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2334 ら特集三重弁護士会①

三重弁護士会
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三重弁護士会 > 総会決議・会長声明
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会長 飯 田   聡
2017年12月19日
民法の成年年齢引下げに反対する会長声明
2017年09月14日
地方消費者行政の一層の強化を求める会長声明
2017年08月23日
改正組織的犯罪処罰法成立に反対する会長声明
2017年06月14日
組織的犯罪処罰法改正案に反対する再度の会長声明

会長  内田 典夫
2016年12月27日
司法試験合格者数のさらなる減員を求める17弁護士会会長共同声明
2016年12月09日
災害対策を理由とする「国家緊急権」の創設に反対する会長声明
2016年12月09日
死刑執行に抗議する会長声明
2016年11月14日
いわゆるテロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明
2016年11月14日
「カジノ解禁推進法案」に反対する会長声明
2016年09月12日
改めて、司法試験合格者数を早急に1,000人以下に
減少させることを求める会長声明

会長 川端 康成
2016年01月12日
消費者庁・国民生活センターの地方移転に反対する会長声明
2016年01月27日
死刑の執行に関する会長声明
2016年01月27日
夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて
民法における差別的規定の改正を求める会長声明
2016年01月20日
司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
2015年09月24日
事前拒否者に対する訪問及び電話による取引の勧誘を
禁止する制度の導入を求める意見書
2015年07月15日
憲法違反の安全保障法制改定法案に反対し、廃案を求める会長声明
2015年06月18日
労働時間規制の緩和及び労働者派遣法改正案に反対する会長声明

会長 板垣 謙太郎
2015年05月13日
通信傍受法の対象犯罪拡大や司法取引の導入などを含む、刑事訴訟法などの
改正案の閣議決定を受けて、国会での慎重審議を求める会長声明
2015年03月12日
商品先物取引法施行規則による不招請勧誘禁止規制の緩和に反対する会長声明
2015年01月19日
少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明
2014年05月23日
司法試験合格者数の早急なる減員を求める決議(総会決議)
2014年05月14日
労働者派遣法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明
2014年05月14日
法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」事務当局試案の公表を受けて、
改めて、冤罪を生み出さない新たな刑事司法の構築を求める会長声明
2014年04月23日
商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に反対する会長声明

会長 向山 富雄
2014年03月07日
行政書士法改正に反対する会長声明
2014年01月29日
過労死等防止基本法の成立を求める会長声明
2014年01月18日
集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明
2013年11月27日
特定秘密保護法制定に反対する会長声明
2013年09月27日
商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制の撤廃に反対する会長声明
2013年09月27日
公契約法及び公契約条例の制定を求める会長声明
2013年07月26日
憲法改正発議要件の緩和に反対する会長声明
2013年07月26日
適正な法曹人口の在り方及び司法修習生に対する
経済的支援についての見直しを求める会長声明
2013年06月28日
「共通番号法」法案成立に対する会長声明
2013年05月13日
社会的事実に基づいた慎重かつ丁寧な
民法(債権関係)改正作業を求める会長声明
会長 村瀬 勝彦
2013年01月30日
生活保護基準の引下げに反対する会長声明
2013年01月30日
秘密保全法制の法案化に反対する会長声明
2012年07月27日
改正貸金業法の見直しの動きに反対する会長声明
2012年06月28日
大飯原子力発電所の再稼働に反対する会長声明
総会決議
2012年02月10日
個人通報制度の早期導入及び国内人権機関の設置を求める総会決議
2011年02月10日
全面的国選付添人制度の実現を求める総会決議
会長 出口 崇
2010年12月21日
司法修習生の給費制廃止及び貸与制施行を延期する
「裁判所法の一部を改正する法律」成立についての会長声明
2010年12月08日
秋田弁護士会所属会員の殺害事件に関する会長声明
2010年11月10日
今、改めて適正な刑事手続の確立を求める会長声明
2010年05月14日
全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明
会長森川仁
2010年03月31日
三重弁護士会作成の地域司法計画(第2期:PDF)
2010年03月12日
司法修習生に対する給費制継続を求める声明
2009年09月10日
改正貸金業法の完全実施を求める声明
2009年08月24日
消費者庁長官・消費者委員会委員長の人選に関する声明
会長 室木 徹亮
2009年03月11日
取調べの全過程の可視化を求める会長声明
2009年01月15日
強い権限を持った消費者庁の設置と消費者行政一元化を求める声明
2008年05月09日
少年法の改正法案に反対する会長声明
会長 杉岡 治
2006年11月17日
割賦販売法改正に関する会長声明
2006年06月14日
出資法の上限金利の引き下げを求める等の会長声明
会長 降籏 道男
2006年02月14日
いわゆる「ゲートキーパー立法」に反対する会長声明
2005年12月07日
「共謀罪」法案の抜本的見直しを要請する会長声明
2005年10月03日
少年法の一部を改正する法律(案)に反対する会長声明
会長 北岡 雅之
2004年07月28日
司法修習生の給費制堅持を求める会長声明
2004年07月28日
弁護士報酬敗訴者負担制度問題に関する会長声明
(平成15年度)会  長  村 田 正 人
2003年10月27日
司法修習生の給費制維持を求める会長声明
2003年09月24日
「弁護士報酬敗訴者負担制度」についての三重弁護士会会長声明
会長伊藤誠基
2002年12月18日
三重弁護士会作成の地域司法計画(第1次:PDF)
2002年12月02日
「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の
医療及び観察等に関する法律案」に反対する会長声明
2002年11月18日
弁護士報酬敗訴者負担制度に反対する会長声明及び反対署名のお願い
(平成13年度)会長 渡 辺 伸 二
2002年08月03日
ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(要望)
2002年05月18日
法律扶助に関する三重弁護士会総会緊急決議
―――――◦―――――◦―――――
民法の成年年齢引下げに反対する会長声明
1 選挙年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法等の一部を改正する法律が平成28年6月19日から施行されたことを受け,現在,民法の成年年齢を20歳から18歳まで引き下げることが議論されている。しかしながら,同引下げにより,18歳,19歳の若年者に対する消費者被害を拡大するおそれが高いことから,当会は,現時点において,民法の成年年齢を18歳に引き下げることに反対する。
2 民法の成年年齢を引き下げた場合における最も大きな影響は,18歳,19歳の若年者が,未成年者取消権(民法5条2項)を喪失することである。
民法では,これら若年者を含む未成年者は,単独で行った法律行為を未成年者であることのみを理由として取り消すことができ,未成年者が悪質な業者との間で違法もしくは不当な契約を締結させられた場合の救済手段として大きな効果を有している。また,20歳を境に若年者の消費生活センター等への消費者相談件数が増加するという傾向が顕著に見られることから,未成年者取消権が未成年者に違法もしくは不当な契約の締結を勧誘する悪質な事業者に対する抑止力としても機能している。したがって,18歳,19歳の若年者が未成年者取消権を失えば,消費者被害に巻き込まれる可能性が高まることは確実であって,民法の成年年齢引下げは若年者への消費者被害の増加につながる大きな危険を有している。
3 また,若年者に対する消費者被害増加を防止するためには,若年者または消費者全般を保護するための法改正や,より一層の消費者教育の拡充が重要である。しかし,我が国では,現時点で,そのような施策の実施は十分であるとはいえず,若年者の消費者被害の実態に対する理解も十分とは言えない。
なお,平成29年8月8日付け,消費者委員会答申書(府消委第196号)においては,付言事項として「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させるいわゆる『つけ込み型』勧誘の類型につき,特に,高齢者・若年成人・障害者等の知識・経験・判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消権」について,早急に検討し明らかにすべき喫緊の課題とされているところである。
4 このように,民法成年年齢の引下げにあたっては,引下げによる影響や問題点を広く把握し,若年者と若年者を取り巻く多くの関係者らの意見を十分に聴いた上で,さまざまな角度から議論がなされる必要があるにもかかわらず,現状では,十分に国民的な議論がなされている状況とは到底言えない。
よって,当会は,現時点において民法の成年年齢を18歳に引き下げることに反対する。以 上
平成29(2017)年12月18日
三重弁護士会 会長 飯 田   聡

改正組織的犯罪処罰法成立に反対する会長声明
本年6月15日、「テロ等組織犯罪準備罪」を創設する組織犯罪処罰法(以下、「本法」という。)が、参議院本会議における参議院法務委員会の中間報告を経たうえで、法務委員会における採決を省略して本会議採決に進むという史上類を見ないような過程を経て成立し、同年7月11日から施行されて現在に至っている。
当会は、平成29年6月13日に本法に反対する会長声明を発出し、一般の団体が「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」として処罰されるおそれがあることや、国連越境組織犯罪防止条約と本法の対象犯罪との関連性に矛盾があること等を指摘していたが、参議院法務委員会において上記のような強行採決で法案が成立したために、上記の点に関する問題点は全く解消されなかった。
このことは、参議院での本法に対する審議時間がわずか20時間程度であったことや、最終的に議論を打ち切るという中間報告といった手段が用いられたことからも明らかである。
特に今回行われた中間報告については、法文上では「特に必要があるとき」(国会法56条の3第1項)に中間報告が認められ、その中間報告を求めた案件について、「議院が特に緊急を要すると認めたとき」(同2項)に、委員会の審査に期限を附すことができるとされていた。
しかし、本件においては、中間報告を求める「必要」も、審査に期限を附す「緊急性」も存在しなかった。このような方法が採用されたのは、おそらく衆議院本会議における法務大臣の説明が二転三転し、法案に関する矛盾や危険性に関する指摘を受けること自体を与党側が恐れたためと考えられるが、このような目的で中間報告という手段を用いること自体が違法な運用であったことは明らかである。
そのため、本法は、法案の中身だけではなく、その手続過程にておいも、重大な瑕疵をはらんでいるのである。
したがって、当会としては、本法の成立に対し厳重に抗議すると共に、引き続き、本法の廃止を求めるべき取組みをしていく所存である。
平成29(2017)年8月22日
三重弁護士会 会長 飯 田   聡

組織的犯罪処罰法改正案に反対する再度の会長声明
本年5月23日、「テロ等組織犯罪準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案(以下、「本法案」という。)が衆議院本会議で可決され、本法案は同月29日から参議院での審議が進められている。
当会は、平成28年11月14日、本法案の国会提出に先立ち、「いわゆるテロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明」を発出し、本法案は処罰範囲を大幅に限定しているとは評価できず、むしろ、「テロ」対策の名の下に、思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの憲法上の基本的人権を侵害する危険性があると指摘した。
ところが、本法案の審議においては、当会が前記会長声明で指摘した問題点は解消されていない。
前記会長声明発出後に国会に提出された本法案では、適用対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と規定し、その定義を「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大犯罪を実行することにあるもの」とした。しかし、どのような団体が「結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大犯罪を実行することにあるもの」と認定されるかについては、衆議院での本法案の審議を経ても明らかになってはいない。
たとえば、法務大臣は、衆議院本会議では、自然環境や景観の保護などを主張する団体はその目的からして組織的犯罪集団に当たることはなく、座り込みを計画しても、テロ等準備罪による処罰の対象となることはないと答弁した。しかし、法務大臣は、参議院本会議では、「対外的には環境保護や人権保護を標榜していても、それが隠れみので、結びつきの基本的な目的が重大な犯罪を実行することにある団体と認められる場合は処罰されうる」と答弁した。また、団体が組織的犯罪集団に該当するかどうかは、「捜査機関が刑事訴訟法の規定に従い収集した証拠に基づいて、社会通念に従って判断して認定する」と述べるに止まった。それどころか、「組織的犯罪集団だと確実に認められなくても、その嫌疑が客観的にある場合に捜査を開始できる」と答弁した。これは、捜査機関が「組織的犯罪集団に該当する嫌疑が客観的にある」と判断すれば、団体の本来の性質にかかわらずに捜査がなされる可能性を認めるものであって、恣意的な運用がなされる危険性も否定できない。
対象犯罪についても、本法案では277にまで限定されるに至ったが、かかる限定範囲と、政府が従前から、国連越境組織犯罪防止条約締結のためには「懲役・禁錮4年以上の全ての罪」を対象として600を超える犯罪を対象とすることが不可欠である、と答弁してきたこととの整合性は不明なままである。
そして、そのように限定された対象犯罪の中には、破産法上の偏頗行為や、森林法違反、著作権法違反、所得税法違反といった、テロ対策という目的とはおよそ無縁な犯罪が含まれており、また、必ずしも重大犯罪に限られているというわけでもない。
よって、当会は、引き続き本法案に反対し、本法案を廃案にするよう求めるべく、あらためて声明を発する。以上
平成29(2017)年6月13日
三重弁護士会 会長 飯 田   聡

司法試験合格者数のさらなる減員を求める17弁護士会会長共同声明
1.日本弁護士連合会は,本年3月の臨時総会決議(以下,「日弁連臨時総会決議」という。)において,現行の法曹養成制度の下で,法曹志望者が毎年大幅な減少を続けており,こうした状況が続くなら我が国の司法と民主主義を担う人的基盤を脅かす危険があるとし,平成27年度司法試験合格者数が1850人であった状況の中で,「まず,司法試験合格者数を早期に年間1500人とすること」を,可及的速やかに実現すべき緊急の課題として,全国の会員・弁護士会と力を合わせて取り組むことを表明した。
1.制度発足後,現実の法的需要を大幅に超える2000人前後の合格者(法曹有資格者)が毎年供給される反面,裁判所の新受件数に現れているとおり,法曹に対する従来型の需要は増加するどころか近年減少を続け,新しい活動領域の拡充も,供給の増加を吸収する規模には至らなかったため,有資格者の過剰供給の弊害は年々顕在化してきた。司法試験を合格し,司法修習を終了しても,法曹として就職・就業できない者が12月の一括登録時で400人を超え,その1ヶ月後でも200人を超えているという異常事態が,平成23年12月(一括登録時464人,1ヶ月後326人)から昨年(一括登録時468人,1ヶ月後225人)まで続いてきた。また,新人法曹が抱える貸与型奨学金や修習中の貸与資金は,利用者平均で350万円にのぼることも判明している。  こうした中で,法曹の魅力,司法試験の魅力は,年々確実かつ急速に失われてきた。その結果として,法科大学院適性試験の受験者数は,試験が開始された平成15年には5万4千人であったものが,昨年3621人,本年3286人にまで激減し,司法試験受験者も,平成16年には4万3千人であったものが,昨年は8016人となり,さらに本年は6899人にまで激減するに至っている。現状は,法曹志望者の減少傾向に歯止めが利かなくなっている状態にあり,政府の法曹養成制度検討会議が平成25年6月26日取りまとめで指摘した,「多様で有為な人材を法曹に確保することが困難となる危機」は,現実化するに至っている。
多様で有為な人材が法曹を志望せず,試験の選抜機能が働かず,就職環境や法曹に就いた後のOJTの環境も厳しいとなれば,新規法曹の質が低下することも必定である。 日弁連臨時総会決議が,昨年の1850人の現状に対し,まず1500人へと合格者数を減員することを緊急課題としたのも,現行の法曹養成制度がこのような深刻な危機の状態にあるとの認識を反映したものである。
3.法務省は,本年9月に,本年度の司法試験合格者数は1583人であると発表した。数字だけを見ると,日弁連総会決議が緊急課題とした1500人への減員に結果として近づいたともいえる。しかし,昨年度も本年度も受験者数に対する合格者数の割合(合格率)は同一の23%であるから,本年度の合格者の減少は,昨年度と比べ法曹志望者が大幅に減少した結果もたらされたという見方をする意見もあり,政策的な減員がなされたか否か明らかでない状況にある。  日弁連臨時総会決議は,「更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要,問題点の改善状況を検証しつつ対処していくべきもの」としているところ,現行の法曹養成制度は,法曹志望者の激減に合わせて,法科大学院適性試験や司法試験の受験者が上記の通り著しく激減した結果,制度の成熟の前提となる多様で有為な人材の確保そのものが危機に瀕する実態にある。また,現実の法的需要が,平成15年以降,倍近くに増えた法曹有資格者の過剰供給を吸収できる状態から程遠い実態にあり,そのことの弊害がますます顕在化していることも,すでに明瞭である。  この間に,法曹有資格者が,既に何年にもわたり,登録年度ごとに供給過多が発生し,そのもとで法曹界に様々な困難が積み重なっていることを考慮すれば,政府が,次年度以降に向け,さらに大幅な減員を行う方針を速やかに採用しなければ,供給過剰による弊害の進行を食い止めることはできず,社会に法曹界の魅力ある将来像を提示することは困難となり,結果として人材の法曹離れの傾向を止めることもおぼつかず,さらに法曹養成制度の危機を深めるという悪循環が繰り返されることになる。
4.法曹は司法を担う人的基盤であって,司法制度は法の支配と人権擁護の基盤となる国家制度である。いま,供給過剰による弊害の進行を食い止め,法曹を目指すことの魅力を保持することは,司法制度存立の基礎を維持するために不可欠な事柄である。  そこで,われわれは,共同で,政府に対し,次年度以降の司法試験合格者数を,さらに大幅に減員する方針を,速やかに採用することを強く求めるものである。 以 上
2016年12月27日
埼玉弁護士会 会長   福地 輝久
千葉県弁護士会 会長  山村 清治
栃木県弁護士会 会長  室井 淳男
群馬県弁護士会 会長   小此木 清
山梨県弁護士会 会長  松本 成輔
長野県弁護士会 会長  柳澤 修嗣
兵庫県弁護士会 会長  米田 耕士
三重県弁護士会 会長  内田 典夫
富山県弁護士会 会長  山本 一三
山口県弁護士会 会長 中村 友次郎
大分県弁護士会 会長  須賀 陽二
仙台県弁護士会 会長 小野寺 友宏
福島県弁護士会 会長  新開 文雄
山形県弁護士会 会長  山川  孝
秋田県弁護士会 会長 外山 奈央子
青森県弁護士会 会長  竹本 真紀
札幌県弁護士会 会長  愛須 一史

災害対策を理由とする「国家緊急権」の創設に反対する会長声明
第192回臨時国会で衆参両議院の憲法審査会が審議を再開させたが,今回の議論でも,災害対策を理由に緊急事態条項(国家緊急権)の新設による憲法改正が必要であるとの意見が出ている。
「国家緊急権」とは,戦争・内乱・恐慌・大規模な災害など,平時の統治機構をもっては対処できない非常事態において,国家の存立を維持するために,国家権力に,立憲主義的な憲法秩序(人権の保障と権力分立)を一時停止して非常措置をとる権限を認めるというものである。
つまり,「国家緊急権」は,性質上,立憲的な憲法秩序を停止して行政府に権限を集中し人権保障を停止させるものであるから,濫用の危険がある。この点,平成24年4月に自由民主党が公表した日本国憲法改正草案に国家緊急権の条項が含まれているが,これによれば,緊急事態の宣言や解除が,内閣総理大臣に委ねられ,しかも,緊急事態の宣言が発せられた場合,その宣言が効力を有する期間は,衆議院は解散されず,議員の任期及び選挙期日の特例を設けられるため,内閣にとって有利な会派構成を固定化することが可能となり,宣言の承認権を有するはずの国会によるコントロールが機能しなくなるなど,国家緊急権の濫用のおそれは否定し難い。
他方,災害対策についてみれば,日本の災害法制は既に精緻に整備されており,災害対策のために,国家緊急権を創設する必要性はない。すなわち,非常災害が発生して国に重大な影響を及ぼすような場合,内閣総理大臣が災害緊急事態を布告し(災害対策基本法105条),生活必需物資の授受の制限,価格統制,及び債務支払の延期等を決定できるほか(同法109条),必要に応じて地方公共団体等に必要な指示もできる(大規模地震対策特別措置法13条1項)など,内閣総理大臣への権限集中の規定がある。また,防衛大臣が災害時に部隊を派遣できる規定もある(自衛隊法83条)。さらに,都道府県知事の強制権(災害救助法7~10条等),市町村長の強制権(災害対策基本法59,60条,63~65条等)など,私人の権利を一定範囲で制限する規定も設けられている。その他にも,緊急事態に対応するための規定は多数存在しており,諸外国に見られる程度の「国家緊急権」の内容は,我が国においては既に法律で十分に整備されているのである。
そもそも,災害対策についていえば,事前に準備していないことは災害発生時にはできないのであり,それゆえ,平常時に,事前の準備を十分に尽くしておくことが大原則である。東日本大震災においては,政府の初動対応は極めて不十分であったと評価されているが,それは既存の法制度に不備があったからではなく,災害への事前の対策が不足し,法制度を十分に活用できなかったからである。事前準備の不足は,国家緊急権を創設すれば克服できるというものではない。実際,日本弁護士連合会が平成27年9月に東日本大震災の被災三県(岩手・宮城・福島)の37市町村に対し,アンケートを実施したところ,24市町村から回答があり,「災害対策・災害対応について憲法は障害になったか」という問いについては,96%の自治体が「障害にならなかった」と回答した。
ここ三重県においても,南海トラフ地震の発生が近い将来に予測されており,甚大な被害の発生が想定されている。当会も,平成25年12月25日に,三重県との間で,災害時における法律相談業務に関する協定を締結したり,隣接士業の災害対策連絡協議会を開催したりするなどして,事前準備を進めている。
以上のとおり,災害対策は既存の法制度で十分対応可能であるから,日本国憲法を改正して「国家緊急権」を創設する必要はない。かえって,「国家緊急権」を創設することは,その濫用により国民の基本的人権を不当に制限することになりかねない。
よって,当会は,災害対策を理由として,日本国憲法に「国家緊急権」を創設することに反対する。
2016年12月9日
三重弁護士会 会長 内田 典夫

死刑執行に抗議する会長声明
平成28年11月11日,福岡拘置所において,1名に対して死刑が執行された。本年3月25日に2名の死刑執行がなされてから7か月あまりでの執行となる。第2次安倍内閣の成立以降約4年の間に死刑執行は10回目で,合計17名に対し,死刑が執行されたことになる。
日本弁護士連合会は,本年10月7日に開催された第59回人権擁護大会において,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される平成32年までに死刑制度の廃止を目指すべきであるなどとした宣言を採択したばかりであり,今回の死刑執行は,この宣言に対し全く配慮しないもので誠に遺憾である。
死刑は生命を奪う不可逆的な刑罰であり,誤判の場合には取り返しがつかない。昭和55年から昭和62年にかけての著名な死刑再審4事件(免田,財田川,松山,島田)だけでなく,最近でも,平成26年に袴田事件で再審開始決定が出され,袴田巌氏の死刑及び拘置の執行は停止されたが,誤判・えん罪による死刑執行の危険は現実のものとなっている。
国際社会においても,死刑廃止に向かう潮流が主流であり,死刑を廃止又は停止している国は141か国に及び,世界の3分の2以上の国において死刑の執行はなされていない。さらに,平成27年に実際に死刑を執行した国は25か国しかなかった。また,平成26年7月23日には,国連人権(自由権)規約委員会が日本政府に対し,「死刑の廃止を十分に考慮すること」との勧告を行っている。
内閣府が平成26年11月に実施した世論調査で,「死刑もやむを得ない」という回答が80.3%と多数を占めているものの,そのうち「状況が変われば廃止」が40.5%であり,また「終身刑導入なら廃止」も全回答者の37.7%に上り,死刑についての情報が十分に与えられ,死刑の代替刑も加味すれば,死刑廃止が必ずしも国民世論の少数となるとは限らない。また,死刑廃止は世論だけで決めるべき問題ではなく,世界の死刑廃止国の多くも,誤判による死刑執行は決して許してはならない,犯罪者といえども生命を奪うことは人権尊重の観点から許されない等との決意から,死刑支持の世論が多数の中でも,死刑制度が廃止されるに至っている。
当会は,今回の死刑執行に抗議するとともに,政府に対し,日弁連人権擁護大会の宣言及び国連人権(自由権)規約委員会の勧告に誠実に対応し,一旦すべての死刑判決確定事件の死刑の執行を停止したうえで,死刑制度の廃止についての検討を開始するよう求める。
2016年12月9日
三重弁護士会 会長 内田 典夫

いわゆるテロ等組織犯罪準備罪の新設に反対する会長声明
先般、政府は、「共謀罪」を「テロ等組織犯罪準備罪」と改めて取りまとめた組織犯罪処罰法改正案(以下「新法案」という。)について、臨時国会への提出を見送り、来年の通常国会での成立を目指す方針である旨報道された。
過去三度廃案になった共謀罪は、団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われる犯罪の遂行を共謀した場合、その遂行に合意した者を処罰する、すなわち、「行為」そのものではなく、「合意」に着目して処罰するというもので、思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの憲法上の基本的人権を侵害する危険性が指摘されていた。
報道によれば、新法案は、「団体」を「組織的犯罪集団」とした上で、その定義について、「目的が長期4年以上の懲役・禁固の罪を実行することにある団体」とし、さらに、犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰することとし、その処罰に当たっては、計画をした誰かが、「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件を付している。
しかし、「計画」も、共謀の言い換えに過ぎず、「準備行為」も、予備罪・準備罪の予備・準備行為と異なり、ATMからの預金の引き出し行為など、市民の日常的行為も広く含むとされている。また、「団体」が「目的が長期4年以上の懲役・禁固の罪を実行することにある団体」である組織的犯罪集団とされたが、長期4年以上の懲役・禁固を定める犯罪は600を超え、公職選挙法違反なども含んでいる。
また、民主党が2006年に提案し、一度は与党も了解した共謀罪法案の修正案では、対象犯罪の越境性(国境を越えて実行される性格)を要件としていたところ、新法案は越境性を要件としていない。国連越境組織犯罪防止条約は、越境組織犯罪を抑止することを目的としたものであるから、越境性の要件を除外しているのも相当ではない。
このように、新法案は、共謀罪に比べ処罰範囲を大幅に限定しているとは評価できず、むしろ、「テロ」対策の名の下に、思想信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの憲法上の基本的人権を侵害する危険性がある。
政府は,新法案は、国連越境組織犯罪防止条約を批准するために必要であると説明している。しかし、国連越境組織犯罪防止条約については、組織犯罪に関連する重大犯罪について、合意により成立する犯罪が未遂以前に可罰的であれば、批准することができる。つまり、現行法においても、内乱、外患及び私戦の各予備・陰謀罪、殺人、身代金目的略取等、強盗及び放火の各予備罪、凶器準備集合罪等、重大な犯罪について、陰謀罪、共謀罪、予備罪、準備罪の規定が設けられている。また、判例理論として、共謀共同正犯の理論が確立しており、共謀をした者のいずれかが予備行為に及べば、共謀者全員に予備罪の共謀共同正犯が成立する。これらの法律及び判例理論によって、組織犯罪が想定される重大な犯罪について未遂以前の段階で処罰が可能となっているため、テロ等組織犯罪準備罪を新設することなく本条約への批准は可能である。
よって、当会は、今般、報道された内容であるテロ等組織犯罪準備罪の新設には反対する。
2016年11月14日
三重弁護士会 会長 内田 典夫

「カジノ解禁推進法案」に反対する会長声明
先般,超党派の「国際観光産業振興議員連盟」において,過去,廃案になった,カジノを中心とする統合型リゾートを推進する法案(以下「カジノ解禁推進法案」という。)について,改めて,今国会(第192回臨時国会)で成立を目指す方針が確認された旨報道された。
カジノ解禁推進法案は,現行法上,賭博罪に該当する行為として違法とされるカジノを合法化し,民間賭博を解禁しようとするものであるが,現在においても深刻なギャンブル依存症の問題を,更に悪化させるおそれが大きい。厚生労働省研究班の調査によれば,我が国でギャンブル依存症の疑いのある者は536万人,成人人口の4.8%と推計されており,1%前後である諸外国と比較して際立って高い。ギャンブル依存症は,ギャンブルを繰り返すことによって誰でも罹患しうる精神疾患とされているにもかかわらず,社会的理解は乏しく,我が国では,ギャンブル依存症は自己責任の問題とされている。また,ギャンブル依存症が原因で,破産や離婚に至ったり,窃盗や横領などの罪を犯したり,自殺に追い込まれたりする事例も少なくないにもかかわらず,我が国では,ギャンブル依存症対策が十分取られていない。
また,法案は,カジノ施設と会議場施設,レクリエーション施設,展示施設,宿泊施設等が一体となった「特定複合観光施設」を設置するもので,家族で出かける施設にカジノ施設が存在することとなる。青少年は,幼少時からカジノ施設に接することで賭博を抵抗なく受け入れることとなりかねず,その健全育成に悪影響を及ぼすことが強く懸念される。
さらには,暴力団等の反社会的勢力の関与・介入,マネー・ロンダリングへの利用,犯罪の発生,風俗環境の悪化等も予想されるにもかかわらず,これらに対する具体的で有効な予防策は示されていない。
カジノには,こうした多くの弊害が避けられないにもかかわらず,我が国ではギャンブル依存症を始めとする弊害に対する対策がほとんど皆無の状況にあり,こうした現状においては,弊害を一層増加・深刻化させるおそれのあるカジノ解禁推進法案に対しては,当会は強く反対する。
2016年11月14日
三重弁護士会 会長 内田 典夫

改めて、司法試験合格者数を早急に1,000人以下に
減少させることを求める会長声明
法務省は、平成28年度司法試験合格者数を1,583人であると発表した。当会は、これまで、司法試験合格者数を1,000人以下に減少させることを求めてきたが、本年度の司法試験合格者数はこれを大幅に上回るだけでなく、政府の法曹養成制度改革推進会議が平成27年6月30日に取りまとめた司法試験合格者数の想定数1,500人をも上回っており、誠に遺憾である。
当会は、平成26年5月23日の定期総会において、弁護士急増の結果、就職難などにより、法曹としての知見を研鑽する機会が不十分となるとともに、法曹志願者の減少により、有為な人材を確保することができなくなることから、法曹の質を著しく低下させ、ひいては、国民の権利・自由を実効的に保障することができなくなる危険性を指摘し、早急に司法試験合格者数を年間1,000人以下とすることを求める決議を行った。
ところが、その後も、平成27年度の司法試験合格者数は1,850名と前年度よりかえって40名増加し、今回の合格者数はこれに比べ267名減ったものの、合格率はほぼ横ばいであることから、司法試験受験者数が大幅に減った結果、合格者数が必然的に減少したに過ぎず、政策的に減少させたとは認められない。他方で、この間、平成28年度の法科大学院の入学者数は1,857人と前年度に比べ約15.6%減少し、また、平成28年度の司法試験受験者数も6,899人と前年度に比べ約14%も減少し、法曹志願者の減少傾向に歯止めはかからず、むしろ、より一層悪化している。
このままでは、法曹養成制度が完全に破壊され、法曹の質が著しく低下し、国民の権利・自由を実効的に保障することができなくなる。
ところで、今後、司法試験合格者数を政府が想定する1,500人に減少させた場合でも、弁護士人口は現在の約38,000人から約62,000人程度まで増加を続け、1,000人に減少させた場合でも、約47,000人に達すると試算されていることから、現在の法曹人口の急増に伴う弊害を是正するためには、司法試験合格者数を少なくとも1,000人以下に減少させる必要がある。よって、当会は、改めて、政府に対し、国民の権利・自由を守るために、年間司法試験合格者数を次年度はまず政府の想定する1,500人に減少させた上で、さらに早急に1,000人以下に減少させることを強く求める。
2016年9月12日
三重弁護士会 会長 内田 典夫

消費者庁・国民生活センターの地方移転に反対する会長声明
1. 政府は,地方創生を重要政策として位置づけ,「まち・ひと・しごと創生本部」を内閣に設置している。その中の「政府関係機関移転に関する有識者会議」において,政府関係機関の地方移転の検討が行われ,現在,消費者庁及び国民生活センターを徳島県に移転させることが,審議事項にあがっている。消費者庁及び国民生活センターが移転した場合,消費者行政の司令塔としての役割を失うことになりかねないため,当会は,反対の意見を表明する。
2. (1) 国民生活センターは,1970(昭和45)年10月1日に設立されて以来,都道府県市区町村に設置された消費生活センターと連携をとりつつ,国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行い,重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施してきた。ただ,2008(平成20)年頃,パロマ工業製ガス湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故や中国製冷凍ギョーザ中毒事件など,消費者の安全にかかわる問題が多発した。特に,消費者行政は,複数の省庁にまたがる事案への対応が遅れ,被害が深刻化することがあった。これらを契機に,消費者に直接関わる情報を一元的に集約させ,司令塔としての役割を担う機関として,2009(平成21)年9月に消費者庁が設置された。これにより,消費者庁が司令塔としての機能として,国民生活センターが情報の収集・分析等の中核的な実施機関として,消費者行政において重要な役割を担うこととなった。
(2) 具体的には,消費者安全に関する重大事故が発生した場合,消費者庁が官邸と連絡をとり,関係大臣等を本部員とする緊急対策本部を速やかに開催し,関係省庁と連携し,事態に対応をする。消費者庁が設置されてから6年に過ぎないが,2013(平成25)年12月29日に起きた冷凍食品から農薬(マラチオン)が検出された事案では,消費者庁が司令塔としての機能を発揮した。年明け早々に内閣府特命担当大臣が直接事業者と面談のうえ,情報提供の要請を行い,かつ,関係省庁と連携し,被害の拡大防止等の対応にあたった。同年10月頃には,ホテル・レストランが提供する料理等のメニュー表示に関する偽装表示が多発した。この件でも,消費者庁が司令塔としての役割を果たし,食品表示の適正化策を早期に策定した。
また,消費者庁は,このような緊急課題のみならず,法改正のため,国会対応もする。最近では,消費者安全法,不当景品類及び不当表示防止法の改正,消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の創設などが行われ,法案改正や制定の説明を行った。現在は,特定商取引に関する法律,割賦販売法,消費者契約法,公益通報者保護法の改正について,関係省庁と事前に協議を行い,調整をするとともに,国会議員に対して,個別に法改正や法の創設の趣旨及び内容について直接説明をしている。
(3) そして,国民生活センターにおいては、全国の消費生活相談情報を集約・分析し,一般消費者や地方自治体に情報を発信するだけでなく,消費者庁や消費者委員会や各省庁の消費者関連法制度の不備や見直しの問題提起や立法事実となる資料提供などを行うなど,消費者庁ほか関連省庁との密接な連携により,政府全体の消費者行政を推進する機能を果たすことが求められている。
3. 以上のとおり,消費者庁及び国民生活センターは,消費者行政において重要な役割を担っているところ,徳島県へ移転された場合,以下の2点が危惧される。
第1に,日本全国の消費者問題の指揮及び遂行に支障をきたすことである。
東京からなら,北海道から沖縄まで,概ね2時間から6時間程度で駆けつけることができる。他方,徳島からでは,所要時間が長くなるのは41都道府県にも上る。これは,交通アクセスが悪いためである。それゆえ,緊急重大事故が発生した場合,消費者庁は,司令塔として,いち早く対応することができない恐れがある。また,交通アクセスが不便であることは,法改正について丁寧な説明ができず,時代に応じた法改正が迅速に行えない可能性がある。そして,国民生活センターにおいても,日常的に,都道府県市区町村に設置された消費生活センターと連携をとれず,地域によっては消費者被害の実態把握ができないおそれがある。
第2に,人材確保が困難である。
消費者庁の職員は,約500名いるが,そのうち約半数は非常勤職員である。また,国民生活センターにおける相談員も多くは非常勤職員である。消費者庁消費者行政においては,豊富な経験と高度の相談スキルが求められるため,希少性が高い。それゆえ,大都市圏ではない徳島県へ移転した場合,適切な人材確保が行えない可能性が高い。このことは,現代社会が,情報ネットワークが発達しているといえども,補えない事項である。
4. よって,消費者庁及び国民生活センターの地方への移転は,消費者庁及び国民生活センターの機能を低下させ,我が国の消費者行政の機能の推進を阻害しかねないので,当会は,反対する。
2016年1月24日
三重弁護士会 会長 川端 康成

死刑の執行に関する会長声明
2015年12月18日、東京拘置所と仙台拘置支所で死刑が執行されました。岩城光英氏が法務大臣に就任してから2ヶ月余りでの執行で、前回の死刑執行は2015年6月でしたから、それからわずか半年後の執行です。そして、2012年12月に安倍内閣が成立してからは、これで合計14名に対する死刑が執行されたことになります。
東京拘置所の件は、裁判員裁判による死刑判決の初めての執行で、しかも被告人が上訴をしなかったため、高等裁判所や最高裁判所の判断を経ることなく、裁判員裁判による判決だけにしたがって死刑が執行されたのです。死刑制度は人の生命を奪う究極の国家権力の行使ですから、死刑を執行する前提として、死刑制度に関する十分な情報や知識を国民が共有した上で、国民的な議論を尽くすべきです。ましてや、裁判員裁判制度のもと裁判官以外の者も死刑判決に関わらざるをえなくなった現代では、なおさらです。
裁判には常に誤判の危険性があり、それは死刑確定事件でも同様です。現に、4つの死刑確定事件(免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件)において、その再審無罪が確定し、誤判の存在が明らかとなりました。しかしながら、これら誤判を生じさせた制度上、運用上の問題点につき、その抜本的な解決はなされていませんから、誤判に基づく死刑執行の可能性は未だ残されたままです。
また、静岡地方裁判所は、2014年3月、袴田巖氏の第二次再審請求事件について再審を開始し、死刑及び拘置の執行を停止する決定をしました。当会が存する三重県内においても、名張事件や久居事件など継続中の再審請求事件があります。これらの事件が今後仮に再審無罪となった場合、つまり、新たな誤判が明らかとなったときを慮るに、死刑の執行は可及的に慎重に行われなければならず、当面停止するほかないと考えるのです。
世界に目を向ければ、現在、死刑廃止国(事実上の廃止国を含む)は140か国であるのに対し、死刑存置国は58か国です。また、その死刑存置国においても、2014年に実際に死刑を執行した国は多くはなく、日本を含め22か国にとどまります。さらにまた、いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)の中で死刑制度がある国は日本・韓国・米国の3か国だけですが、そのうち韓国は17年以上にわたって死刑の執行を停止していますし、米国の州のうち19州は死刑を廃止していますので、死刑を国家として統一して執行し続けているのは日本だけなのです。こういった状況を受け、2014年、日本は、国際人権(自由権)規約委員会から、死刑の廃止について十分に考慮すること等を勧告されました。
以上の次第で、当会は、今回の死刑執行を強く抗議するとともに、あらためて、一旦すべての死刑判決確定事件の死刑の執行を停止して、死刑制度に関する情報や知識が広く国民に公開され、国民がそれらを共有した上で死刑制度に関する国民的な議論が行われるよう求めます。
2016年1月27日
三重弁護士会 会長 川端 康成

夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて民法における差別的規定の改正を求める会長声明
2015年12月16日,最高裁判所大法廷は,夫婦同氏の強制を定める民法第750条は憲法第13条,同第14条,同第24条のいずれにも違反するものではないと判断した。その理由として,婚姻の際の「氏の変更を強制されない自由」は憲法上保障されていないこと,夫婦同氏の強制それ自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではないこと,個人の尊厳と両性の本質的平等という憲法第24条の要請に照らして夫婦同氏の強制が合理性を欠くとは認められないことなどが挙げられている。
しかしながら,民法第750条は,憲法第13条及び同第24条が保障する個人の尊厳,同第24条及び同第13条が保障する婚姻の自由,同第14条及び同第24条が保障する平等権を侵害し,女性差別撤廃条約第16条第1項(b)が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同行(g)が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」にも反するものである。
今回の最高裁大法廷判決においても,5名の裁判官(3名の女性裁判官全員を含む。)が,民法第750条は憲法第24条に違反するとの意見を述べた。そのうち岡部喜代子裁判官の意見(櫻井龍子裁判官,鬼丸かおる裁判官及び山浦善樹裁判官が同調)は,夫婦同氏の強制によって個人識別機能に対する支障や自己喪失感等の負担がほぼ妻に生じていることを指摘し,その要因として,女性の社会的経済的な立場の弱さや家庭生活における立場の弱さと,事実上の圧力など様々なものがあることに触れており,夫婦同氏の強制が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した制度とはいえないと説示している。さらに,木内道祥裁判官の意見は,夫婦同氏の強制は,憲法第24条にいう個人の尊厳と両性の本質的平等に違反すると説示し,「家族の中での一員であることの実感,夫婦親子であることの実感は,同氏であることによって生まれているのだろうか」と疑問を投げかけている。
法制審議会は,1996年に「民法の一部を改正する法律案要綱」を総会で決定し,男女とも婚姻適齢を満18歳とすること,女性の再婚禁止期間の短縮及び選択的夫婦別姓制度の導入を答申した。また,国連の自由権規約委員会は婚姻年齢に男女の差を設ける民法第731条及び女性のみに再婚禁止期間を定める民法第733条について,女性差別撤廃委員会はこれらの規定に加えて夫婦同氏を強制する民法第750条について,日本政府に対し重ねて改正するよう勧告を行ってきた。法制審議会の答申から19年,女性差別撤廃条約の批准から30年が経つにもかかわらず,国会は,上記各規定を放置してきたものである。今回の最高裁大法廷判決における山浦善樹裁判官の反対意見も,1996年の法制審議会の答申意向相当期間を経過した時点において,民法第750条が憲法の諸規定に違反することが国会にとっても明白になっていたと指摘している。
一方,上記同日,女性のみに6か月の再婚禁止期間を定める民法第733条について,最高裁判所大法廷は,100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は合理性を欠いた過剰な制約を課すものとして,憲法第14条第1項及び同第24条第2項に違反するとの判断を下した。
民法第733条を違憲であるとした点については,当会の主張と合致するものである。しかし,女性のみに再婚禁止期間を設けることは,その期間を100日間に短縮したとしても必要最小限にしてやむを得ないものとはいえない。
今回の最高裁大法廷判決における鬼丸かおる裁判官の意見も,女性について6か月の再婚禁止期間を定めていることは,憲法第14条第1項及び同第24条第2項に違反し,その全部が無効であると説示している。また,山浦善樹裁判官の反対意見は,多数意見が指摘する父性推定重複の問題に関して,「近年の医療や科学水準を前提にすれば,生物学上の父子関係の判定は容易にできる」とし,法的手続において「最高の科学技術を活用して真実の父を定めることこそが本当の子の利益になる」として,民法第733条はその全部が違憲と説示している。
当会は,日本国憲法が定める個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した家族法を実現するため,国に対し,民法第750条及び同第733条並びにこれらの規定とともに法制審議会にて改正が答申され,国連の自由権規約委員会及び女性差別撤廃委員会から勧告がなされている同第731条(婚姻適齢)を速やかに改正することを強く求める。
2016年1月27日
三重弁護士会 会長 川端 康成

司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
司法制度は、社会に法の支配を行き渡らせ、国民の権利を実現するための極めて重要な社会インフラである。かかる司法制度の担い手である法曹(弁護士、裁判官、検察官)の養成は、個人的資格の取得という意味にとどまらず、高い公共的価値を有する。従って、国家は本来的に、公費をもって質の高い法曹を養成すべき責務がある。
このような理念のもと、我が国では、昭和22年の司法修習制度開始以来、法曹となる司法修習生に対し、裁判所法により司法修習期間中の修習専念義務を課す一方で、医療保険などの身分保障を与え、生活費等の必要な資金を国費から支給する制度(給費制)がとられてきた。その結果、司法修習生は、経済的側面から司法修習への専念が現実的に可能になるとともに、法曹として養成された後は、自らが国費によって養成されたことの意義を理解し、公共的価値の実現をその使命として意識することができた。
平成23年11月以降、改正裁判所法の施行により、給費制が廃止され、修習期間中に費用が必要な修習生に対しては、修習資金を貸し付ける制度(貸与制)へと変更されたが、時を同じくして、法曹志望者は年々減少の一途を辿っている。司法修習生には、修習資金の負債のほか、大学や法科大学院における奨学金の債務を負っている者も多く、こうした重い経済的負担が、法曹を志す者の意欲を減退させ、法曹志望者激減の大きな要因となっていることは明らかである。
充実した司法を維持形成するために、担い手たる法曹には、多様かつ有為な人材の確保が強く要請されるところであるが、優秀な人材が経済的不安を理由に法曹への道を断念する事態は、国民ひいては社会全体にとって大きな損失である。司法修習生が安心して修習に専念できる環境を整え、質の高い法曹を養成するために、司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)が早急に実施される必要がある。
ところで、司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)については、この間、日本弁護士連合会・各弁護士会に対して、多くの国会議員から賛同のメッセージが寄せられているが、先日、その賛同メッセージの総数が、衆参両院の合計議員数716名の過半数である359名に達した。メッセージを寄せられた国会議員は、与野党を問わず広がりを見せており、司法修習生への経済的支援の必要性についての一般的理解が得られつつあるものといえる。
また、平成27年6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において、「法務省は、最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。これは、司法修習生に対する経済的支援の実現に向けた大きな前進と評価できる。法務省、最高裁判所等の関係各機関は、有為の人材が安心して法曹を目指せるような希望の持てる制度とするという観点から、このような司法修習生に対する経済的支援の実現について、直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべきである。
ところで、給費制が有する公共的意義にもかかわらず、改正裁判所法により給費制が廃止された実質的理由のひとつに、司法試験合格者が将来年間3000人に増大することに伴う財政的負担の増大ということがあった。しかし、合格者数については、その後平成25年までは2000人程度、平成26年及び27年は1800人程度で推移しており、更に、「法曹養成制度改革の更なる推進について」において今後1500人程度への縮小方針も示されている現状を踏まえれば、かかる理由の前提は既に失われていると言わざるを得ない。
以上より、当会は、司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)について、国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せていること、及び、政府においても上記のような決定がなされたことを踏まえ、国会に対して、給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の早急な改正を強く求める。
2016年1月20日
三重弁護士会 会長 川端 康成