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2349 ら特集岡山弁護士会⑤

岡山弁護士会
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死刑執行に関する会長声明
2013(平成25)年12月12日、東京拘置所、大阪拘置所において、それぞれ1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、本年9月17日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。
にもかかわらず、本年になってから4回目、前回執行から3か月という短い間に連続して死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。
国際社会においては、死刑廃止が趨勢となっている。最近では、死刑廃止又は事実上停止している国が140か国であるのに対し、死刑存置国は58か国に過ぎず、2013年(平成24)??年に実際に死刑を執行した国は我が国を含め21か国しかない。国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けており、本年5月31日に発表された国連拷問禁止委員会の総括所見においても、我が国に対し、死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告を受けている。
日本弁護士連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑及びその運用についての情報公開及び全社会的議論が尽くされるまで全ての死刑の執行を停止することなどを求めた。
当会においても、本年2月9日、「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。
このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。
今回の執行は、死刑判決確定から執行までの期間が一方は18年6か月であり、他方は1年4か月しかたっていない。この執行までの期間の長短について法務省からは何ら具体的な説明もなく、執行対象者の選定基準や死刑判決確定から死刑執行までの経過の不透明さが改めて浮き彫りとなった。
当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。
2013(平成25)年12月13日
岡山弁護士会  会長 近 藤 幸 夫

特定秘密保護法案の参議院採決強行に抗議し,
改めて同法の廃止を含む見直しを求める会長声明
当会は,臨時国会において審理されていた特定秘密保護法案について,国民の知る権利やプライバシーの権利,報道の自由を侵害し,国民主権原理に反するものであるから成立に強く反対する立場から,本年10月19日に同法案に反対する会長声明を発し,11月9日には市民集会を実施し,11月20日及び12月4日に街頭宣伝活動を行い,同法案の危険性について訴えてきた。
そして,11月26日の衆議院の採決強行に際しては,衆議院の審議において多くの問題点が明らかとなり,福島市で行われた地方公聴会においては8名全ての公述人が同法案に反対であったにも関わらず,十分な修正審議がなされず,同法案に対する懸念がぬぐい去られることのないまま採決が強行されたことに抗議し,参議院において徹底した審理を求める会長談話を発したところである。
この間,法学者,外国人記者を含む報道関係者,映画監督等表現の自由の担い手とされる方々や国連人権高等弁務官からも続々と反対,懸念の表明がなされ,12月3日に行われた参議院国家安全保障特別委員会の参考人質疑において与党側の参考人も慎重な審理を求める発言があるなど,国の内外から同法案に対する懸念,不安が高まっている。にも関わらず,良識の府であるはずの参議院においても,2週間にも満たない短い審理期間しかなく,何らの修正もなされないまま,衆議院に続いて採決が強行され,同法案が可決,成立したことは極めて遺憾であり,強く抗議する。
同法案は成立したものの,国民の同法に対する懸念や問題点は消滅するわけではない。
当会は,政府及び国会に対し,改めて,同法が国民の重要な権利を侵害し,国民主権原理に反するものであることから,今後,廃止を含めた抜本的見直しを行うよう強く求めるものである。
平成25(2013)年12月7日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

司法修習生に対する給費制の復活を求める会長声明
1 2013年(平成25年)9月10日,平成25年度司法試験の結果が発表され,2049名が合格した。これらの者の大半が第67期司法修習生として最高裁判所に採用され,当会においても,岡山地方裁判所配属の42名の司法修習生を司法修習指導のため迎え入れた。
しかし,新第65期司法修習生から,「裁判所法の一部を改正する法律」(平成16年法律第163号)が施行され,司法修習期間中の生活費等の必要な資金が国費から支給される給費制が廃止され,これを貸与する制度(以下「貸与制」という。)に移行している。
2 当会は,2011年(平成23年)7月13日には「給費制の存続を求める会長声明」,2013(平成25年)1月23日には「司法修習生に対する給費制の復活を求める会長声明」を発し,同年5月13日には,法曹養成制度検討会議の中間的取りまとめに対するパブリックコメントとして,司法修習生に対する給費制の復活を求めるなど,司法修習生に対する貸与制に反対し,給費制の復活を求める活動を続けてきた。
3 にもかかわらず,法曹養成制度検討会議は,同年6月26日,「法曹養成制度検討会議取りまとめ」(以下「取りまとめ」という。)において,貸与制を前提とした上で,(1)分野別実務修習開始に当たっての転居費用の支給,(2)通所圏内に住所を有しない者に対する集合修習期間中の司法研修所への入寮,(3)司法修習生の兼業許可に関する運用の緩和の各措置を,可能な限り第67期司法修習生から実施すべきであるとした。
そして,今後,司法修習生に対する経済的支援については,法曹養成制度検討会議の後継組織である法曹養成制度改革推進会議の下に設置された法曹養成制度改革顧問会議において,司法修習生の地位及びそれに関連する措置の中で検討されることになっている。
4 しかし,法曹養成制度検討会議が「取りまとめ」において指摘した各措置は,あくまで現行法下における運用改善による応急措置的な,極めて限定的な方策に過ぎず,司法修習生に対する経済的支援としては,給費制を復活することが不可欠である。
(1)そもそも,戦後一貫してわが国の司法は,日本国憲法の下で三権の一翼として国民の人権・権利擁護のため重要な役割を求められ,司法修習は,この司法を担い司法をつかさどる法曹である裁判官・検察官・弁護士の養成のための統一修習制度として制度化された。
そして,これら法曹の資格要件としての司法修習生の地位の重要性に鑑み,司法修習に人材を吸収し,また司法修習生に修習に専念させる等の見地から,特に一定額の給与が支給されることとされていたものである。
かかる日本国憲法の要請や社会的背景に何ら変わりはなく,また司法修習生は,司法の担い手たる法曹の予定者として,国の厳格な規律の下,国の権力行使に関与し,国民の権利義務に関わる法曹の職務そのものに密接に関連する準備過程に従事していることにも何ら変わりはない。
(2)また,日本弁護士連合会が行った「新第65期司法修習生に対する生活実態アンケート」(回答者数717通,回答率35.8%)及び「第66期司法修習生への修習実態アンケート」(回答者数850通,回答率41.8%)において,多数の司法修習生から,「司法修習配属地で住宅を借りるにあたり契約を断られた」,「貸与金返済の経済的不安感から,書籍購入や医者にかかることを自粛した」等の声が寄せられている。このように,司法修習生が司法修習に専念するに当たり,貸与制が大きな妨げとなっている。
(3)さらに,司法修習生の多くは,大学及び法科大学院の奨学金等の返還義務を負担しており,貸与制はその返還義務を加算することになり,法曹としてのスタート時点において多額の債務を負担することとなる。
上記アンケートにおいても,貸与制に移行したことによる経済的な不安等の理由から,司法修習生となることを辞退しようと考えたとの回答が,新第65期司法修習生のうち174名,第66期司法修習生のうち111名から寄せられた。
貸与制が今後とも継続されるのであれば,有為な人材が経済的事情によって法曹への道を断念する事態がさらに悪化し,法曹志願者数が減少する一方である。かかる事態は,2012年(平成24年)6月1日付け衆議院法務委員会における「経済的事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにする」との附帯決議に反しており,かかる事態を放置すれば,国民の人権・権利を擁護する担い手としての司法そのものの弱体化は必至である。
5 以上の理由により,当会は,法曹養成制度改革推進会議及び法曹養成制度改革顧問会議を含め,国に対し,一刻も早く,司法修習生に対する給費制を復活し,新第65期司法修習生,第66期司法修習生及び第67期司法修習生に対しても遡及的に適切な経済的措置が採られることを強く求める。
平成25(2013)年12月4日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

特定秘密保護法案衆議院採決についての談話
当会はこれまで、特定秘密保護法案に対し国民の知る権利、プライバシーの権利等を著しく侵害するものであるとして、本年10月9日、同法案制定に反対する会長声明を発し、11月9日、憲法講演会を開催し、さらには11月20日、同法案に反対する街頭宣伝活動を行った。
パブリックコメントでも大多数の人が反対し、法案提出後も、言論団体を始め、様々な団体が反対声明を出し、昨日25日の福島市の地方公聴会では、7人全員が反対意見を述べるなど、国民の懸念が高まっている。このように国会の審議を通じて、むしろ同法案に対する懸念が高まり、国民の関心が高まるにつれ、同法案の問題点がよりいっそう明らかになって来ている。にもかかわらず、国民の懸念を払拭するだけの徹底した議論や、実効的な修正もなされないまま、衆議院国家安全保障特別委員会で強行採決した上,同日衆議院で強行採決することは、多数派の横暴というほかない。今後、参議院においては改めて徹底した審議を行う必要があり、同法案の問題点に鑑みれば、廃案にされるべきである。
平成25年11月26日
岡山弁護士会 会長  近 藤 幸 夫

「特定秘密の保護に関する法律」制定に反対する会長声明
2013年9月3日,内閣官房より,「特定秘密の保護に関する法律案の概要」が示された。現在,政府が法案化作業を進めており,閣議決定を経て,今月招集される予定の臨時国会に提出される可能性が高い状況にある。
特定秘密の保護に関する法律案(以下,「本法案」という。)は,2011年8月8日に公表された,秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議(以下,「有識者会議」という。)による「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」に基づくものである。当会は,2012年5月10日,「秘密保全法制に反対する会長声明」において,同報告書に基づく秘密保全法制の整備が憲法上の諸原理と正面から衝突するものであることから,その制定に強く反対する旨表明し,日本弁護士連合会(以下,「日弁連」という。)においても反対の意見表明がなされた。
今回,意見募集に付された本法案については,当会及び日弁連の見解に多少配慮していることは窺えるが,基本的には,上記会長声明及び意見書において,同報告書に対し行ってきた批判がそのまま当てはまるものである。
本法案について,日弁連は2013年9月12日付で「「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書」を提出し,本法案について強く反対する旨表明しているが,当会も,同法案の制定には強く反対する。
本法案の問題点は以下の通りである。
1 国民主権原理や国民の憲法上の権利などに重大な影響を与えるおそれのある法案の立法化が是認されるためには,当該法案を必要とする具体的事情(立法事実)の存在が必要不可欠である。ところが,有識者会議において紹介された過去の情報漏えい事案については,既に必要以上とも言える対策が採られている。従って,秘密漏えいを防止するために新たな立法を必要とする立法事実は存在しない。
2 本法案では,秘密指定の対象となる「特定秘密」の範囲を,(1)防衛,(2)外交,(3)外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止,(4)テロ活動防止の4分野とし,別表で項目を挙げている。
しかし,これによって秘密指定できる情報の範囲は広範かつ不明確に過ぎる。第1号(防衛に関する事項)は,自衛隊法別表第4と同じであり,何ら限定していない。第2号(外交に関する事項)は,「安全保障」の範囲が無限定に広がるおそれがある。第3号(外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項)は,「外国の利益を図る目的」「我が国及び国民の安全への脅威」「その他の重要な情報」など抽象的で曖昧な文言になっており,範囲が極めて不明確である。第4号(テロ活動防止に関する事項)は,政府がどのような「テロ活動」を想定するかについての歯止めもなく,政府の主観的な判断次第であることから,際限なく範囲が拡大する可能性がある。
また,法律案の概要は秘密指定について有効期間を定めているが,回数制限のない期間更新が認められており,秘密指定の乱発を防止する機能を果たすものではない。
3 本法案は,特定秘密情報を取り扱う者及びその家族,同居者について,一定の事項を調査することを可能にする,適性評価制度を導入している。
現実には,様々なリスク要因があっても情報漏えいしない者がいる一方で,リスク要因がほとんどなかった者が情報漏えいすることも起こりうる。従って,リスク情報を集積することにより漏えい事件を未然に防ぐことは困難である。
他方,適性評価制度により取得することが可能であるとされた情報には,特定秘密情報を取り扱う本人のみならず,家族及び同居人の,他人に知られたくない個人情報が相当含まれており,プライバシー侵害のおそれが高い。本法案では,対象者の同意を要件としているが,上司等から同意を求められた行政機関職員等が真に自由な意思に基づいて同意・不同意の判断を行うことは不可能であり,家族・同居人及び対象者の関係者については,この点,何ら配慮されていない。
4 本法案では,過失による情報漏えいも処罰するとしているが,過失犯を処罰対象とすることは,責任主義の原則からして極めて問題である。
さらに,本法案では,国会議員,裁判官等が故意又は過失により秘密情報を漏えいした場合には懲役5年以下の刑罰を科することにしている。しかし,特に国会議員については,議員間の自由な討論や政策秘書に調査させることもできなくなるなど,議会制民主主義が空洞化する恐れがある。
また,本法案では,既遂の場合だけでなく,未遂,共謀,独立教唆,煽動の各行為も処罰対象としている。また,秘密情報を取得する行為態様が,「人を欺き」「人に暴行を加え」「人を脅迫する行為」「財物の窃取」「施設への侵入」「不正アクセス行為」「特定秘密の保有者の管理を害する行為」である場合,行為者は処罰される。
このように処罰できる行為の範囲が著しく広範囲・不明確であり,過剰と言わざるを得ない。また,正当な取材活動をも萎縮させ,支障を来すことになりかねず,国民の知る権利を侵害する恐れが強い。
5 本法案については,「国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」等の拡張解釈禁止の規定が設けられ,また,報道の自由や国民の知る権利に配慮した条項を盛り込む動きもあるが,いずれも一般的・訓示的な規定に過ぎず,上記の懸念を払拭させるだけの実効的な措置が担保されているわけではない。
以上のとおり,日本国憲法の諸原理を尊重する立場から,当会は,本法案が立法化されることに強く反対するものである。
平成25(2013)年10月9日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

死刑執行に関する会長声明
2013(平成25)年9月12日、東京拘置所において1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、本年5月15日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。
にもかかわらず、本年になってから3回目、前回執行から約4か月半という短い間に連続して死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。
国際社会においては、死刑廃止が趨勢となっている。最近では、死刑廃止国が140か国(事実上の廃止国を含む。)であるのに対し、死刑存置国は58か国に過ぎない。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。
日本弁護士連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑及びその運用についての情報公開及び全社会的議論が尽くされるまで全ての死刑の執行を停止することなどを求めた。
当会においても、本年2月9日、「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。
このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。
今回、死刑執行がなされた死刑確定者については、一審で無期懲役判決が下されるなど死刑の適用について裁判官の中でも意見が割れた事例である。また、同確定者は執行時73歳であり、2008(平成20)年10月に公表された国際人権(自由権)規約委員会総括所見において、死刑の執行に対し、より人道的なアプローチを採るべきと指摘された高齢者にあたることからしても、死刑執行には慎重でなければならない事案であった。当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。
2013(平成25)年9月17日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

中国地方弁護士会連合会ホームページ開設のお知らせ
ttp://www.okaben.or.jp/news/index.php?c=topics_view&pk=1378693335
この度,中国地方弁護士会連合会(中弁連)のホームページが開設されました。
中弁連は,中国地方にある5つの弁護士会によって構成されている団体で,各県の弁護士会の枠を超えて広域的な活動をしています。 「宣言・決議」や中弁連が主催または共催する企画など,有益な情報が掲載されておりますので,ぜひご覧下さい。
ttp://chugoku-ba.org/index.html

憲法96条改正に関する会長声明
1  自由民主党は,憲法改正の発議を衆参各議院の総議員の過半数によって行えるように憲法96条を改正することを次期参議院議員選挙の争点とする意向を表明している。自由民主党のほかも,日本維新の会もこれに賛成する旨を表明している。
しかし,のちに述べるように,憲法96条を改正して発議の要件を緩和することには大きな問題があり,このような提案に強く反対する。
2  民主的過程を経て選ばれた国家権力であっても,権力が濫用され国民の基本的人権が侵害されるおそれがある。そこで,憲法は,国家権力に制約を加えることによりその濫用を防止し,基本的人権を保障しようとしている(立憲主義)。
しかし,各議院の総議員の過半数の賛成で憲法改正の発議ができることになれば,その時々の政権与党の意向に沿った憲法改正の発議が容易に行えるようになる。このことは,憲法の制約に服するべき内閣が,都合により,自己の活動を制約する憲法の規定を改正できることを意味するものであり,ひいては国民の基本的人権の保障がないがしろにされる危険を有するもので,許されるべきではない。
3  日本国憲法96条は,「この憲法の改正は,各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会がこれを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。」と定める。
96条改正に賛成する根拠として,現在の96条の要件の下では,憲法改正が各議院の多数の支持を得ていても,どちらかの議院で3分の1以上の反対があれば,発議ができないことになり,国民には憲法改正の是非を考える機会すら与えられない。これは少数意見による多数意見の封殺であるというものである、との主張がある。
憲法が基本的人権を保障し,国家の仕組みを定める国の最高法規であり,その改正が国民の基本的人権や国家の仕組みに重大な変更をもたらすものであること,少数者の基本的人権が多数派によって侵害されてきた歴史的経緯を踏まえれば,憲法改正に際しては,多数派の意見を安易に国民の意思とするのではなく,国民の間の様々な意見を集約し,調整しながら慎重に議論を進め,より広い国民的な合意を得ていく必要があるのは当然のことといえる。
諸外国でも,過半数より厳しい要件のもとで憲法の改正が行われる例は多々ある。上下両院の3分の2の賛成を発議の条件とする米国でも、幾度にもわたって憲法の修正が行われてきたことは周知のとおりである。我が国においても,憲法改正にあたっては広く国民的な合意を得る努力をすべきであり,安易に要件を緩和すべきではない。
4  以上のことから,憲法96条を改正して発議要件を各議院の総議員の過半数の賛成とすることは,立憲主義,基本的人権の保障の観点から認められるべきではなく,憲法96条の改正に強く反対するものである。
平成25(2013)年7月1日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

橋下徹氏の「慰安婦」等に関する発言に対する会長声明
日本維新の会の共同代表であり大阪市長でもある橋下徹氏は,2013年(平成25年)5月13日,(1)戦争時の軍隊に「慰安婦制度」は必要であった,(2)沖縄海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しいと述べたとの発言をした。
日本国憲法13条は,国家は国民の人権を尊重すべきことを定める。そして,同14条及び24条は両性の本質的平等を定め,さらに女子差別撤廃条約は,女性の尊厳が男性と等しく尊重されるべき旨を定めている。
橋下氏の今回の発言は,これら憲法及び女子差別撤廃条約等が尊重する女性の尊厳を踏みにじるものである。
すなわち,橋下氏による「慰安婦制度」が必要であったとの発言は,「慰安婦制度」が国家の関与の下で女性を性の道具として扱った,女性の尊厳を著しく損なう重大な人権侵害であったことを看過し,「慰安婦制度」を正当化する一部の不見識な主張を助長する不用意な発言であり,当時慰安婦として人権を侵害された女性たちの名誉と尊厳をさらに傷つけるものである。
さらに,沖縄海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しいと述べたとの発言は,今日の沖縄において,女性の性を国家が軍隊のために利用することを容認し正当化する発言であり,特に米軍兵士による性的暴行事件が度々問題となっている現状において,沖縄の女性をはじめすべての女性の尊厳を傷つけるものである。
これらの発言に対し,橋下氏は,2013年(平成25年)5月27日,「私の認識と見解」と題する文書において弁明し,「女性の尊厳は,基本的人権において欠くべからざる要素」であり,「日本兵が『慰安婦』を利用したことは,女性の尊厳と人権を蹂躙する,決して許されないもの」であることを認め,風俗業を活用して欲しいとの発言については「アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋がる不適切な表現でしたので,この表現は撤回するとともにおわび申し上げます。」と述べた。
しかしながら,橋下氏は,(1)いまだ軍隊に「慰安婦制度」が必要であったとの発言を明確に撤回しておらず,(2)風俗業を活用して欲しいとの発言については撤回し,撤回理由においてアメリカ国民への配慮を見せるものの,かかる発言により沖縄の女性をはじめすべての女性の尊厳を傷つけたことへの配慮が見られず,また,(3)国政政党の共同代表並びに地方公共団体の首長として公権力を行使する立場にある公人である自らがかかる発言を行ったことによって傷つけた慰安婦及びすべての女性への謝罪を行っていない。
当会は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としており,全ての時及び場所において「慰安婦制度」ないし軍隊のために女性の性を利用する行為が決して許されない重大な人権侵害であることを確信する。その上で,橋下氏に対し,これらの発言をしたことを強く非難するとともに,当時慰安婦として人権を侵害された被害女性及び沖縄の女性をはじめすべての女性に対して謝罪することを強く求めるものである。
2013(平成25)年6月12日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

小野市福祉給付制度適正化条例の廃止を求める会長声明
平成25年3月27日,兵庫県小野市において,小野市福祉給付制度適正化条例が制定された。
本条例では生活保護,児童扶養手当等の福祉制度による金銭給付受給者が,これらの金銭をパチンコ,競輪,競馬等に費消し,生活の維持安定向上義務に違反することを防止し,同受給者の生活支援に資することを目的とし,そのために受給者らの責務を定めるとともに,市民及び地域の構成員に対して,市への積極的な協力,情報提供の責務を課している。
しかし,本条例は,違憲,違法の疑いが強いものであるから小野市は同条例を即時廃止すべきである。
まず,福祉制度による金銭給付受給者が受給した金銭は,そもそも使途を限定されているものではない。にもかかわらず,本条例は福祉制度により現金給付を受けている受給者の私生活を,その周辺の市民及び地域の構成員が監視し,市に情報提供し,市の職員が生活指導をするという仕組みを規定している。
この市民及び地域の構成員による情報提供の仕組みは,誰が生活保護をはじめとする福祉制度の受給者であるのかという高度なプライバシーに属する情報(憲法13条)を,一般市民が知っていることが前提となっている。ともすれば,生活保護受給者は,税金から給付を受けている以上,プライバシーを暴かれても受忍すべき存在であるとの差別や偏見を助長させかねず,このような危惧感から要保護者であっても生活保護の受給を躊躇するという効果を生みかねない。プライバシーの権利と生活保護受給権に対する侵害であり,憲法13条,25条に違反するおそれがある。本来生活保護の対象となるべき生活困窮者が何らかの理由で保護を受けられていない漏給が問題となっている現状に鑑みると決して許されるものではない。不正受給が許されないことは当然であるが,不正受給の防止は,行政の責任であるのに,これを市民に転嫁し,しかも,犯罪行為でさえ市民に法律上の通報義務はないのに受給者のプライバシーの領域まで一般市民に監視通報義務を負わせる条例の制定は,小野市が全市民を巻き込んだ相互監視社会化を助長し,福祉制度による金銭給付受給者に対して差別偏見を助長するものであるといわざるを得ない。
ところで,全市民の六割が本条例を支持しているとの報道もみられる。小野市に限ったことではないが「民主主義で得られた結論であるから正しい。」との論調で政策の実行や,条例の制定をする動きが往々にしてなされることがある。しかしながら,民主主義で得られた結論であるから正しいのではなく,その前提として既存の法体系との整合性,少数者の人権への十分な検討が必要である。このことを抜きにした,単に多数決による結論により誤った結果を招くことは過去の歴史を振り返ってみても明らかである。
当会は本条例の問題点を上記のとおり指摘した。小野市においては本条例を即時廃止すべきである。
2013(平成25)年6月12日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

生活保護法改正に反対する会長声明
1 政府は,2013(平成25)年5月17日,生活保護法を改正する法律案(以下「改正案」という。)を国会に提出することを閣議決定した。
2 改正案では,生活保護の開始のためにはあらかじめ定められた申請書を提出することを義務化,すなわち要式行為とすることが規定されている。
このことは,現在の生活保護法が保護の申請を書面によるものとせず,また,口頭による保護申請も認められるとする確立した裁判例(さいたま地裁平成25年2月20日判決など)からも生活保護申請権に制限を加えるものであることは明らかである。
従来から,生活保護の現場においては,生活保護を受給するために窓口を訪れた要保護者に対して,相談だけであるとして申請として扱わず審査すら行わないといういわゆる水際作戦が実施されていた例が多数報告されている。
厚生労働省が,保護を利用したいという意思の確認ができれば申請があったものとして取り扱い,実施機関の責任において必要な調査を行い,保護の要否の決定をなすべきとの見解を示しているにもかかわらずこのような事例が起こっているのである。
改正案のとおり,保護の申請を要式行為とすれば,たとえ意思の確認ができたとしても,申請書が提出されない以上申請があったと扱わず,実施機関対応する必要はないということになり,従来の違法な水際作戦にお墨付きを与えることになる。
この点,与野党による修正協議を経て,「保護の開始の申請は」との文言が「保護の申請をする者は」に改められ,また,但し書きとして「特別な事情があるときは,この限りでない」との文言が加えられ,現在と変わらない運用がなされることになるとの説明がなされている。
しかし,修正後の文言によっても,保護の申請は書面による要式行為であると解釈されるおそれがある。しかも,「特別な事情」の判断は実施機関に委ねられるため,水際作戦を助長する結果を招くことになる。
他方で,当該改正部分について,現在の運用と何ら変わらないのであれば、そもそも,このような法改正をする必要はないことになる。
3 次に,改正案では,保護開始の決定をする際には,保護の実施機関に対して,あらかじめ,要保護者の扶養義務者に対して,通知をすることを義務付けた上,扶養義務者等の資産や収入状況等について銀行や雇用主に対して報告を求めることができる権限を付与し,また,官公署に報告を義務付けている。
この点について,厚生労働省は,従前から,「扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い,その結果保護の申請を諦めさせるようなことがあれば,これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい。」との通知を出している。
しかしそれでも,親族間に通知されることで生じる軋轢を恐れて,要保護状態でありながら生活保護の申請を断念する例は少なくない。にもかかわらず,扶養義務者等に対する通知が義務化され,調査権限が強化されると,要保護者の保護申請に現在よりもさらに萎縮的効果が働くことは必至である。
4 以上のとおり,本改正は要保護者の生活保護申請権を不当に制限するものであり,到底容認できない。本会は,改正案に強く反対するものである。
2013(平成25)年6月12日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

死刑執行に関する会長声明
2013(平成25)年4月26日、東京拘置所において2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、本年2月25日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。
にもかかわらず、前回執行から約2か月という短い間に連続して死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。昨年12月20日には国連総会において、全ての死刑存置国に対し、死刑廃止を視野に死刑執行を停止するよう求める決議が過去最高の111か国の賛成多数で採択されている。
日本弁護士連合会は、2011(平成23)年10月7日に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を決議し、その中で「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」などを求めており、本年2月12日には谷垣禎一法務大臣に対して、上記事項を求める要請書を提出している。
当会においても、本年2月9日に「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。
このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。
当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。
2013(平成25)年5月15日
岡山弁護士会 会長 近 藤 幸 夫

死刑執行に関する会長声明
2013(平成25)年2月21日、東京、名古屋、大阪の各拘置所において合計3名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、昨年10月10日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。
にもかかわらず、昨年10月につづき、3名もの死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。
国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。昨年12月20日には国連総会において、全ての死刑存置国に対し、死刑廃止を視野に死刑執行を停止するよう求める決議が過去最高の111か国の賛成多数で採択されている。
日本弁護士連合会は、2011(平成23)年10月7日に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を決議し、その中で「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」などを求めており、本年2月12日には谷垣禎一法務大臣に対して、上記事項を求める要請書を提出している。
当会においても、本年2月9日に「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。
このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。
なお、谷垣法務大臣は、法務大臣に就任して2か月足らずであり、今回の死刑執行が十分慎重に検討した上での執行であったのかも大いに疑問である。
当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。
2013(平成25)年2月25日
岡山弁護士会 会長 火 矢 悦 治

地方の法科大学院の存続発展に関する会長声明
2004年(平成16年)4月に始まった法科大学院制度は、これまでに多種多様な人材を法曹界に送り出す等一定の成果をあげているが、その一方で、司法試験合格率の低迷や、法科大学院への入学志願者の減少といった深刻な課題に直面している。
このような中で、2012年(平成24年)8月、法曹の養成に関する制度の在り方について検討を行うため、内閣に法曹養成制度関係閣僚会議(以下「閣僚会議」という。)が設置されるとともに、法曹の養成に関する制度の在り方について学識経験を有する者等の意見を求めるため、閣僚会議の下に、法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)が設置された。閣僚会議は、検討会議の意見等を踏まえつつ、2013年(平成25年)8月2日までに今後の法曹養成制度の在り方について検討を加えて一定の結論を出すものとされており、現在、検討会議においては、法科大学院の統廃合や定数削減に向けた具体的な基準案を検討することが決定されている。
現在法科大学院制度が直面している上記問題点からすれば、法科大学院の統廃合や定数削減についての検討は避けられないところではあるが、法科大学院の地域適正配置については、最大限の配慮がなされなければならない。家庭の事情や経済的理由等で地方を離れることができない法曹志望者にも法曹になる機会を実質的に保障するためには、地方の法科大学院が必要不可欠である。また、地方の法科大学院は、地方の様々な法的ニーズに応えることのできる法曹を養成して、地方を支える人材を育成するという重要な役割も担っている。
当会管内に所在する岡山大学大学院法務研究科(以下「岡山大学法科大学院」という。)は、これまでに岡山県内外に在住する多くの法曹志望者に対して、法曹となるための教育を受ける機会を提供してきている。岡山大学法科大学院からの司法試験合格者数は、これまでに81名に達しており、弁護士登録をした合格者の大半が当会及び近隣の地域の単位会に登録する等、地元の司法を担う人材として貢献し、のみならず、地域のニーズに対応した質の高いリーガルサービスを提供できる人材の育成にも積極的に取り組んでいる。
すなわち、岡山大学法科大学院は「地域に奉仕し、地域に根ざした法曹」として、依頼者に共感してともに汗をかき、涙を流せるような人権感覚豊かな法曹の養成を目的とし、問題発見・事案の解決能力、地域的法実務に必要な総合的判断能力・批判能力を養成することを目指し、地域の実態や法実務を踏まえながら、「ビジネス法分野」と「医療・福祉分野」を重点的教育分野としている。
そして、岡山大学法科大学院は、ネットワーク・セミナーなどの独自の法曹教育カリキュラムを構築し、また専門家との間のネットワークと、大学内に設置された法律事務所を活用した「理論と実務を架橋する法曹教育」の確立と充実を実行している。
このように岡山大学法科大学院は、自らの努力によって存続を維持する決意を有しており、だからこそ当会としても、岡山大学法科大学院に対して、会員を実務家教員や非常勤講師として派遣する等の積極的な支援を行ってきたところ、地方の法科大学院の経営あるいは存立自体を現在以上に困難にする動きを看過することはできない。
上記のとおり、岡山大学法科大学院をはじめとする地方の法科大学院は、大都市圏の法科大学院とは異なる存在意義を有している。したがって、法科大学院の統廃合や定数削減について検討するに際しては、地域適正配置という観点を軽視することがあってはならない。そこで、当会は、今後も岡山大学法科大学院を支援していくことを表明するとともに、検討会議及び閣僚会議に対して、地方の法科大学院の統廃合や定数削減を検討するに当たり法科大学院の存続発展に最大限配慮することを強く求めるものである。
2013(平成25年)1月23日
岡山弁護士会 会長  火 矢 悦 治

生活保護基準の切り下げに反対する会長声明
1 2012年(平成24年)8月10日、社会保障制度改革推進法が成立し、その附則2条において、生活保護の「給付水準の適正化」が明記され、8月17日に閣議決定された「平成25年度の概算要求組替え基準について」では「生活保護の見直しをはじめとして合理化・効率化に最大限取り組み、その結果を平成25年予算に反映させるなど、極力圧縮に努める」ものとされており、生活保護の削減方針が示されている。そして、財務省は10月22日、財政制度等審議会に生活保護基準切り下げに向けた具体的提言を行い、同審議会において、平成25年度の予算編成に向けた生活保護制度の見直しの議論が始められた。
これらの動きからすれば、平成25年度予算編成において、政府が生活保護基準切り下げに動く可能性が極めて大きい情勢である。
2 しかし、生活保護は憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化した最後のセーフティネットであって、生活保護基準は生存権保障の水準を具体化して「健康で文化的な最低限度の生活」を決する極めて重要な基準である。
生活保護受給者の増加が問題視されることが多いが、実際には生活保護の捕捉率(生活保護を受給する資格がある人のうち、実際に生活保護を受給している人の割合)は2010年(平成22年)時点でも2割?3割程度(平成22年4月9日付け厚生労働省発表「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」)にとどまっている。本年になってからも札幌市、さいたま市、立川市などで餓死孤立死が相次いで発生しているが、こうした事例は生活保護を受給していれば防ぐことができた可能性が高いのである。このように、生活保護が必要な人々に行き渡っていないという現状であるにもかかわらず、生活保護受給者の増加が問題であるとして生活保護基準を切り下げて生活保護の受給にさらに厳しい要件を課すことは、本末転倒である。そのようなことがなされれば、生活困窮者を更に増大させ、あるいは、その抱える問題を更に大きなものにすることが容易に想像されるのである。
また、生活保護基準は、最低賃金、課税最低限度額、社会保険の自己負担額の基準とも連動しており、基準の切り下げは生活保護受給者だけでなく、それ以外の低所得者層の更なる貧困化を招くことになる。
3 このような生活保護基準の重要性からすれば、その基準のあり方については、2011年(平成23年)2月に発足した社会保障審議会生活保護基準部会における学識経験者らの専門的検討も踏まえ、生活保護受給者の生活実態も考慮して慎重に決せられるべきであって、財政目的の安易な基準切り下げがあってはならない。
4 岡山県は、津山市出身で国立岡山療養所(現在の独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)に入院していた故・朝日茂氏が、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」「人間が人間らしく生きる権利」の保障を求めた「朝日訴訟(人間裁判)」を提起し、その後の生活保護基準の改善や社会保障制度の発展に大きく貢献した地でもあり、当会にとって、今般の生活保護基準の切り下げの動きは到底看過することができないものである以上のとおり、当会は、来年度予算編成における生活保護基準の切り下げに強く反対する。以上
2012年(平成24年)11月21日
岡山弁護士会 会 長  火 矢 悦 治