2323 ら特集新潟弁護士会③

新潟県弁護士会
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新改正案は、与野党の修正協議を踏まえ、申請の際に申請書及び添付書類の提出を求める24条については、1項の「保護の開始の申請は…申請書を…提出してしなければならない」との文言を「保護の開始を申請する者は…申請書を…提出しなければならない」との文言に変更し、また、同条1項及び2項に、いずれも、「特別の事情があるときは、この限りでない」とのただし書を加え、申請の意思表示と申請書等の提出を概念的に切り離す形に変更されている。これに対し、扶養義務者への通知及び調査に関する改正案24条8項、28条及び29条については、旧改正案に対し一切の修正がなされていない。
第183回通常国会審議の際の政府答弁等によれば、まず、改正案24条については、従前の運用を変更するものではなく、申請書及び添付書類の提出は従来どおり申請の要件ではないこと、福祉事務所等が申請書を交付しない場合も、ただし書の「特別の事情」に該当すること、給与明細等の添付書類は可能な範囲で提出すればよく、紛失等で添付できない場合も、ただし書の「特別の事情」に該当すること等を、法文上も明確にする趣旨で原案を修正したとされている。しかしながら、法文の形式的な文言のみからは、修正の趣旨がなお不明確であり、また、従前の運用を変更しないのであればそもそも法文の新設は不要なはずである。このままの規定であれば、法文が一人歩きし、申請を要式行為化し厳格化したものであると誤解され、違法な「水際作戦」をこれまで以上に、助長、誘発する可能性が極めて大きい。
また、改正案24条8項、28条及び29条については、政府答弁において、明らかに扶養が可能な極めて限定的な場合に限る趣旨であると説明されている。しかし、かかる規定の新設により、保護開始申請を行おうとする要保護者が、扶養義務者への通知等により生じる親族間のあつれきやスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)を恐れて申請を断念するという萎縮効果を一層強め、申請権を形骸化させることは明らかであり、到底容認できない。
以上の通り、新改正案についても旧改正案に見られた基本的問題点は何ら払拭されていないと言わざるを得ない。
一方、当会は、2012年(平成24年)10月17日付意見書において、生活保護 基準が下がれば、現にぎりぎりの生活をしている生活保護を利用している人たちの生活費が減額され、また、生活保護の受給がより困難になる結果、多くの低所得の人たちの生活が危機にさらされ、その生命、健康にもかかわる取り返しのつかない結果を招きかねないことを指摘し、生活保護基準を引き下げることに対し強く反対することを表明した。それにも関わらず、政府は、世帯構成によって3年間で最大10%に及ぶ生活扶助費の引き下げを、本年8月から強行した。
さらに、本年10月4日に再開された厚生労働省の生活保護基準部会においては、住宅扶助や加算の見直し等が議論の対象とされており、今後さらなる生活保護基準の引き下げがなされるおそれもある。
憲法25条は、すべての国民に対し生存権を保障し、国に対し社会福祉、社会保障の向上増進に努める責務を課している。
それにもかかわらず、生活保護法の改悪と生活保護基準の引き下げを同時に進めようとしている政府の姿勢は、憲法尊重義務に明らかに反するものというべきであり、到底容認できない。
当会は、本年9月21日、生活扶助基準削減や今回の生活保護法「改正」の問題点を直視し、制度の改善と充実した支援のあり方を考えるために、「日弁連第56回人権擁護大会プレシンポジウム及び貧困問題全国キャラバン 生活保護が危ない~生活保護のあり方 あるべき支援を展望する~」を開催した。このプレシンポジウムの来場者は115名に上り、当会が参加者に対し配布したアンケートには65名もの方が回答した。参加者からは、「憲法に照らし、だれでも利用しやすく、自立しやすい制度にとの考え、また一人一人への人権の尊重が本当に大切と思います。」、「水際で保護を希望する人をシャットダウンする方法は無意味であるとあらためて感じた。」などの真摯な声が寄せられた。これらの回答にあるように、保護が必要な人に必要な支援がいきわたるようにすることこそが、生活保護法の目的であり、当会のプレシンポジウムの主題でもあった。政府は、このような声にこそ耳を傾けるべきである。
よって、当会は、新改正案の廃案を改めて強く求めるものである。
2013年(平成25年)10月24日
新潟県弁護士会 会長 味 岡 申 宰

特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明
政府は、秘密保全に関する法制の整備のための法案化作業に取り組んできたが、2013年(平成25年)9月3日、法案化作業の検討結果を「特定秘密の保護に関する法律案(以下「本法案」という)の概要」として取りまとめた。しかしながら、日本国憲法の基本原理を尊重する立場から、以下の理由に基づき、当弁護士会は、本法案の国会提出に反対する。
1 国民の憲法上の権利などに重大な影響を与えるおそれのある法案の立法化には、当該法案を必要とする具体的な事情の存在が必要不可欠である。2011年1月4日に政府が設置した秘密保全のための法制のあり方に関する有識者会議で紹介された過去の情報漏えい事案については、自衛隊法の改正など既に必要以上ともいえる対策がとられているのであって、新たな立法を必要とする具体的な事情はない。
2 本法案において保護される「特定秘密」とは、「防衛に関する事項」、「外交に関する事項」、「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項」、「テロ活動防止に関する事項」の4分野のいずれかに関わる、秘匿性の高い情報(別表等であらかじめ列挙されたもの)と定義される。しかし、上記4分野の別表の定めは、具体的な対象を限定したものということができない。例えば、原子力発電所に関する情報は、発電所がテロリストの攻撃対象にされる「テロ活動防止に関する事項」とされうるなど、あらゆる情報が上記4分野に含むとする解釈が行われる危険性が高いからである。そのため、「特定秘密」の意義は不明確であると言わざるを得ない。2011年3月の福島第一原子力発電所の事故に関する政府の情報管理の運用実態に照らすと、行政機関に都合の悪い情報は全て「特定秘密」にされる危険性が高いものといえ、広範囲の重要な情報が国民から隠されるおそれがある。
3 本法案は、指定された特定秘密を保全するため、誰が当該情報を取り扱うにふさわしいのかを判断する制度として、適性評価制度が導入することを予定している。すなわち、本法案は、「特定秘密」の取扱いを行う職員に関し、当該職員本人のみならずその家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所という個人のプライバシー情報の収集を認めている。しかし、「特定秘密」が広範囲であり、調査の対象者も広く、取扱者に関する調査事項も無限定に近いことも併せると、「適性評価」の名の下に職員のみならずその家族のプライバシーが侵害される危険性が大きい。また、本法案は、対象者に対する調査事項として、「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他活動並びにテロ活動との関係に関する事項」などを予定する。しかし、「我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他活動並びにテロ活動との関係に関する事項」の定義も不明確であることから、適性評価制度においては、行政機関の広範な情報収集に基づく恣意的判断によって思想信条を理由とする差別が行われるおそれがあり、思想信条の自由が侵害される危険性が高い。
4 本法案は、特定秘密の外部流出を防止するため、秘密漏えい、特定取得行為、教唆、共謀、煽動を処罰する規定を設けている。しかし、秘密漏えいの処罰は、特定秘密の意義が不明確であるため、国民に重要な情報を公開しようとする正当な内部告発を抑圧する。また、特定取得行為の処罰は、特定秘密の意義が不明確であることと併せて、対象となる行為の範囲も広範にわたるため、報道機関の報道の自由、国民の知る権利を侵害する危険性が高い。さらに、教唆、共謀、煽動と、全く特定秘密の漏えい行為がなされていない段階での処罰は、特定秘密の意義が不明確であることと併せて、過度の萎縮効果をもたらすという点で、報道の自由や知る権利を侵害する。
5 「特定秘密」の対象となる「防衛に関する事項」、「外交に関する事項」、「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項」、「テロ活動防止に関する事項」の4分野は、主権者たる国民が判断すべき国政の重要な事項である。何が国政にとって重要なのかを判断するためには、政府が保有する情報を広く国民に開示することこそが望ましい在り方である。情報の統制を目的とする法案は情報開示の姿勢に真っ向から反し、国民主権を否定する危険性が極めて高いものである。
6 以上から、当弁護士会は本法案が立法化されることに強く反対し、政府が本法案を国会に提出しないことを求める。
2013年(平成25年)9月24日
新潟県弁護士会 会長 味岡 申 宰

憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する決議
決議の趣旨
当会は、憲法第96条を改正して、憲法改正の発議要件を緩和することに強く反対する。
決議の理由
1 憲法第96条を改正しようとする最近の動き
憲法第96条は、憲法改正の要件について、各議院の総議員の3分の2以上の賛成による憲法改正案の発議と国民投票による過半数の賛成による承認を必要とする旨定めている。
これについて、自由民主党(以下、「自民党」という。)は、2012年4月27日に発表した「日本国憲法改正草案」の中で、第96条の憲法改正の発議要件を衆参各議院の総議員の過半数にする改正案を打ち出し、6月20日には、7月の参議院選挙の公約としている。また、日本維新の会も同様の提案をし、みんなの党も衆議院憲法審査会における討議において要件緩和を主張している。
憲法第96条を改正して憲法改正の発議要件を緩和しようとするのは、憲法改正を容易にして、その後、憲法第9条や人権規定、統治機構の条文等を改正しようとの意図からなされていると思われる。
特に最近の自民党の議論を見ると、まずは改正手続の発議要件を緩和し、内容的な改正は後の国民的議論によるべきであるなどとして、最終的な狙いとする憲法第9条等の改正を議論の土俵にあげていない。仮に憲法改正の必要性があると考えるのであれば、現行の憲法第96条の手続のままでその改正案を提示し、正面から国会で審議をして、国民の審判を仰げばいいのであって、憲法の生命線ともいえる改正手続きそのものを緩和して、思いのまま目的を果たそうというのは、国民に対する不誠実な態度というほかない。
2 国会の発議要件が3分の2以上とされた理由
憲法は、基本的人権を守るために、国家権力の組織を定め、たとえ民主的に選ばれた国家権力であっても、権力が濫用されるおそれがあるので、その濫用を防止するために、国家権力に縛りをかける国の基本法である(立憲主義)。
そこには、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という、安易に変更されることがあってはならない国家の根本原理が規定されている。
憲法の定める基本的人権は、憲法第11条が「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。」とし、憲法第97条が「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、過去幾多の試練に耐え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」としているとおり、侵害することの許されない永久の権利である。
そして、この基本的人権の尊重こそが憲法の最高法規性を実質的に裏付けるものであり、この条項に引き続く憲法第98条は「この憲法は、国の最高法規であって」と、憲法の最高法規性を宣言している。
また、憲法は、統治機構についても、国会の二院制や国会議員の任期、内閣総理大臣の指名手続や内閣の職務、裁判官の独立や違憲立法審査権など、その時々の政権与党の都合で揺れ動くものであってはならない事項についての基本的なルールを規定している。
憲法がこのようなものであるからこそ、憲法第96条は、国会による憲法改正の発議には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成を要求し、国民に様々な意見や利害が存在する中で、なるべく幅広い意見や利害に共通するような判断ができるように、国民の代表機関である国会に慎重かつ十分な審議を求め、少数者の利害にも配慮できるよう求めているのである。
3 発議要件の緩和は、憲法の安定性を損ない、人権保障を形骸化するおそれがあること
憲法改正の発議要件が緩和され、充実した議論が尽くされないままに国会の各議院の過半数のみの議決で足りるとなれば、極めて容易に憲法改正の発議ができることになる。そうなれば、時の政権の方針で安易に憲法改正の発議がなされてしまい、憲法の安定性が大きく損なわれ、憲法が定めた基本的人権の保障が形骸化してしまうおそれがある。
国の基本法である憲法が、その時々の政権の都合で安易に改正されることは、それが国民の基本的人権保障や国の統治体制に関わるものであるだけに、絶対に避けなければならない。
なお、現在の選挙制度のもとにおいては、たとえある政党が過半数の議席を得たとしても、小選挙区制の弊害によって大量の死票が発生するため、その得票率は5割にはとうてい及ばない場合がありうる。現に2012年12月の衆議院議員選挙では、自民党は約6割の294議席を占めたが、有権者全体からみた得票率は3割にも満たないものであった。
したがって、現在の選挙制度のもとにおいて、各議院の過半数の賛成で発議できるとすれば、国民の多数の支持を得ていない改正案が発議されるおそれが強いのであり、少数者の利害にも配慮した十分慎重な議論が行われなくなる可能性が高いことに留意する必要がある。
4 憲法第96条を改正する理由がないこと ~国民の意思の反映~
憲法改正発議要件を緩和することの理由として、改正案が国民に提案される前に、国会での発議要件が余りに厳格なのでは、国民が憲法についての意思を表明する機会が狭められることとなり、かえって主権者である国民の意思を反映しないことになると主張される。
しかし、既に述べたように、憲法は国の基本原則や基本的人権の保障、統治機構の基本的ルールを定めた最高法規なのであるから、その改正のためには、国民に様々な意見や利害が存在する中で、少数者の意見や利害をも含めたなるべく幅広い意見や利害が調整できるように、国民の代表機関である国会で十分慎重な議論が行われるべきである。
そもそも、日本国憲法は、議会制民主主義を採用し(憲法前文、第41条、第43条)、かかる制度のもとでは、全国民の代表である議員により組織される国会において、少数者の意見や利害にも配慮した十分な審議が行われ、民意が反映・調整されることが期待されている。
憲法第96条は、憲法改正にあたっては、議会において少数者の意見や利害にも配慮した十分慎重な審議を尽くした後、国民の直接的な意思を問うという構造を採っているものである。
したがって、上記主張のように、憲法改正の発議要件が厳格であると主権者である国民の意思を反映しないことになるという理由は、根拠がない。
さらにいえば、国民が憲法について意思表明をする機会は国民投票に限られたものではなく、まずは、自由な言論や国民の代表者を選挙する過程においてなされるものである。憲法改正についての国民投票は、かかる国民的な憲法論議が熟した後に最終的な決断をするために行われるのである。したがって、国会での特別多数決を経た後に初めて国民投票が行われることは、何ら国民の意思表明を阻害するものではない。
5 憲法第96条を改正する理由がないこと ~諸外国との比較~
発議要件を緩和することの理由として、憲法第96条の要件は、世界的に見ても特に厳しく厳格に過ぎると主張されることがある。
しかし、世界各国の憲法と比較した場合、日本国憲法の改正要件が特別に厳しいというわけではない。
例えば、日本国憲法と同様に、議会の3分の2以上の議決と国民投票を要求している国としては、ルーマニア、韓国、アルバニアなどがある。フィリピンでは、議会の4分の3以上の議決と国民投票を要求している。イタリアでは同一構成の議会が一定期間を据え置いて再度の議決を行い、2回目が3分の2未満のときには国民投票が任意的に行われる。アメリカでは連邦議会の3分の2以上の議決と4分の3以上の州による承認が必要とされている。フランスでは国民投票又は政府提案について議会の議決と両院合同会議による再度の5分の3以上の議決によって憲法が改正される。
このように、世界中には、厳格な憲法改正規定が種々存在し、憲法第96条と同等あるいはそれよりも厳しい改正要件を定めている憲法も少なくないのであって、世界的に見て特別に厳しいということはできない。
6 国民投票制度の不備
憲法は、国の基本的な在り方を定め、人権保障のために国家権力を縛るものであるから、その改正に際しては国会での審議においても国民投票における論議においても、充実した十分慎重な議論の場が必要である。
ところが、2007年5月18日に成立した憲法改正手続法(「日本国憲法の改正手続に関する法律」)には、重大な問題点が未解決のまま残っている。
たとえば、国民投票における最低投票率の規定がないこと、また、国会における発議から国民投票までに十分な議論を行う期間が確保されていないこと、公務員と教育者の国民投票運動に一定の制限が加えられているため、国民の間で十分な情報交換と意見交換ができる条件が整っていないことなどである。
結局、憲法改正に賛成する意見と反対する意見が国民に平等に情報提供されないままに、改正を是とする意見が所与のものとして多数を形成するおそれが大きい。そのため、憲法改正手続法を可決した参議院特別委員会は、これらの重大な問題点に関し18項目にわたる検討を求める附帯決議を行っているのである。
このように、国民投票において十分な情報交換と意見交換ができるように制度設計を図ることの対応が放置されたまま、国会の発議要件の緩和の提案だけが先行するのは、本末転倒と言わざるをえない。
7 結論
以上のとおり、憲法第96条について提案されている改正案は、国の基本的な在り方を不安定にし、立憲主義と基本的人権尊重の立場に反するものとしてきわめて問題であり、許されないものと言わなければならない。
当会は、憲法改正の発議要件を緩和しようとする提案には強く反対するものである。
よって、上記のとおり決議する。
2013年(平成25年)7月8日
新潟県弁護士会臨時総会決議

憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する会長声明
昨年12月の総選挙の結果、自由民主党、日本維新の会及びみんなの党の三党は、衆議院において3分の2以上の議席を占めるに至った。これら三党は、憲法第96条の発議要件を、衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成から過半数の賛成へ緩和しようとしている。しかし、憲法第96条を改正して、国会の発議要件を緩和することには、以下のとおり重大な問題があるから、当会はこれに強く反対する。
憲法は、基本的人権を守るために、国家権力の組織を定め、たとえ民主的に選ばれた国家権力であっても、権力が濫用されるおそれがあるので、その濫用を防止するために、国家権力に縛りをかける国の基本法である。(立憲主義)
このように、憲法は国の基本的な在り方を定める最高法規であるから、憲法が改正される場合には、国会での審議において、充実した十分慎重な議論が尽くされた上で発議がなされることが求められ、法律制定よりも厳しい要件が定められたものである。
しかるに、国会の発議要件を「3分の2以上」から「過半数」に緩和することは、そのときどきの政権与党が容易に憲法を改正できることとなり、基本法たる憲法の安定性を損なうこととなる。
各国の憲法と比較しても、日本国憲法の改正要件はそれほど厳しいとはいえないし、日本国憲法よりも改正要件が厳しい国もあり、外国の憲法改正規定を根拠として発議要件の緩和を正当化することはできない。
憲法学説においても、憲法改正規定の改正は、憲法改正の限界を超えるものとして許されないとする考え方が多数説である。
小選挙区制を主体とする現行の選挙制度のもとにおいては、多数の国民の支持をえなくても衆参各院で過半数の議席を占めることが可能である。
また、2007年5月18日に成立した憲法改正手続法(「日本国憲法の改正手続に関する法律」)において、最低投票率の規定が設けられず、投票総数(賛成票と反対票の合計とし白票等無効票を除く)の過半数の賛成で憲法改正案が成立するとゆるやかに国民投票の要件が定められたため、憲法96条の改正により国会の議決要件を衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成から過半数の賛成へと緩和することは、政権与党が容易に憲法を改正できることとなり、立憲主義の見地から許されないと考える。
以上のとおり、憲法第96条について提案されている改正案は、国の基本的な在り方を不安定にし、立憲主義と基本的人権尊重の立場に反するものとしてきわめて問題であり、許されないものと言わなければならない。
よって、当会は、憲法改正の発議要件を緩和しようとする提案に強く反対する。2013年(平成25年)6月11日
新潟県弁護士会 会 長 味  岡  申  宰

橋下徹氏の従軍慰安婦問題に関する発言に対する会長声明
日本維新の会共同代表であり大阪市長でもある橋下徹氏は、本年5月13日、旧日本軍の従軍慰安婦について「必要だった」と公の場で発言した。また、橋下氏は、沖縄県の米軍普天間飛行場の司令官と会談した際に、合法的な範囲内で風俗業を活用してほしいと進言したことを自ら明らかにした。そして、それらの発言に対する批判… 続

新潟地方裁判所・家庭裁判所の村上支部、柏崎支部、南魚沼支部、糸魚川支部、十日町支部の設置の実現に向けた総会決議
第1 決議の趣旨
当会は、新潟県内における司法過疎偏在を解消するため、国及び関係地方自治体に対し、1項及び2項のとおり要請し、3項及び4項のとおり宣言する。
1 国に対し、新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ村上支部、柏崎支部、南魚沼支部(旧六日町支部)、糸魚川支部及び十日町支部を設置することを求める。
2 新潟県内の全ての地方自治体に対し、県民・市町村民への司法サービスの充実のために必要な措置を講ずることを求めるとともに、前項記載の各支部管内に所在する市町村及び新潟県に対しては、当該地域における国の司法基盤の整備・充実を重点課題に据えて、その実現のために、国に対する働きかけを継続するなど粘り強く取り組んでいくことを要請する。
3 当会は、前項に記載した取り組みに関して、関係する各地方自治体に対して連携・協力を惜しまないことを宣言する。
4 当会は、県民に対するリーガルサービスの一層の充実を図るため、中規模都市・町等での法律相談センターの設置を進めることを宣言する。
第2 決議の理由
1 当会は、新潟県内における司法過疎偏在の解消のために取り組んできたところである。特に、平成20年度からは、県内各地の法律事務所の実態調査及び解消のための全国各地の取組みを調査研究してきた。その調査研究の成果として、平成23年2月10日、「新潟県内弁護士偏在過疎対策ミニシンポジウム」を開催した。当会会員はもとより、日弁連や柏崎市からも関係者が出席し、司法過疎偏在解消に向けたさらなる活動を誓ったところである。
また、当会は、同月25日、臨時総会において「裁判所支部の充実を求める決議」を行った。同決議において、当会は、新潟県民の司法アクセス改善のため、関係機関に対し、以下の点を実現し、裁判所支部を充実するよう求めた。
(1)新潟地方裁判所長岡支部において、裁判員裁判を実施すること
(2)新潟地方裁判所各支部において、労働審判手続及び行政訴訟事件の取り扱いを可能とすること
(3)新潟地方裁判所長岡支部及び高田支部において、簡易裁判所の刑事を除く判決に対する控訴事件の取り扱いを可能とすること
(4)新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ、村上支部、柏崎支部、糸魚川支部、南魚沼支部(旧六日町支部)及び十日町支部を設置すること
(5)裁判官及び検察官の増員及び新潟地方裁判所各支部管内への適正な配置を行うこと
しかし、まことに遺憾ながら、上記要求に対する国の反応は恐ろしいほど鈍重であり、ほとんど何も実現されないままに今日に至っている。上記決議における上記(1)ないし(5)の各事項の実現は、どれひとつをとっても新潟県民の司法アクセス改善にとって不可欠なテーマであることは現在においても全く変わりはなく、むしろ、法の支配を日本全国にあまねく徹底させるとの理想に照らすときは、その重要度、緊要度は一層増大しているというべきであって、決議直後に東日本大震災が発生したという事情を勘案するにしても、裁判所及び財政当局の懈怠に対しては、厳しい批判がなされなければならないところである。
今回あらためて上記事項(4)の点を中心にしてその実現に向けて舵を切るために決議を行うものであるが、他の事項もすべて県民への法的サービスの充実のための重要度が劣るものではなく、当会として、これらの点に関して要求をとりやめたわけでないことはいうまでもない。
2 新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ村上支部、柏崎支部、南魚沼支部(旧六日町支部)、糸魚川支部、及び十日町支部を設置する必要性
現在新潟県内には、新潟地方裁判所及び家庭裁判所について、それぞれ、本庁(新潟市所在)の外に、長岡支部(長岡市所在)、高田支部(上越市所在)、三条支部(三条市所在)、新発田支部(新発田市所在)、佐渡支部(佐渡市所在)がある。かつては、これらに加えて、村上支部(村上市所在)、柏崎支部(柏崎市所在)、六日町支部(当時の六日町所在)糸魚川支部(糸魚川市所在)、があった。しかるに、平成2年5月の裁判所支部統廃合において、全国で41の地方裁判所・家庭裁判所支部が統廃合された際に、新潟県内においては、村上、柏崎、六日町、糸魚川の4支部が統廃合の対象となり、当会は地元関係者を交えて存続運動を展開し、地元住民との懇談会、県民集会、最高裁判所への陳情、新潟地方裁判所への意見書提出など行ったが、その甲斐なく、いずれの支部も廃止された。
当時の最高裁判所の説明によると、支部の廃止基準は、事件数と、受け入れ庁となるべき隣接の支部又は本庁までの公共交通機関による所要時間との相関関係により判断されたとのことである。
しかし、事件数が少ないからといって、その地域に裁判所がなければ、当該地域に居住する住民にとっては、迅速かつ充実した裁判を受ける権利が満たされないこととなる。地裁本庁管内に居住する住民と比較して極めて不公平である。また公共交通機関による所要時間を基準としたとしても、実際には電車等の本数が少ないことが慮外に置かれてしまっている。裁判所まで出頭することが容易でない人達、すなわち裁判所アクセス弱者と呼ぶべき人の数は少なくなく、それが、国の処置、それも法の番人であるはずの最高裁判所が関与することによって生み出された事態であるということは、法の支配のあまねき徹底という観点に逆行する点において、看過できない重大な疑念をはらむものであった。とくに、上記の各支部が管轄する地域はいずれも豪雪地帯に存し、冬季においては積雪のために交通機関がマヒする事態も頻繁に生ずる。当該地域の住民の裁判を受ける権利を保障するためには、これらの地域に裁判所支部が存在することは必要不可欠である。
近年、上記の廃止された支部管轄区域内に、新たに法律事務所が相次いで開設され、弁護士が定着するようになってきた。柏崎市内2事務所、南魚沼市(旧六日町)2事務所、糸魚川市1事務所である。廃止された支部管轄区域内ではないが、これまで法律事務所のなかった十日町市にも1事務所開設された。柏崎市と糸魚川市については、当該市が事務所開設援助金を支出するという、国内でも画期的な対応により弁護士を迎え入れる形態をとったものである。また、これらの事務所の中には日本弁護士連合会からの援助金を受けているものも含まれている。当会も設置・運営については、様々な角度からアドバイスするなど、支援をしてきたものである。地方自治体や弁護士会が自助努力によって弁護士の過疎地域への進出を促している一方で、国の逆行政策のゆえにもっとも重要な司法基盤である地方裁判所・家庭裁判所支部が廃止されたままになっているというのが、実は司法過疎なるものの置かれている実情なのである。このような情勢に照らせば、廃止された各地裁支部を復活させる必要性は大きいというべきであり、一刻も早くその実現に向けた着手がなされなければならない。
家庭裁判所については、地方裁判所以上に復活の必要性が大きい。
まず、家事事件は、人口に比例して事件が発生する性質があるため、本庁と支部との間での事件格差は顕著ではない。また、家事事件は代理人を付さず、当事者本人で手続きを執る場合も多く、より地域に密着した裁判所であることが要求される。それゆえ、廃止された各家庭裁判所支部を復活させ、当該支部において、家事審判、調停手続が行われるべきである。
少年事件は、少年の可塑性を考慮し、少年自身の保護、育成を主たる目的として審理が行われるという思想を根底にし、少年の家庭環境、生活環境などの社会的事情を考慮しながら、少年の処遇を決めていく手続である。少年の保護、育成のためには、親族、勤務先等関係者の協力が不可欠であるところ、これら関係者が手続に関与するためには、各地域で手続きが執られることが望ましいことはいうまでもない。従って、少年事件についても、廃止された各家庭裁判所支部を復活させ、同支部にて取り扱われるべきである。
また、廃止された支部のほか、十日町市においては、およそ7万人の人口規模があり、一つの社会的・経済的地域であるうえ、日本有数の豪雪地帯であることから、同地域においては、地方裁判所・家庭裁判所の支部設置の必要性は高いといえる。
ところが、現在、十日町市を管轄する地方裁判所支部は長岡支部であるところ、同支部との直線距離は約35キロメートルもある。高速道路を利用して移動したとしても、1時間近くを要する地理的関係にある。住民の中には自動車を持たない者も少なくないと思われるが、十日町市民が長岡支部に行こうと鉄道に乗る場合においては、乗り換えが必要となり、1時間以上を要することになる。同地域は、日本有数の豪雪地帯であるから、降雪時にはこれ以上の時間を要することはいうまでもない。このような地域においても、地裁支部を設置し、当地において紛争を解決すべきであることは他の廃止された支部地域と異なるところはない。
もとより、市民が生活をし、経済活動をすれば、期せずして法的トラブルに巻き込まれることがあるのは、多く経験するところである。その際に、裁判所を利用して、早期に紛争を解決しようと考えるのは正当であり、紛争が長引くことによって、生活や経済活動に支障が生じるのは避けられなければならない。
憲法第32条には、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と規定し、裁判を受ける権利を保障しているが、これは、既存の裁判制度の枠組みの中で裁判を受ける権利を認める趣旨だけではなく、国民が国に対し、裁判を受ける権利を保障するにふさわしい裁判制度の構築を要求する趣旨も含まれていると考えるべきである。なぜなら、既存の裁判制度自体が国民の裁判を受ける権利を十分に保障できていない場合、それをもとに裁判を受ける権利が保障されても、全ての国民が法の支配の利益を享受することはできないからである。
憲法第32条が、全ての人が裁判制度を通じて自己の権利を行使する機会を保障したものとするならば、いかなる地域に住む人であっても、裁判所にアクセスする機会が実質的に保障されていなければならない。新潟県内においては、廃止された支部の復活及び十日町支部の設置により、はじめて地域住民が裁判所にアクセスする機会が実質的に保障されるものである。
よって、当会は、国に対し、新潟地方裁判所及び新潟家庭裁判所にそれぞれ村上支部、柏崎支部、南魚沼支部(旧六日町支部)、糸魚川支部、及び十日町支部の設置を求める。
3 地方自治体が司法サービスの充実に取り組む必要性と果たすべき役割
裁判所支部の復活及び設置については、地方自治体の自主的努力が欠かせない。
上記した事情から明白なとおり、裁判所支部の統廃合は、国の財政的事情を錦の御旗に展開された経緯が明らかであり、そこでは、サイレントマイノリティー(静かなる少数者)の内なる声は、全くと言ってよいほど無視されてきた。
この点、昭和63年4月の簡易裁判所の廃止においては、新潟県内では当初、十日町、小千谷、巻、新津の4簡易裁判所が廃止対象とされていたところ、十日町及び新津は廃止の対象から外されて存続が決まり、今日に至っている。両簡易裁判所が廃止対象から外された理由については、それぞれの地域の地方自治体が声を挙げて廃止反対運動を展開したことが決定的な意味をもっていたことは明白である。
そもそも地方自治体は、地域住民にとっては国に比べてはるかに身近な存在である。住民が首長や議員、職員などと腹を割って話し合えるという要素も、無視すべからざる意義を持つ。声高に言い難い要求を地道にボトムアップしていくという作業は、まさに地方自治の本質に適合するものというべきである。
司法基盤の整備ということは、経済的利益に直結するように見えないために、地方自治体の首長等にとっては、関心の対象として背後に追いやられがちなのかもしれない。しかし、実際には、解決されるべき法的紛争は、人がいる限りはどこにでも存在しうるものであり、いったんそれが発生すれば、それに関わる者にとって、その事態の深刻さは他の者には伺いしれない重さ、奥行きを備えている。わが国は、「法の支配」の下にあるといわれる。憲法上人権のカタログが用意されており、それが侵害された場合には、最終的には、先に述べたとおり裁判を受ける権利によって実質的に保障されるのである。地方自治体が法の支配の実質化において果たすべき役割は、決して軽んぜられて良いものではない。
加えて、地方自治体が、住民の権利保障と福祉増進の観点から、地域における総合法律支援の実施及び体制の整備に関し、必要な措置を講ずる責務を有しているという事実も忘れるわけにはいかない。現代的な法の支配のあるべき姿ということからすれば、司法基盤の整備が地方自治体の責務であることは、論をまたないところであるというべきである。巷間盛んに喧伝されつつある「地方分権」の射程には、国家が独占する司法権について、国家に対して裁判所支部の恣意的な配置を許容することなく、住民サービスを第一義とした適正配置を要求して実現する活動の正統性が包含されているというべきである。新潟県及び新潟県内の各市町村におかれては、このことを深く自覚し、司法基盤の整備、ひいて域内における法の支配の実質化ということを、自ら住民のためにはたすべき役割と位置付けるべきものと考える。
こうした役割は、裁判所支部の適正配置の国に対する要求という問題だけにとどまらず、地域住民が法的トラブルに巻き込まれた際、弁護士にアドバイスを受けられるよう体制を整備するということをも重要なテーマとすべきことは論をまたないところである。
よって、当会は、新潟県内の全ての地方自治体に対し、県民・市町村民への司法サービスの充実のために必要な措置を講ずることを求めるとともに、支部の復活、新設をめざすべき各支部管内に所在する市町村及び新潟県に対しては、当該地域における国の司法基盤の整備・充実を重点課題に据えて、その実現のために、国に対する働きかけを継続するなど粘り強く取り組んでいくことを要請するものである。
4 支部復活、新設に関する当会の姿勢
当会は、地方自治体が行おうとする司法基盤の整備・充実のための取り組み、とりわけ裁判所支部の復活、新設をめざす活動に対しては、会をあげて全面的に協力していく所存である。
もっとも、この点は、単に協力にとどまるのか、さらに一歩進んでより主体的に取り組むべきかについて検討を要する点がある。なぜなら、われわれ弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命とするところ(弁護士法第1条第1項)、弁護士は法律分野における高度の総合的な専門職と位置づけられ、法律事務の独占を認められており(同法第72条)、かつ、このような職責を有する弁護士の登録、指導、監督、懲戒、報酬等について、完全な自治権が付与されていることからすれば、弁護士及び弁護士会はまさに法の支配を実現する主体として、その責務は非常に重いものと言わなければならないからである。
ただ、そのことは理念の問題であり、いずれにせよ当会としてはこの問題に全力で取り組む所存であり、理念の違いは当会の姿勢の軽重、継続性には影響するものではない。当会は明確な努力目標を掲げ、新潟県や関係する市町村、その首長や議員、住民、さらに志を同じくする学識や日本弁護士連合会、関東弁護士会連合会その他の各ブロック弁護士会連合会、他の単位会などすべての勢力と協調し、目標の実現の日まで一切の努力を惜しまない所存である。
5 中規模都市・町等での法律相談センターの設置
地域住民が充実した司法サービスを受けるには、弁護士へのアクセスが容易である必要があるのは言うまでもないことからすれば、弁護士会として弁護士過疎・偏在に取り組む必要がある。
当会は、これまでも、新潟県内の多くの地方自治体に対し、法律相談の重要性を説き、地域住民のほか、地方自治体にとっても、利用しやすい法律相談制度を広げることに努めてきた。
さらに、先にも触れたとおり、また、法律事務所の設置については、柏崎市や糸魚川市が設置費用の補助制度を設けており、実際に補助制度を利用し、両市に計3つの法律事務所が設置された。両市の補助制度は、法律事務所が地域に存在することの重要性を理解していただいたものであり、当会としても感謝しつつ、全面的な協力を惜しまずに取り組んできたところである。今後、両市以外にも法律事務所開設にあたっての補助制度を設けてもらうべく、当会としても働きかけを継続するとともに、協力する姿勢を貫徹して行く所存である。
法律相談所の設置についても、地方自治体の協力に負うところが大きい。村上相談所は村上市神林支所の一角を低廉な費用で借りることができ、応接設備や複合機などを備え置くことができたものである。今後、新潟県内各地に法律相談所の設置を進める際、地方自治体から協力を得ることが欠かせないところである。 新潟県内には、地方裁判所・家庭裁判所の支部が併設されていない独立簡易裁判所が6つある。村上、新津、柏崎、南魚沼、十日町及び糸魚川の各簡易裁判所である。これらの簡易裁判所の管轄内において、当会が法律相談所を設置しているのは、村上簡易裁判所の管轄内のみである。
新津、十日町、柏崎、南魚沼及び糸魚川の各簡易裁判所管轄内に新たに法律相談所を設置し、弁護士へのアクセス解消を図る必要がある。さらに、例えば、五泉市、阿賀野市、新潟市南区、加茂市、魚沼市、湯沢町、妙高市など新潟県内の中規模都市・町等においても法律相談所を開設するなど、地域住民にできる限りきめ細やかな司法サービスの提供ができるよう、当会としては、今後とも広い視野に立ち、労力を惜しむことなく、新潟県内における法的サービスの充実に向けて、当会として取り組んでいくことを決意するものである。
以上決議する。
2013年(平成25年)2月28日
新潟県弁護士会臨時総会決議

法科大学院の地域適正配置についての11弁護士会会長共同声明
法科大学院制度の創設から9年近くが経過し、新しい法曹養成制度は、様々な課題に直面している。
とりわけ、司法試験合格率の低迷と法科大学院入学志願者の減少が顕著であることから、文部科学省は、深刻な課題を抱える法科大学院の自主的・自律的な組織見直しを促進するための公的支援の見直しとして、入学者選抜における競争倍率と司法試験の合格率を指標とする国立大学運営費交付金及び私立大学等経常費補助金の削減に踏み切った(2012〔平成24〕年、入学定員の充足状況を新たな指標として追加)。
このような中、さらに、政府の法曹養成制度検討会議は、法科大学院の統廃合や定員削減に向けた具体的な基準案を検討することを決定した。基準の策定に当たっては、地域的なバランスについても考慮することとされているものの、同会議の前身である法曹の養成に関するフォーラムや、総務省による「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」等、政府の従前の検討経過において、法科大学院の地域適正配置が重視されてきたとは言い難い。このため、統廃合の基準の策定に当たり、地域適正配置の理念に十分な配慮がなされるとは限らない。
しかしながら、法の支配をあまねく実現するためには、各地の様々な分野から法曹を生み出すことが重要であり、そのためには、もともと司法改革審議会意見書が制度設計の基本的考え方として指摘していたとおり、法科大学院を全国に適正配置し、地方在住者がその地域で教育を受けて法曹になる機会を実質的に保障することが、司法制度改革の目的に直結する理念として重要である。そして、地方法科大学院の存在が地元志望者の経済的負担を大きく軽減させるだけでなく、司法過疎の解消、地域司法の充実・発展に貢献し、さらには、地方自治・地方分権を支える人材を育成するという観点からも重要な役割を担っていること等を併せて考えれば、法科大学院の統廃合等は、地域適正配置の理念を踏まえつつ実施される必要がある。
よって、国に対し、統廃合の基準の策定等法曹養成制度の在り方を検討するに当たり地域適正配置の理念を最大限に尊重すること、地方法科大学院について国立大学法人運営費交付金又は私立大学等経常費補助金を減額しないこと、及び地方法科大学院に対して適正な公的支援を行うことを強く求める。

2013(平成25)年1月25日
静岡県弁護士会
会 長  渥  美  利  之
長野県弁護士会
会 長  林     一  樹
新潟県弁護士会
会 長  伊  藤  秀  夫
広島弁護士会
会 長  小  田  清  和
島根県弁護士会
会 長  水  野  彰  子
熊本県弁護士会
会 長  坂  本  秀  ?
鹿児島県弁護士会
会 長  新  納  幸  辰
宮崎県弁護士会
会 長  松  田  幸  子
沖縄弁護士会
会 長  加  藤     裕
香川県弁護士会
会 長  白  井  一  郎
愛媛弁護士会
会 長  田  所  邦  彦

生活保護基準の引下げに強く反対する意見書
第1 意見の趣旨
来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに対し強く反対する。
第2 意見の理由
政府は、本年8月17日、「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。そこでは、同月10日に成立した社会保障制度改革推進法(附則2条)において、「給付水準の適正化」を含む生活保護制度の見直しが明文で定められていることを受け、社会保障分野も聖域視せず、生活保護の見直しをはじめとする合理化・効率化に最大限取り組み、極力圧縮に努めることが明記されている。
一方、生活保護基準については、2011年2月に設置された社会保障審議会生活保護基準部会において、学識経験者らによる専門的な検討が続けられているが、厚生労働省が本年7月5日に発表した「『生活支援戦略』中間まとめ」では、「一般低所得世帯の消費実態との比較検証を行い、今年末を目途に結論を取りまとめる」ものとされている。そして、同省が公表している平成25年度の予算概算要求の主要事項には、生活保護費を抑制するための「生活保護基準の検証・見直しの具体的内容については、予算編成過程で検討する」と記載されている。
これら一連の事実から、本年末にかけての来年度予算編成過程において、生活保護法8条に基づき生活保護基準を設定する権限を有する厚生労働大臣が、生活保護基準の引下げを行おうとすることは必至である。
しかしながら、言うまでもなく生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、我が国における生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。
厚生労働省によると、本年6月時点で生活保護を利用している人は、211万5000人を超えている。さらに、その所得が生活保護基準以下であるにも関わらず保護を受給していない多くの人たちが存在している。生活保護基準が下がれば、現にぎりぎりの生活をしている生活保護を利用している人たちの生活費が減額され、また、生活保護の受給がより困難になる結果、多くの低所得の人たちの生活が危機にさらされ、その生命、健康にもかかわる取り返しのつかない結果を招きかねない。
また、生活保護基準が下がれば、最低賃金の引き上げ目標額が下がることになり、そのことは、最低賃金で働く労働者の生活を直撃する。現在、全労働者の3分の1を超えるに至っている非正規労働者の相当数は生活保護基準に近い低賃金で働いており、生活保護基準の引下げは、そうした人達の生活をも脅かす事態に直結する。同時に、正規の労働者の賃金の引下げにも連動し、ひいては国内需要を一層冷え込ませて景気の回復にも悪影響を及ぼすことになる。いわゆるワーキングプアの人々の生活困難は、リーマンショック以降現在まで深刻な社会問題であるところ、この問題の抜本的解決なしに、ワーキングプアの人たちとの所得の比較で生活保護を下げようとすること自体が問題である。
さらに、生活保護基準は、地方税の非課税基準、介護保険の保険料・利用料や障がい者自立支援法による利用料の減額基準、就学援助の給付対象基準、法律扶助の償還の猶予・免除の要件などの多様な施策の適用基準にも連動している。生活保護基準の引下げは、現に生活保護を利用している人たちの生活レベルを低下させるだけでなく、市民生活全体に大きな影響を与える。
このような生活保護基準の重要性に鑑みれば、その在り方は、上記の生活保護基準部会などにおいて専門的観点からの慎重な検討を踏まえ、広く市民の意見を求めた上、生活保護利用当事者の声を十分に聴取して決せられるべきである。同部会の学識経験者らが真摯な検討を行っているさなかに、財政の支出削減目的の「初めに引下げありき」で政治的に決せられることは、決して許されることではない。
新潟県によると、本県の生活保護を利用している人は、本年5月現在で1万9779人に上っており、対前年同月比で4.81%増加している。多くの県民の生活が生活保護基準の引下げにより深刻な影響を受けることは明らかである。
よって、当会は、来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに強く反対する。
2012年(平成24年)10月17日
新潟県弁護士会 会長 伊藤 秀夫