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2329 どんたく三重弁護士会

消費者庁・国民生活センターの地方移転に反対する会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/447/
1.政府は、地方創生を重要政策として位置づけ、「まち・ひと・しごと創生本部」を内閣に設置している。その中の、「政府関係機関移転に関する有識者会議」において、政府関係機関の地方移転の検討が行われ、現在、消費者庁及び国民生活センターを徳島県に移転させることが、審議事項にあがっている。消費者庁及び国民生活センターが移転した場合、消費者行政の司令塔としての役割を失うことになりかねないため、当会は、反対の意見を表明する。
2.(1)国民生活センターは、1970(昭和45年)年10月1日に設立されて以来、都道府県市区町村に設置された消費生活センターと連携をとりつつ、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行い、重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施してきた。ただ、2008(平成20年)年頃、パロマ工業製ガス湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故や中国製冷凍ギョーザ中毒事件など、消費者の安全にかかわる問題が多発した。特に、消費者行政は、複数の省庁にまたがる事案への対応が遅れ、被害が深刻化することがあった。これらを契機に、消費者に直接関わる情報を一元的に集約させ、司令塔としての役割を担う機関として、2009(平成21年)年9月に消費者庁が設置された。これにより、消費者庁が司令塔としての機能として、国民生活センターが情報の収集・分析等の中核的な実施機関として、消費者行政において重要な役割を担うこととなった。
(2)具体的には、消費者安全に関する重大事故が発生した場合、消費者庁が官邸と連絡をとり、関係大臣等を本部員とする緊急対策本部を速やかに開催し、関係省庁と連携し、事態に対応をする。消費者庁が設置されてから6年に過ぎないが、2013(平成25年)年12月29日に起きた冷凍食品から農薬(マラチオン)が検出された事案では、消費者庁が司令塔としての機能を発揮した。年明け早々に内閣府特命担当大臣が直接事業者と面談のうえ、情報提供の要請を行い、かつ、関係省庁と連携し、被害の拡大防止等の対応にあたった。同年10月頃には、ホテル・レストランが提供する料理等のメニュー表示に関する偽装表示が多発した。この件でも、消費者庁が司令塔としての役割を果たし、食品表示の適正化策を早期に策定した。
また、消費者庁は、このような緊急課題のみならず、法改正のため、国会対応もする。最近では、消費者安全法、不当景品類及び不当表示防止法の改正、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の創設などが行われ、法案改正や制定の説明を行った。現在は、特定商取引に関する法律、割賦販売法、消費者契約法、公益通報者保護法の改正について、関係省庁と事前に協議を行い、調整をするとともに、国会議員に対して、個別に法改正や法の創設の趣旨及び内容について直接説明をしている。
(3)そして、国民生活センターにおいては、全国の消費生活相談情報を集約・分析し、一般消費者や地方自治体に情報を発信するだけでなく、消費者庁や消費者委員会や各省庁の消費者関連法制度の不備や見直しの問題提起や立法事実となる資料提供などを行うなど、消費者庁ほか関連省庁との密接な連携により、政府全体の消費者行政を推進する機能を果たすことが求められている。
3.以上のとおり、消費者庁及び国民生活センターは、消費者行政において重要な役割を担っているところ、徳島県へ移転された場合、以下の2点が危惧される。
第1に、日本全国の消費者問題の指揮及び遂行に支障をきたすことである。
東京からなら、北海道から沖縄まで、概ね2時間から6時間程度で駆けつけることができる。他方、徳島からでは、所要時間が長くなるのは41都道府県にも上る。これは、交通アクセスが悪いためである。それゆえ、緊急重大事故が発生した場合、消費者庁は、司令塔として、いち早く対応することができない恐れがある。また、交通アクセスが不便であることは、法改正について丁寧な説明ができず、時代に応じた法改正が迅速に行えない可能性がある。そして、国民生活センターにおいても、日常的に、都道府県市区町村に設置された消費生活センターと連携をとれず、地域によっては消費者被害の実態把握ができないおそれがある。
第2に、人材確保が困難である。
消費者庁の職員は、約500名いるが、そのうち約半数は非常勤職員である。また、国民生活センターにおける相談員も多くは非常勤職員である。消費者庁消費者行政においては、豊富な経験と高度の相談スキルが求められるため、希少性が高い。それゆえ、大都市圏ではない徳島県へ移転した場合、適切な人材確保が行えない可能性が高い。このことは、現代社会が、情報ネットワークが発達しているといえども、補えない事項である。
4.よって、消費者庁及び国民生活センターの地方への移転は、消費者庁及び国民生活センターの機能を低下させ、我が国の消費者行政の機能の推進を阻害しかねないので、当会は、反対する。
2016年1月24日
三重県弁護士会 会長 川端康成

改めて、司法試験合格者数を早急に1,000人以下に減少させることを求める会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/448/
法務省は、平成28年度司法試験合格者数を1,583人であると発表した。当会は、これまで、司法試験合格者数を1,000人以下に減少させることを求めてきたが、本年度の司法試験合格者数はこれを大幅に上回るだけでなく、政府の法曹養成制度改革推進会議が平成27年6月30日に取りまとめた司法試験合格者数の想定数1,500人をも上回っており、誠に遺憾である。
当会は、平成26年5月23日の定期総会において、弁護士急増の結果、就職難などにより、法曹としての知見を研鑽する機会が不十分となるとともに、法曹志願者の減少により、有為な人材を確保することができなくなることから、法曹の質を著しく低下させ、ひいては、国民の権利・自由を実効的に保障することができなくなる危険性を指摘し、早急に司法試験合格者数を年間1,000人以下とすることを求める決議を行った。
ところが、その後も、平成27年度の司法試験合格者数は1,850名と前年度よりかえって40名増加し、今回の合格者数はこれに比べ267名減ったものの、合格率はほぼ横ばいであることから、司法試験受験者数が大幅に減った結果、合格者数が必然的に減少したに過ぎず、政策的に減少させたとは認められない。他方で、この間、平成28年度の法科大学院の入学者数は1,857人と前年度に比べ約15,6%減少し、また、平成28年度の司法試験受験者数も6,899人と前年度に比べ約14%も減少し、法曹志願者の減少傾向に歯止めはかからず、むしろ、より一層悪化している。
このままでは、法曹養成制度が完全に破壊され、法曹の質が著しく低下し、国民の権利・自由を実効的に保障することができなくなる。
ところで、今後、司法試験合格者数を政府が想定する1,500人に減少させた場合でも、弁護士人口は現在の約38,000人から約62,000人程度まで増加を続け、1,000人に減少させた場合でも、約47,000人に達すると試算されていることから、現在の法曹人口の急増に伴う弊害を是正するためには、司法試験合格者数を少なくとも1,000人以下に減少させる必要がある。
よって、当会は、改めて、政府に対し、国民の権利・自由を守るために、年間司法試験合格者数を次年度はまず政府の想定する1,500人に減少させた上で、さらに早急に1,000人以下に減少させることを強く求める。
2017年9月12日
三重県弁護士会 会長 内田典夫

「カジノ解禁推進法案」に反対する会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/449/
先般、超党派の「国際観光産業振興議員連盟」において、過去、廃案になった、カジノを中心とする統合型リゾートを推進する法案(以下「カジノ解禁推進法案」という。)について、改めて、今国会(第192回臨時国会)で成立を目指す方針が確認された旨報道された。
カジノ解禁推進法案は、現行法上、賭博罪に該当する行為として違法とされるカジノを合法化し、民間賭博を解禁しようとするものであるが、現在においても深刻なギャンブル依存症の問題を、更に悪化させるおそれが大きい。厚生労働省研究班の調査によれば、我が国でギャンブル依存症の疑いのある者は536万人、成人人口の4.8%と推計されており、1%前後である諸外国と比較して際立って高い。ギャンブル依存症は、ギャンブルを繰り返すことによって誰でも罹患しうる精神疾患とされているにもかかわらず、社会的理解は乏しく、我が国では、ギャンブル依存症は自己責任の問題とされている。また、ギャンブル依存症が原因で、破産や離婚に至ったり、窃盗や横領などの罪を犯したり、自殺に追い込まれたりする事例も少なくないにもかかわらず、我が国では、ギャンブル依存症対策が十分取られていない。
また、法案は、カジノ施設と会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設等が一体となった「特定複合観光施設」を設置するもので、家族で出かける施設にカジノ施設が存在することとなる。青少年は、幼少時からカジノ施設に接することで賭博を抵抗なく受け入れることとなりかねず、その健全育成に悪影響を及ぼすことが強く懸念される。
さらには、暴力団等の反社会的勢力の関与・介入、マネー・ロンダリングへの利用、犯罪の発生、風俗環境の悪化等も予想されるにもかかわらず、これらに対する具体的で有効な予防策は示されていない。
カジノには、こうした多くの弊害が避けられないにもかかわらず、我が国ではギャンブル依存症を始めとする弊害に対する対策がほとんど皆無の状況にあり、こうした現状においては、弊害を一層増加・深刻化させるおそれのあるカジノ解禁推進法案に対しては、当会は強く反対する。
2016年11月14日
三重県弁護士会 会長 内田典夫

死刑執行に抗議する会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/451/
平成28年11月11日、福岡拘置所において、1名に対して死刑が執行された。本年3月25日に2名の死刑執行がなされてから7か月あまりでの執行となる。第2次安倍内閣の成立以降約4年の間に死刑執行は10回目で、合計17名に対し、死刑が執行されたことになる。
日本弁護士連合会は、本年10月7日に開催された第59回人権擁護大会において、日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される平成32年までに死刑制度の廃止を目指すべきであるなどとした宣言を採択したばかりであり、今回の死刑執行は、この宣言に対し全く配慮しないもので誠に遺憾である。
死刑は生命を奪う不可逆的な刑罰であり、誤判の場合には取り返しがつかない。昭和55年から昭和62年にかけての著名な死刑再審4事件(免田、財田川、松山、島田)だけでなく、最近でも、平成26年に袴田事件で再審開始決定が出され、袴田巌氏の死刑及び拘置の執行は停止されたが、誤判・えん罪による死刑執行の危険は現実のものとなっている。
国際社会においても、死刑廃止に向かう潮流が主流であり、死刑を廃止又は停止している国は141か国に及び、世界の3分の2以上の国において死刑の執行はなされていない。さらに、平成27年に実際に死刑を執行した国は25か国しかなかった。また、平成26年7月23日には、国連人権(自由権)規約委員会が日本政府に対し、「死刑の廃止を十分に考慮すること」との勧告を行っている。
内閣府が平成26年11月に実施した世論調査で、「死刑もやむを得ない」という回答が80.3%と多数を占めているものの、そのうち「状況が変われば廃止」が40.5%であり、また「終身刑導入なら廃止」も全回答者の37.7%に上り、死刑についての情報が十分に与えられ、死刑の代替刑も加味すれば、死刑廃止が必ずしも国民世論の少数となるとは限らない。また、死刑廃止は世論だけで決めるべき問題ではなく、世界の死刑廃止国の多くも、誤判による死刑執行は決して許してはならない、犯罪者といえども生命を奪うことは人権尊重の観点から許されない等との決意から、死刑支持の世論が多数の中でも、死刑制度が廃止されるに至っている。
当会は、今回の死刑執行に抗議するとともに、政府に対し、日弁連人権擁護大会の宣言及び国連人権(自由権)規約委員会の勧告に誠実に対応し、一旦すべての死刑判決確定事件の死刑の執行を停止したうえで、死刑制度の廃止についての検討を開始するよう求める。
2016年12月9日
三重県弁護士会 会長 内田典夫

いわゆるテロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/450/
先般、政府は、「共謀罪」を「テロ等組織犯罪準備罪」と改めて取りまとめた組織犯罪処罰法改正案(以下「新法案」という。)について、臨時国会への提出を見送り、来年の通常国会での成立を目指す方針である旨報道された。
過去三度廃案になった共謀罪は、団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われる犯罪の遂行を共謀した場合、その遂行に合意した者を処罰する、すなわち、「行為」そのものではなく、「合意」に着目して処罰するというもので、思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの憲法上の基本的人権を侵害する危険性が指摘されていた。
報道によれば、新法案は、「団体」を「組織的犯罪集団」とした上で、その定義について、「目的が長期4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」とし、さらに、犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰することとし、その処罰に当たっては、計画をした誰かが、「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という条件を付している。
しかし、「計画」も、共謀の言い換えに過ぎず、「準備行為」も、予備罪・準備罪の予備・準備行為と異なり、ATMからの預金の引き出し行為など、市民の日常的行為も広く含むとされている。また「団体」が「目的が長期4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」である組織的犯罪集団とされたが、長期4年以上の懲役・禁錮を定める犯罪は600を超え、公職選挙法違反なども含んでいる。
また、民主党が2006年に提案し、一度は与党も了解した共謀罪法案の修正案では、対象犯罪の越境性(国境を越えて実行される性格)を要件としていたところ、新法案は越境性を要件としていない。国連越境組織犯罪防止条約は、越境組織犯罪を抑止することを目的としたものであるから、越境性の要件を除外しているのも相当ではない。
このように、新法案は、共謀罪に比べ処罰範囲を大幅に限定しているとは評価できず、むしろ、「テロ」対策の名の下に、思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの憲法上の基本的人権を侵害する危険性がある。
政府は、新法案は、国連越境組織犯罪防止条約を批准するために必要であると説明している。しかし、国連越境組織犯罪防止条約については、組織犯罪に関連する重大犯罪について、合意により成立する犯罪が未遂以前に可罰的であれば、批准することができる。つまり、現行法においても、内乱、外患及び私戦の各予備・陰謀罪、殺人、身代金目的略取等、強盗及び放火の各予備罪、凶器準備集合罪等、重大な犯罪について、陰謀罪、共謀罪、予備罪、準備罪の規定が設けられている。また、判例理論として、共謀共同正犯の理論が確立しており、共謀をした者のいずれかが予備行為に及べば、共謀者全員に予備罪の共謀共同正犯が成立する。これらの法律及び判例理論によって、組織犯罪が想定される重大な犯罪について未遂以前の段階で処罰が可能となっているため、テロ等組織犯罪準備罪を新設することなく本条約への批准は可能である。
よって、当会は、今般、報道された内容であるテロ等組織犯罪準備罪の新設には反対する。
2016年11月14日
三重県弁護士会 会長 内田典夫

災害対策を理由とする「国家緊急権」の創設に反対する会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/452/
第192回臨時国会で衆参両議院の憲法審査会が審議を再開させたが、今回の議論でも、災害対策を理由に緊急事態条項(国家緊急権)の新設による憲法改正が必要であるとの意見が出ている。
「国家緊急権」とは、戦争・内乱・恐慌・大規模な災害など、平時の統治機構をもっては対処できない非常事態において、国家の存立を維持するために、国家権力に、立憲主義的な憲法秩序(人権の保障と権力分立)を一時停止して非常措置をとる権限を認めるというものである。
つまり、「国家緊急権」は、性質上、立憲的な憲法秩序を停止して行政府に権限を集中し人権保障を停止させるものであるから、濫用の危険がある。この点、平成24年4月に自由民主党が公表した日本国憲法改正草案に国家緊急権の条項が含まれているが、これによれば、緊急事態の宣言や解除が、内閣総理大臣に委ねられ、しかも、緊急事態の宣言が発せられた場合、その宣言が効力を有する期間は、衆議院は解散されず、議員の任期及び選挙期日の特例を設けられるため、内閣にとって有利な会派構成を固定化することが可能となり、宣言の承認権を有するはずの国会によるコントロールが機能しなくなるなど、国家緊急権の濫用のおそれは否定し難い。
他方、災害対策についてみれば、日本の災害法制は既に精緻に整備されており、災害対策のために、国家緊急権を創設する必要性はない。すなわち、非常災害が発生して国に重大な影響を及ぼすような場合、内閣総理大臣が災害緊急事態を布告し(災害対策基本法105条)、生活必需物資の授受の制限、価格統制、及び債務支払の延期等を決定できるほか(同法109条)、必要に応じて地方公共団体等に必要な指示もできる(大規模地震対策特別措置法13条1項)など、内閣総理大臣への権限集中の規定がある。また、防衛大臣が災害時に部隊を派遣できる規定もある(自衛隊法83条)。さらに、都道府県知事の強制権(災害救助法7~10条等)、市町村長の強制権(災害対策基本法59,60条、63~65条等)など、私人の権利を一定範囲で制限する規定も設けられている。その他にも、緊急事態に対応するための規定は多数存在しており、諸外国に見られる程度の「国家緊急権」の内容は、我が国においては既に法律で十分に整備されているのである。
そもそも、災害対策についていえば、事前に準備していないことは災害発生時にはできないのであり、それゆえ、平常時に、事前の準備を十分に尽くしておくことが大原則である。東日本大震災においては、政府の初動対応は極めて不十分であったと評価されているが、それは既存の法制度に不備があったからではなく、災害への事前の対策が不足し、法制度を十分に活用できなかったからである。事前準備の不足は、国家緊急権を創設すれば克服できるというものではない。実際、日本弁護士連合会が平成27年9月に東日本大震災の被災三県(岩手・宮城・福島)の37市町村に対し、アンケートを実施したところ、24市町村から回答があり、「災害対策・災害対応について憲法は障害になったか」という問いについては、96%の自治体が「障害にならなかった」と回答した。
ここ三重県においても、南海トラフ地震の発生が近い将来に予測されており、甚大な被害の発生が想定されている。当会も、平成25年12月25日に、三重県との間で、災害時における法律相談業務に関する協定を締結したり、隣接士業の災害対策連絡協議会を開催したりするなどして、事前準備を進めている。
以上のとおり、災害対策は既存の法制度で十分対応可能であるから、日本国憲法を改正して「国家緊急権」を創設する必要はない。かえって、「国家緊急権」を創設することは、その濫用により国民の基本的人権を不当に制限することになりかねない。
よって、当会は、災害対策を理由として、日本国憲法に「国家緊急権」を創設することに反対する。
2016年12月9日
三重県弁護士会 会長 内田典夫

三重県弁護士会 会長声明
地方消費者行政の一層の強化を求める会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/512/
当会は、これまでに地方公共団体との連携や、地方消費者生活センターなどへの定期的な相談員の派遣などにより、消費者被害に対する対応、救済を行ってきた。しかし、個々の救済の事案を救済するだけでは、消費者被害を抜本的に解決することが出来ず、社会不安を払拭することは出来ない。本当の意味で消費者の権利を保護していくためにも、地方消費者行政の体制整備の一層の推進は不可欠である。他方で、三重県及び、県内29市町における消費者行政に対する施策の優先順位は高くなく消費者行政に割り振られる予算等に限度があることから、各地方公共団体において、独自に、消費者行政を推進することは著しく困難であるのが現状であることから、国からの地方における消費者行政への財政的支援が強く求められるところである。
そこで、当会は、消費者行政の一層の強化を推進するために、国に対し、以下の施策をとるよう強く求める。
1.地方消費者行政推進交付金の継続
現在、地方消費者行政の財政基盤は、地方消費者行政推進交付金等の国の支援により支えられている。しかし、地方消費者行政推進交付金の対象は、平成29年度までの新規事業に限定されていて継続性が確保されていない。三重県内の地方公共団体における政策判断が必ずしも消費者行政重視に転換しきれていないことを踏まえると、財政基盤の脆弱化は地方消費者行政の後退を招くことになりかねない。
地方消費者行政の財政基盤を引き続き確保し、充実していくためには、地方消費者行政推進交付金の対象事業を平成30年度以降の新規事業も適用対象に含めるよう同交付金の実施要領を改めることが必要である。
2.国による消費者行政費用の恒久的な財政負担
国は、地方公共団体が実施する消費者行政機能のうち、消費生活相談情報のPIO-NET登録、重大事故情報の通知、法令違反業者への行政処分、適格消費者団体の差止関係業務など、国と地方公共団体相互に利害関係がある事務であり、消費者被害防止のために全国的な水準を向上させる必要性が大きい事務に関する予算の相当部分について、地方財政法第10条を改正し、国が恒久的に負担することとすべきである。
3.地方消費者行政職員の増員と資質の向上
地方消費者行政における法執行、啓発・地域連携等の企画立案、他部署・他機関との連絡調整、商品テスト等の事務を担当する職員の配置人数の増加及び専門的資質の向上に向け、国は、実効性ある施策を講ずべきである。
平成29(2017)年9月12日
三重県弁護士会 会長 飯田聡

改正組織的犯罪処罰法成立に反対する会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/503/
本年6月15日、「テロ等組織犯罪準備罪」を創設する組織犯罪処罰法(以下、「本法」という。)が、参議院本会議における参議院法務委員会の中間報告を経たうえで、法務委員会における採決を省略して本会議採決に進むという史上類を見ないような過程を経て成立し、同年7月11日から施行されて現在に至っている。
当会は、平成29年6月13日に本法に反対する会長声明を発出し、一般の団体が「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」として処罰されるおそれがあることや、国連越境組織犯罪防止条約と本法の対象犯罪との関連性に矛盾があること等を指摘していたが、参議院法務委員会において上記のような強行採決で法案が成立したために、上記の点に関する問題点は全く解消されなかった。
このことは、参議院での本法に対する審議時間がわずか20時間程度であったことや、最終的に議論を打ち切るという中間報告といった手段が用いられたことからも明らかである。
特に今回行われた中間報告については、法文上では「特に必要があるとき」(国会法56条の3第1項)に中間報告が認められ、その中間報告を求めた案件について、「議院が特に緊急を要すると認めたとき」(同2項)に、委員会の審査に期限を附すことができるとされていた。
しかし、本件においては、中間報告を求める「必要」も、審査に期限を附す「緊急性」も存在しなかった。このような方法が採用されたのは、おそらく衆議院本会議における法務大臣の説明が二転三転し、法案に関する矛盾や危険性に関する指摘を受けること自体を与党側が恐れたためと考えられるが、このような目的で中間報告という手段を用いること自体が違法な適用であったことは明らかである。
そのため、本法は、法案の中身だけではなく、その手続過程にておいも、重大な瑕疵をはらんでいるのである。
したがって、当会としては、本法の成立に対し厳重に抗議すると共に、引き続き、本法の廃止を求めるべき取組みをしていく所存である。
平成29(2017)年8月22日
三重県弁護士会 会長 飯田聡

組織的犯罪処罰法改正案に反対する再度の会長声明
ttp://mieben.info/archives/topics/500/
本年5月23日、「テロ等組織犯罪準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案(以下、「本法案」という。)が衆議院本会議で可決され、本法案は同月29日から参議院での審議が進められている。
当会は、平成28年11月14日、本法案の国会提出に先立ち、「いわゆるテロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明」を発出し、本法案は処罰範囲を大幅に限定しているとは評価できず、むしろ、「テロ」対策の名の下に、思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの憲法上の基本的人権を侵害する危険性があると指摘した。
ところが、本法案の審議においては、当会が前記会長声明で指摘した問題点は解消されていない。
前記会長声明発出後に国会に提出された本法案では、適用対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と規定し、その定義を「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大犯罪を実行することにあるもの」とした。しかし、どのような団体が「結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大犯罪を実行することにあるもの」と認定されるかについては、衆議院での本法案の審議を経ても明らかになってはいない。
たとえば、法務大臣は、衆議院本会議では、自然環境や景観の保護などを主張する団体はその目的からして組織的犯罪集団に当たることはなく、座り込みを計画しても、テロ等準備罪による処罰の対象となることはないと答弁した。しかし、法務大臣は、参議院本会議では、「対外的には環境保護や人権保護を標榜していても、それが隠れみので、結びつきの基本的な目的が重大な犯罪を実行することにある団体と認められる場合は処罰されうる」と答弁した。また、団体が組織的犯罪集団に該当するかどうかは、「捜査機関が刑事訴訟法の規定に従い収集した証拠に基づいて、社会通念に従って判断して認定する」と述べるに止まった。それどころか「組織的犯罪集団だと確実に認められなくても、その嫌疑が客観的にある場合に捜査を開始できる」と答弁した。これは、捜査機関が「組織的犯罪集団に該当する嫌疑が客観的にある」と判断すれば、団体の本来の性質にかかわらずに捜査がなされる可能性を認めるものであって、恣意的な運用がなされる危険性も否定できない。
対象犯罪についても、本法案では277にまで限定されるに至ったが、かかる限定範囲と、政府が従前から、国連越境組織犯罪防止条約締結のためには「懲役・禁錮4年以上の全ての罪」を対象として600を超える犯罪を対象とすることが不可欠である、と答弁してきたこととの整合性は不明なままである。
そして、そのように限定された対象犯罪の中には、破産法上の偏頗行為や、森林法違反、著作権法違反、所得税法違反といった、テロ対策という目的とはおよそ無縁な犯罪が含まれており、また、必ずしも重大犯罪に限られているというわけでもない。
よって、当会は、引き続き本法案に反対し、本法案を廃案にするよう求めるべく、あらためて声明を発する。
以上
平成29(2017)年6月13日
三重県弁護士会 会長 飯田聡