保護の不正受給や脱税の防止等の効果が期待できるとされている。しかしながら,その利用範囲は,社会保障,税,防災分野等多岐にわたり,情報の内容も,母子,生活保護,障がい,要介護,病歴,失業,収入,資産など極めて広範囲かつセンシティブなものを含んでいる。したがって,国や行政機関は,マイナンバーによって,国民の個人情報の一元的管理が可能となり,その収集,利用方法によっては,国民のプライバシー権は危機に瀕することとなる。
  しかも,各行政機関が個人情報を取得できる範囲は,本来,法律によって限定しなければならないはずであるが,本法案では,その多くが政省令等に委任されている。その結果,各行政機関は大幅な裁量権を有し,他方,国会の民主的コントロールは極めて不充分となっている。
  また,情報は,その性質上,ひとたび漏洩するとその回復が著しく困難であるところ,本法案では,国民の情報の内容が上記のとおり極めて広範であることから,情報漏洩等が起きた場合の被害は深刻かつ重大である。そして,その危険は,既に導入されている住民基本台帳ネットワークシステムにおいて,住基カードの不正取得等の事例が多発している現状によって実証されているところである。
 確かに,本法案では,個人情報の保護の対策として,特定個人番号情報保護委員会の設置,不正利用等についての罰則,国民が自宅のパソコンから自分の情報提供等の記録を確認できる「マイ・ポータル」などが規定されている。
  しかしながら,特定個人番号情報保護委員会による実効的な個人情報保護の具体的方策は明らかでないし,罰則も事後的な対策にすぎない。「マイ・ポータル」も情報の不正使用等の事後的な確認手段にすぎず,むしろ,インターネットを通じて個人情報の閲覧が可能となることから,不正アクセス等による新たな情報漏洩等のおそれが高い。
  何より,このような重大なプライバシーの問題を含む本法案の存在及びその内容が国民に周知されているとは到底言えず,国民的議論も十分になされていない現状では,本法案が成立した場合,国民の権利保護の観点から大きな禍根を残すことは明白である。
よって,当会は,本法案が,基本的人権の中核であるプライバシー権の侵害の危険性が極めて高いことから,その制定に強く反対する。
2013(平成25)年3月27日
静岡県弁護士会 会長 渥美 利之

家族法の差別的規定改正の早期実現を求める会長声明
法務省が本年2月19日に公表した選択的夫婦別姓や婚外子の相続分差別撤廃を内容とする家族法改正案は,14年前に法制審議会が答申した法律要綱案をやっと法案化するものであり,当会は,この家族法改正が早期に実現されることを強く求める。
  女性の多くが,現実には婚姻後,旧姓の変更を余議なくされ,職業上も生活上も様々な不利益を被っている。先進国で,婚姻後の夫婦同姓を強制しているのは日本のみである。姓は名とともに自己のアイデンティティの根幹をなすものであり,婚姻後も婚姻前の氏を使い続けるというライフスタイルの選択の自由は,憲法に照らし,十分に尊重されなければならない。
  2006年(平成18年)の内閣府の調査によると,60歳未満の年齢層では選択的夫婦別姓導入に賛成する者が反対する者を上回った。2009年(平成21年)9月以降に複数の新聞社により実施された調査ではいずれも,選択的夫婦別姓の導入に賛成の者の数が反対する者を上回った。
 選択的夫婦別姓の導入の機は十分に熟しているといってよい。政府及び国会はこうした国民の声を真摯に受け止めるべきである。また,婚外子の相続差別の撤廃も国際社会の趨勢である。婚外子の相続分差別は,子自身の意思や努力によっていかんともし難い事実をもって差別するものであり,憲法13条,14条及び24条2項に反することは明らかである。
  最高裁においても,相続分差別を撤廃すべきであるという意見は何度も述べられている(直近では2009年(平成21年)9月30日最高裁判例における補足意見,反対意見等)。さらに,女性にのみに課される再婚禁止期間についても,主に父子関係の確定のための規定とされるが,DNA鑑定等科学技術の発達により親子関係の確定が容易になったことから,男女間に差を設けるべき根拠は既に失われており,再婚禁止期間の規定は撤廃されるべきである。
また,婚姻年齢を男女とも同一にすべきことも,憲法14条から当然に要請されることである。
 1993年(平成5年)以来,国連の各種委員会は日本政府に対し,家族法改正を勧告し続けてきた。とりわけ2009年女性差別撤廃委員会は,家族法改正を最重要課題として指摘し,2年以内の書面による詳細な報告を求め,再度早期改正を行うよう厳しく勧告している。
 よって,当会は,上記のような社会情勢,国民の意向を十分に尊重し,選択的夫婦別姓の導入をはじめ,家族法の差別的規定の改正が速やかに実現されることを強く求める。
2010(平成22)年3月25日
静岡県弁護士会 会長 鈴木 敏弘
日本の戸籍制度を崩壊させる要求ですね。

集会の自由とホテル利用契約破棄についての会長声明
グランドプリンスホテル新高輪(株式会社プリンスホテル経営)が、日本教職員組合(以下、日教組という)との施設利用契約を破棄し、日教組が「教育研究全国集会(教研集会)」全体集会を開催することができなくなった問題で、当会は次のとおりの意見を表明する。
 報道によれば、日教組は、本年2月2日教研集会全体集会(2千名規模)開催のため、昨年5月グランドプリンスホテル新高輪と会場利用契約を締結していたところ、同ホテルは昨年11月、日教組に同契約の解除を通告、これに対して日教組は、同年12月東京地裁に会場使用を求めて仮処分を申立、東京地裁、東京高裁(本年1月30日)のいずれの決定も、会場使用を認める決定であったが、既に同ホテルは、同会場使用を他の利用者と契約をしており、教研集会全体集会は中止された。
 なお、同ホテルは契約解除理由として、「周辺に迷惑がかかると判断した」としている。全国各地で毎年開催される教研集会を巡っては、会場周辺で右翼団体等が街頭宣伝活動を行い、警察による警備体制が敷かれたりしてきた。
 日本国憲法21条1項が保障する集会の自由が、民主主義社会における極めて重要な意義を有する基本的人権であることは、今さら言うまでもない。そして、この人権規定が、企業活動を直接拘束するものではないとしても、集会の自由が有するかかる極めて重要な意義からすれば、企業の経済活動においてもこれを重視、尊重すべきが当然である。
 しかるに今回の同ホテルの行為は、憲法で保障された集会の自由を尊重するどころか著しくこれを軽視し、集会の自由を不正な実力で妨害する勢力を結果として助長することとなる。報道によれば、ある右翼団体幹部は、今回の事態を「(自分たちの)活動の成果」としているとのことである。
 さらに今回、東京地裁及び東京高裁が同ホテルに対し会場の使用拒否をしてはならないことを命ずる決定を下しているにもかかわらず、同ホテルがこれに従わず、早々と他の利用者と契約してしまい、これがため集会が中止に追い込まれたという事態を弁護士会としては到底看過できない。「司法よりも企業の論理を優先する判断で、この国の自由は死んだという状況になってしまう」、「法を無視しても賠償すればよいという姿勢なら、法治国家の最低限のモラルに反する」との教育者や法学者の声も報じられているが、我々弁護士会も、同様の危惧を強く指摘せざるを得ない。
 当会は、日弁連とともに「法の支配」を社会のあらゆる場面に行き渡らせ「国民のための司法」を実現させるための司法制度改革に全力で取り組んで来た。今回のグランドプリンスホテル新高輪の行為は、法治国家における企業の社会的責務に反し、民主主義社会において極めて重要な意義を有する集会の自由の侵害に結果として手を貸すものであり、さらには裁判所の司法判断の無視という重大なルール違反でもある。
 当会は、同ホテルのかかる行為に対し強く遺憾の意を表明するととともに、同ホテルに対し真摯な反省を求めるものである。
2008(平成20)年2月12日
静岡県弁護士会
会長 杉本 喜三郎

憲法改正国民投票法案に反対する声明
憲法改正手続を定める国民投票法案が、4月13日の衆議院本会議で自民・公明党などの賛成多数で可決され、参議院における審議に入った。
  そもそも憲法改正国民投票は、主権者たる国民自身が、国政のあり方を最終的に決定するものであり、高度に民主的な手続きである。したがって、その手続きを定める国民投票法は、国民が充分な情報を得た上で、自由にその意思を決定し、権力に縛られることなく行動して一票を投じ、その意思決定は結果に充分に反映される内容でなければならない。
また、日本国憲法は国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という人類普遍の原理に基づく国の基本法であるから、憲法改正に関する決定は極めて慎重に行われることが前提とならなければならない。したがって、国民投票法もかかる前提の下に制定されなければならない。
ところが、既に衆議院を通過した国民投票法案には、上記のような民主的かつ公正さの観点を欠く、重大な問題が存在する。
  法案は、最低投票率の定めをおかず、かつ有効投票総数の過半数(無効票は結果に反映されない)の賛成をもって「過半数の賛成」ありと規定する。しかし、これではごく少数の国民の賛成のみで憲法改正が承認される結果をもたらし、憲法改正のためのハードルを高く設定した硬性憲法の建前に反する点で、重大な問題がある。
  法案は、公務員・教育者についてその「地位を利用した」国民投票運動を規制し、かつかかる運動に対して罰則が科される余地を残している。かかる規定は、本来自由であるべき公務員・教育者の国民投票運動に対して重大な萎縮効果を及ぼし、表現の自由を不当に規制する点で、重大な問題がある。
 法案は、改正案の発議について「内容において関連するごと」としており、一括投票の余地を残している。しかし、条文ごとの個別投票によらなければ、改正案と国民の意思表明との対応関係が不明確となり、国民投票において国民の意思が正確に反映されない恐れがある。
 法案は、改正案の「公報」及び「広報」に関する事務を担う「広報協議会」を国会に設置するとし、その委員は国会での各会派の議席数に応じて構成すると規定する。しかし、かかる委員の構成では、国会内で少数意見となる改正案への反対意見が公平に取り扱われるか疑問があり、国民への情報提供に偏りが生じる恐れがある。
 法案は、憲法改正を発議した日から60日以後180日以内の日を投票日とするとしているが、このような短期間では、国民間の充分な議論・熟慮が保障されない恐れがある。
 以上の通り、同法案は、国政のあり方を決める憲法改正に関わる法律であるにもかかわらず、依然として重大な問題が多数存在しており、なお審議は尽くされていないというべきである
 それにもかかわらず衆議院においては与党の賛成のみで強引に法案が可決されたことに対し、当会としては遺憾の意を表明すると共に、なお法案に重大な問題点が存在することに鑑み、同法案に反対する旨を表明するものである。
2007(平成19)年4月20日
静岡県弁護士会 会長  杉本 喜三郎

「共謀罪」法案に重ねて反対する会長声明
 当会は、今国会で審議中の「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律」案に含まれる「共謀罪」について、すでに2005(平成17)年6月23日及び2006(平成18)年3月22日にこれに反対する会長声明を出しているところであるが、今回の与党修正案についても、以下の見過ごすことのできない問題を有しているので、重ねて「共謀罪」の新設に強く反対するものである。
 共謀罪とは、(1)「長期4年以上の刑を定める犯罪」について、(2)「一定の団体の活動として」、(3)「当該行為を実行するための組織により行われるもの」の、(4)「遂行を共謀した者」を、(5)懲役5年以下の刑罰に処し、(6)犯罪の実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽しまたは免除する、という内容のものである。
これは、共謀だけで犯罪が成立し、実行行為なくして、すなわち意思を通じる行為そのものが処罰の対象となることを意味している。
思想処罰の危険性
 修正案では「共謀をした者のいずれかにより共謀に係る犯罪の実行に資する行為が行われた場合」にはじめて共謀罪を処罰できるとし、「適用に当たっては、思想良心の自由を侵すことがあってはならず、かつ、団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない」との規定を設けている。しかし、「犯罪の実行に資する行為」は犯罪の準備行為よりもはるかに広い概念であり、この要件を付したとしても限定とはならないし、思想良心の自由を侵害してはならないという注意規定が実際の運用に殆ど影響がないことは、これまでの同様の規定の運用からして明らかである。修正案は、単に修飾的な語句を付加したに過ぎない。
 そもそも近代刑法は、法定された要件を具備しなければ犯罪はなく、刑罰もないという「罪刑法定主義」、客観的な犯罪行為があってはじめて処罰できるという「行為主義」の原則を確立し、国家による恣意的な刑罰権の発動を抑止し、人権を保障してきたのである。
 ところが、この法案では、「共謀」という極めて曖昧な概念にとどまるものを処罰対象としており、上記の近代刑法の原則に反していると言わざるを得ない。そればかりでなく、予備行為さえ行われる以前の「共謀」だけで前倒しで処罰されることは、人の内心・思想が処罰対象とされることになって、憲法で定められた言論・思想・結社の自由に対する重大な脅威である。
広範な規制対象
 この法案では、600を超える犯罪の「共謀」が広範に処罰対象とされている。しかも修正案によっても、必ずしも団体自体が犯罪を共同目的にしているものに限定されているとは言い難く、犯罪性のない一般の会社・市民団体・労働団体等も共謀罪の対象となる団体に該当しうる可能性があることから、これらが恣意的に「組織的犯罪集団」とみなされる危険性は払拭されない。
捜査方法の危険性
 「共謀」という意思を通じる行為を捜査するには、個人の会話、電話、メール等が証拠として重視されることになる。そうすると、捜査機関による通信傍受が広く行われることになり、街中の監視カメラが一般化して、広く市民のプライバシーが監視対象とされ、社会における自由な活動を著しく萎縮させる効果を及ぼすことになる。
よって、当会は、憲法の基本権である内心・思想・表現の自由を侵害し、かつ近代刑法の大原則である罪刑法定主義・行為主義に反する「共謀罪」法案に断固反対するものである。
2006(平成18)年4月28日
静岡県弁護士会 会長 興津 哲雄

共謀罪の新設に反対する会長声明
平成15年の通常国会から衆議院解散に伴う廃案を挟んで4国会にわたって継続審議となっている刑法、刑事訴訟法、組織犯罪処罰法などの改正法案(以下「法案」といいます)が、今国会において審議日程に上っています。
しかし、法案は、以下のとおり、「共謀罪」という市民生活にとって重大な脅威となる新たな犯罪類型を創設するなど看過できない問題を含んでいます。
 共謀罪とは、「長期4年以上の刑を定める犯罪」(強盗、殺人などの凶悪犯罪から窃盗、横領、背任などまで合計557の犯罪)について、「団体の活動として」「当該行為を実行するための組織により行われるもの」の「遂行を共謀した者」に対し、一定の有期懲役刑を科すというものです。即ち、共謀罪が成立するためには、凶器や犯行のための道具を買うなどの準備行為も不要であり、組織的犯罪集団の行為である必要はなく、「犯行の合意」という誠に不明確な、いかようにも解される概念により処罰することができることになり、思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの基本的人権に対する重大な脅威となるものです。また、共謀罪の捜査は、具体的な法益侵害行為を対象とするのではなく、会話、電話、メールなどのあらゆるコミュニケーションの内容を対象とするため、捜査の自白への依存度を強め、犯罪捜査の通信傍受に関する法律の適用範囲の拡大や、メールのリアルタイム傍受の合法化も予測されます。
 更に、共謀罪の新設は、「国際的な犯罪の防止に関する国際条約」の批准に伴うものとされていますが、この条約では、締結国の国内法の原則に照らし、「合意の参加者の一人がその合意の内容を推進するための行為があったとき」或いは、「組織的犯罪集団の関与するもの」に処罰範囲を限定することを明確に求めており、更には、条約の審議過程によれば、「越境犯罪」に処罰範囲を限定することも可能です。 しかし、法案はこのような指摘をも無視したものです。
 当会は、提案されている共謀罪は、刑法の基本原則に反し、その人権保障機能にも反するものであるので、法案が規定する共謀罪を制定することに反対いたします。
2005(平成17)年6月23日
静岡県弁護士会 会長 三井 義廣